投稿して数秒で「スキ」。まだ読んでないよね? noteの「ジャケ買い」を考えた
記事を投稿して、ほんの数秒でついた「スキ」。
「うれしい。でも……まだ読んでないよね?」
そんな小さな疑問から調べ始めたら、昔の「ジャケ買い」の話にまでたどり着きました。
そして調べ終わるころには、あの数秒の「スキ」が、少し違って見えていました。
今回は、そんなnoteの「ジャケスキ」のお話です。
投稿して数秒。「早っ!」
記事を投稿した。
そして、ほとんど間を置かずに「スキ」がついた。
30秒くらいだっただろうか。
いや、もっと早かった気もする。数秒だったかもしれない。
「早っ!」
うれしい。でも同時に、こんなことも思った。
……まだ読んでないよね?
もちろん、短い記事ならすぐに読めることもある。
でも、その記事は数秒で最後まで読めるような長さではなかった。
だとしたら、タイトルを見てすぐに押してくれたのだろうか。
アイキャッチが気になったのだろうか。
それとも、私の記事だからと押してくれたのだろうか。
本当のところは、その人に聞かなければ分からない。
そんなことを考えていたとき、ふと気づいた。
待てよ。私も、読まずにスキしたことがある。
私も「スキ」を先に押していた
私は仕事の休憩時間や、家事の合間などの隙間時間にnoteを読むことがある。
タイムラインを見ていると、タイトルやアイキャッチが気になって、
「これ、面白そう。読んでみたい」
と思う記事に出会う。
でも、そんな時間には限りがある。
読み始めたものの、途中で仕事や家事に戻らなければならないこともあるし、タイトルを見たところで時間切れになることもある。
そんなとき、私はどうしていたか。
先に「スキ」を押していた。
あとで読みたい。でも、このまま閉じたら忘れてしまいそう。
だから、ちょっとしたブックマーク代わりにスキを押しておく。

それだけではない。
交流のあるクリエイターさんの記事を見つけたときや、タイトルやアイキャッチを見た瞬間に「これ、好きだな」と思ったときも、読む前にスキを押していることがある。
つまり私自身、
最後まで読んでいない記事に「スキ」を押していた。
「まだ読んでないよね?」なんて思っていたのに(笑)。
でも、それって変な使い方なのだろうか
気になって調べてみた。
すると、ちょっと意外なことが分かった。
note公式は過去に、「スキ」をした記事をあとから見返せる機能を紹介する中で、こんな使い方も挙げていた。
いまは読めないけど、あとで読みたいという記事に「スキ」をつけておいて、あとから見返す
まさに、私がやっていたことだった。
少なくとも、「あとで読みたいから先にスキを押しておく」という使い方は、note公式でも紹介されていたことになる。
また、別の公式ページでは、気に入ったものや共感したものに「スキ」をつけることができると説明されている。
私はなんとなく、「スキ」は記事を読んだあとの感想として押すものだと思っていた。
でも、どうやらそれだけではないらしい。
「これ、あとで読みたい」
そんな気持ちで先に押す使い方もあると分かって、自分だけではなかったことにちょっと安心した。
そういえば、昔から似たことをしていた
ここまで考えていて、ある言葉を思い出した。
「ジャケ買い」だ。
デジタル大辞泉では、「ジャケ買い」をこう説明している。
レコード・CD・本などのカバーの印象が気に入って買うこと。ジャケット買い。
ただ、「ジャケ買い」という言葉が、いつ、誰によって使われ始めたのか。
今回調べた範囲では、信頼できる資料から特定することはできなかった。
分からないものは、分からない。
一方、レコードのジャケットについて調べてみると、興味深い話が見つかった。
当時、レコードには無地に近い外装のものも多かったという。
その後、1939年に米コロムビア・レコードへ入社したデザイナー、アレックス・スタインワイスは、レコードの外装にイラストや写真を取り入れたデザインで知られている。
彼が手がけたブルーノ・ワルター指揮の『英雄交響曲』では、イラスト入りの外装に変えたあと、売り上げが約9倍になったという当時の報道も残っている。
もちろん、これは現在のように条件をそろえて効果を測った実験ではない。
それでも、
「中身は同じでも、入口が変われば人の反応が変わる」
そんなことを考えるには、面白い話だと思う。

レコードのジャケットは、noteならタイトルとアイキャッチ?
レコード店では、ジャケットを見て、
「なんだろう、これ」
と手に取る。
noteでは、タイムラインに流れてきたタイトルやアイキャッチを見て、
「なんだろう、これ」
と指を止める。
なんだか似ている。
もちろん、レコードを買うことと、noteでスキを押すことは同じではない。
レコードならお金を払って購入する。一方、スキには基本的にお金はかからず、あとから取り消すこともできる。
だから、両者が心理学的に同じ行動だとは言えない。
それでも、
まだ中身をすべて知らない段階で、入口で目にしたものに惹かれて行動する
というところは、よく似ている気がする。
いわば、
note版「ジャケ買い」ならぬ、「ジャケスキ」だ。
「なんかいい」は、一瞬で決まる?
では、私たちはWebページを見たとき、どれくらいの速さで第一印象を持つのだろう。
これも調べてみると面白かった。
Webページの視覚的な魅力について調べた研究では、わずか50ミリ秒見せただけでも、その評価にはある程度の一貫性が見られたという。
50ミリ秒は、0.05秒。

もちろん、0.05秒で文章の内容まで分かるという話ではない。
あくまで、Webページを見たときの視覚的な第一印象についての研究だ。
それでも、
「なんか気になる」
「これ、好きかも」
そんな第一印象は、私たちが思っている以上に早く生まれているのかもしれない。
そこから、
「あとで読みたい」
と思い、先にスキを押す。
私がしていたことも、そんな「入口で感じた何か」から始まっていたのかもしれない。
「スキ」は、必ずしも読後の採点ではない
さらに調べてみると、「いいね」のようなボタンが複数の目的で使われるのは、noteだけの話でもないようだ。
Twitter(現在のX)のFavorite機能について調べた研究では、その用途として、
「like(好意)」
「bookmark(保存)」
「thanks(感謝)」
「conversational(会話的な反応)」
などが確認されている。
FacebookのLikeについての研究でも、好意だけでなく、人間関係を保つためのコミュニケーションなどに使われていることが報告されている。
そう考えると、
「スキがついた=全文を読んだうえで高く評価してくれた」
とは限らない。
反応ボタンには、それ以外の意味が込められることもある。
だから今は、
「まだ読んでいないスキ=意味のないスキ」
とは思わなくなった。
タイトルとアイキャッチへの「スキ」だって、うれしい
最初の話に戻る。
投稿して、わずか数秒でついた「スキ」。
あの人がどんな気持ちで押してくれたのか、本当のところは分からない。
でも、自分も同じようなことをしていたと気づき、いろいろ調べてみた今では、あの数秒の「スキ」の見え方が少し変わった。
記事を最後まで読んでもらって、
「面白かった」
「共感した」
と思ってスキを押してもらえたら、もちろんうれしい。
でも、もしあの数秒のスキが、
「このタイトル、気になる」
「このアイキャッチ、なんか好き」
「あとで読んでみよう」
そんな気持ちで押されたものだったとしたら。
それはそれで、うれしい。
記事の「入口」に惹かれてもらえたのだとしたら、それもうれしいことだから。
昔、レコード店で一枚のジャケットが誰かの足を止めたように、今はnoteのタイムラインで、タイトルやアイキャッチが誰かの指を止める。
もしそこで押されたのが、「読みました」のスキではなく、
「ちょっと気になる」のスキ
だったのだとしても。
もちろん、それも私の想像にすぎない。
それでも今なら、あの数秒のスキを、
「ジャケスキしてもらえたのかも」
と思える。
そう考えると、なんだか前よりちょっとうれしい。
参考ページ
この記事を書くにあたり、以下のページを参考にしました。
※最終閲覧:2026年9月10日
JazzTimes「Alex Steinweiss, Album Cover Art Pioneer, Dead at 94」(英語)
Gorrell & Bontcheva(2016)「Classifying Twitter Favorites: Like, Bookmark, or Thanks?」(英語)
Eranti & Lonkila(2015)「The Social Significance of the Facebook Like Button」(英語)
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
みなさんは、まだ最後まで読んでいない記事に、先に「スキ」を押すことはありますか?
「私もある!」「ジャケスキ、分かる!」と思っていただけたら、スキ♥️で教えていただけるとうれしいです。
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