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●美術館の名作椅子#27●豊田市美術館

豊田市美術館

設計:谷口吉生
開館:1995年




・BQ01 Bench

デザイナー:ヴィム・クイスト
発表:1970年
メーカー:spectrum
価格:
¥861,600(現在廃番)

オランダの建築家ヴィム・クイストがデザインしたベンチ。
オランダのクレラー・ミュラー美術館新館設計の際に合わせて館内用ベンチとしてデザインされた。
豊田市美術館では館内に多数用いられており、竣工当初の写真でも確認することができる。
谷口吉生建築ではこだわりの名作椅子が用いられることが多く、このベンチも明らかにこだわって選定されたことが伺える。
谷口吉生建築の「京都国立博物館 平成知新館」や「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」でも採用されているところを見ると、このベンチは谷口氏のお気に入りだったに違いない



・Cab 413 Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年
メーカー:Cassina
価格:¥594,000
(2026年現在)

アームなしの412とともにMoMAにも収蔵されている名作椅子
この椅子は東京国立博物館 法隆寺宝物館東京国立近代美術館にも置かれている。
ちなみに法隆寺宝物館は谷口吉生設計で、東京国立近代美術館は父の谷口吉郎の設計だ。
椅子の文脈で父子の関係も考察できて非常に興味深い。



・Cab 412 Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年
メーカー:Cassina
価格:¥385,000
(2026年現在)

アーム付きの413とともにMoMAにも収蔵されている名作椅子

こちらの412は京都国立近代美術館にも置かれている。

我が家のダイニングではこのCab412とアーム付きの413を愛用している。
美しさ、佇まい、座り心地、机との相性など全てお気に入りの逸品
我が家のものはCab35周年記念の2012年限定シボ革仕様。

この革は汚れや傷に強いのでデイリーユースにとても良いが、ノーマルタイプに比べ柔らかく若干伸びやすいのが玉に瑕。



・Wiskey Sofa

デザイナー:マリオ・ベリーニ
メーカー:Cassina
価格:¥726,000
(2026年現在)

Cabシリーズと同じくこちらもマリオ・ベリーニがデザイン。
MoMAに6点の作品がコレクションされているイタリアモダンデザインの巨匠。
アーム部がシンプルな分、長時間リラックスするというよりは、ちょっと座って短時間の休憩をするという用途に向いている気がする。
同じく谷口吉生建築の東京国立博物館 法隆寺宝物館にも置かれている。
公共空間のかしこまった場所によく似合う。



・PK22

デザイナー:ポール・ケアホルム
発表:1956年
メーカー:FRITZ HANSEN
価格:¥674,800〜(レザーのランクにより変動)
(2026年現在)

ポール・ケアホルムの代表的な椅子。
ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアをオマージュしているとのこと。
確かに基本的なフォルムは似ているが、こちらは横から見ると厚みが全くなく、フレームにもケアホルム的ストイックさが見られる。
個人的にはバルセロナチェアよりもPK22の方が大きさも座り心地もシルエットも好みだ。
こちらのモデルはシボ感が少ないので上級ランクのグレースレザーかもしれない。
だとすると一脚90万円に跳ね上がる。

2024年6月にはパナソニック汐留美術館でポール・ケアホルム展が行われた。



・LIMA Chair

デザイナー:ティト・アニョーリ
メーカー:IXC
価格:¥110,000〜(ファブリック)
(2026年現在)

レストランで使用されているLIMA Chair。
ペルーのリマ出身でイタリアへ移住したという経歴のデザイナーで、自身の出身地名を冠した椅子
発表年がわからなかったがインターデコール(Cassina ixc.の前身)時代から存在するモデルなので2002年(Cassina ixc.に商号変更年)以前の1990年代あたりか。
こちらも谷口吉生建築の京都国立博物館 平成知新館にも置かれている。



・SPAGHETTI Chair

看視員用

デザイナー:ジャンドメニコ・ベロッティ
発表:1979年
メーカー:Alias(Cassina ixc.扱い)
価格:¥96,800(塗装仕上)
(2026年現在一時販売中止)

その名のとおり、スパゲッティのようなPVC(ポリ塩化ビニル)製のコードが背もたれと座面に巻き付けられているのが最大の特徴。
MoMAのパーマネントコレクションにも選定されている。
柔らかい座り心地だが、それは弾力によるものなので一点に沈み込む感覚が気になる。
個人的には沈み込みながらもある程度しっかりした土台があった上で体重を分散して受け止めてくれる座り心地の方が好みだ。



・ULTRA Stacking Chair

こちらも看視員用

デザイナー:ステファン・ショーニング
発表:2008年
メーカー:liv'it

ベルギーのデザイナーによるイタリア製の椅子。
ぱっと見なんでもない椅子だが、背面から後脚につながるゆるく描かれるカーブと、座面からスッと落ちる細い前脚のバランスにデザイン性を感じる。
この椅子も谷口吉生建築の京都国立博物館 平成知新館にも置かれている。
日本では以前 Cassina ixc. で扱っていたようだが現在は扱っていない。



・EAMES ALUMINUM GROUP MANAGEMENT Chair

デザイナー:チャールズ&レイ・イームズ
発表:1958年
メーカー:Herman Miller
参考価格:¥423,500(レザー仕様)
(2026年現在)

資料室の椅子はイームズのアルミナムグループマネジメントチェア。
アルミニウムの用い方がいかにもミッドセンチュリー
同じく谷口吉生建築の東京国立博物館 法隆寺宝物館京都国立博物館 平成知新館などでも用いられている。
いつまで経っても色褪せないラギッドな魅力溢れる名作椅子だ。
公式HPでは現在レザー仕様かメッシュ仕様しか選択肢がなかったが、ここのモデルはファブリック仕様なのでその中間くらいの40万円程だろうか。



・Golfo Dei Poeti Chair

デザイナー:Jacques Toussaint & Patrizia Angeloni
発表:1983年
メーカー:matteo grassi

エントランスに多数置かれており、ある意味美術館の顔となっている椅子だが私は初めて見た椅子。
matteograssi社も今まで知らなかったイタリアのメーカー。
アルミのアームがそのまま脚部に続いている合理的なデザイン。
座り心地は硬めで体重をしっかりと受け止めてくれる。
写真を検索するとアルミ部分が革張りになっているモデルや、脚の長いダイニングモデル、クッションの薄いモデルなど様々なバリエーションがあるようだ。
私が知らなかっただけ?



・6 TABLE TUBE D’AVION(LC6)

デザイナー:ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン
発表:1929年
メーカー:Cassina
参考価格:¥1,298,000
(2026年現在)

当時の航空機に使われていた楕円断面の金属パイプが使用されている、という謳い文句だが、約100年前のデザインが今もなおモダンで新鮮に感じるのはやはりデザインの力か。
クレジットにはコルビュジエの名も連名で刻まれるが、LCシリーズのデザインのほとんどは実際はシャルロット・ペリアンによるもの。
名作中の名作テーブルだが他の美術館で見る機会はほとんどないのは、やはりガラス天板の安全性を考慮してのことだろうか。



・まとめ

豊田市美術館は谷口吉生氏の設計。
外観も内観も美しく建物そのものが美術作品のよう。
この美術館には数多くの名作椅子が置かれていたが、それらの椅子の多くは竣工当初の写真でも確認でき、建築物だけでなくそこに置かれる椅子にまで設計者の思想が及んでいるということに少なからず感動した。
そしてそれらの椅子の中には他の谷口吉生建築にも置かれているものも多くあった。
谷口氏の椅子へのこだわりとリスペクト、そして空間における椅子の重要性を改めて強く感じた。

2024年末に谷口吉生氏は亡くなった。
日本建築史に名を残す偉大な建築家だった。
心よりご冥福をお祈りする。



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