<言葉の密度> 習作#10 資格
「凛々しいね」
影が私の体を地面に縛り付けているだけ。
風が私の脇をすり抜けていく。
恋なんてしたばっかりに、
そんな凛々しい人間に、
私は成ってしまった。
ただ、
自分が自分で在ること。
そこから目を逸らしたくないから、
下は見ない。
姿勢を正して先を見る、
私は、凛々しい。
恋に資格が必要なんて、
誰も教えてはくれなかった。
時が来たら、
この午後の一本道を駆け抜ける風に、
私は成れるのだろうか。
石ころ、
水、
雲。
ここに在ることに、
なんの言い訳もいらない、
凛とした、私。
***
創作ノート:「凛々しい」は男性に、「凛とした」は女性に、割り当てがあるように感じて、そんな音の感触だけで、登場人物の苦悩を表現できるか、を試してみました。
これまでは文脈を言葉で圧縮する試みが多かったのですが、今回、文脈は素直に置き、ひとつひとつの言葉そのものに、物語の深まりを委ねてみました。
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Open Script Labo『ある映画作りの記録』
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