日銀が利上げしてもしなくても、景気は冷え込むというシナリオ
日銀が政策金利を1.25%に引き上げることを決定しました。
今週は、まず週の前半に米国FOMCが利上げを決定し、その後、日本で日銀の金融政策決定会議が開かれ、日本も利上げを決定するというシナリオが大方の予想でした。
今回のFOMCの利上げも、日銀の利上げも市場の予想通りに進んだはずです。
なのに、金融政策決定会議が終わった後、なぜか為替が円安に振れました。
一時1ドル157円台まで円が下がっています。
日米がともに利上げして、金利差は拡大しなかったはずなのに、どうして円安に振れたのでしょうか。
利上げに反対票が2票あった
実は、本日の金融政策決定会合では、利上げに対する反対票が2票あったようです。
反対の理由は、簡単に言うと、「このタイミングで利上げすると景気を冷え込ませる」というものです。
この指摘は確かにその通りです。
高校で習った政治経済の授業でも、日銀の金融政策では、「金利を上げるのは景気が過熱してインフレになったときで、金利を上げることで行き過ぎた景気を鎮静化させる」と習いました。
確かに、今は景気が過熱しているとは言い難いです。
さらに、私たちが今直面しているインフレは、これまでの私達がよく知る需要が過熱してインフレが発生するディマンドプル型のインフレではなく、モノ不足で供給がひっ迫するコストプッシュ型のインフレです。
そして、このコストプッシュ型のインフレにおいては、金利を上げたからといって必ずしもインフレの抑制には繋がりません。
であれば、「今回、利上げしたとしても、インフレの抑制にはつながらず、景気の冷え込みの効果の方が強く出てしまう」というのが、反対票を投じた政策委員の主張になります。
インフレの理由には「円安」も見逃せない
しかし、今回のインフレの理由は、供給不足だけではなく「歴史的な円安」も非常に大きく影響しています。
例えば、かつて1ドル120円だった頃に比べて、1ドル156円まで進んだ状態を考えると、3割も円安に進んでいることになります。
これは、日本が海外からドル建てで商品を購入するとき、その値段が全て3割増しになることを意味します。
さらに、原油価格もドル建てです。
原油を使うものも全て3割値上がりすることになります。
今の日本は国内で流通する商品のうち、かなりの部分を輸入に頼っているのですから、その全てが3割も値上がりしたら、そりゃあ今のような物価高になるのは当然です。
今の物価高の原因が供給力不足だけでなく、円安の影響もあるのだということをご理解いただけるのではないかと思います。
ちなみに、日銀は今の物価高の原因の一つに円安があるということは十分に理解しています。
ただし、日銀の所管業務の関係上、日銀は為替を理由に利上げできないので、表立って為替について言及しないだけです。
シルバーウィークを乗り越えられるか
さて、話を戻します。
今回、日銀が利上げを決定したのに円安に振れた理由は、「利上げに反対する委員が2名いたことから、今後の日銀の利上げペースが必ずしも加速する訳ではない」と見る動きがあったからです。
これまで日銀では、利上げペースが加速すると見られていたにも関わらず、必ずしもそうはならない可能性がある。
すなわち、日米金利差が拡大する可能性があるという予測が生まれたからです。
こうなってしまっては、せっかく日銀が利上げをしたのに、円安抑制の効果は発揮されず、利上げによる景気の冷え込み影響だけが発生することになる可能性すら出てきてしまいます。
これでは何のために利上げしたのか分かりません。
そのため、日銀の植田総裁は今後の利上げペースの加速や強化についても匂わせる発言をして、利上げ観測の後退を食い止めようとしているのです。
もし、このまままだ円安に振れていってしまっては、日本は再び輸入物価の高騰に苦しむことになります。
これから日本はシルバーウィークの休止期間に入ります。
シルバーウィークの間に仕手筋に狙われて、異常な円安にならないことを願います。
松本 佑介 @ 枚方を動かす新しいチカラ
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