7Artisans 35mm F2の「マゼンタ被り」
オールドレンズ、とりわけライカ等レンジファインダー用のレンズ(中でも広角レンズ)を現代のミラーレス一眼機に装着して撮影すると「マゼンタ被り」と言われる写真の四隅にマゼンタ色(明るく鮮やかな赤紫色)が薄く載ってくる現象が発生します。
今回は、そんな「マゼンタ被り」に関するお話し。
マゼンタ被りとは
前述のように、写真の四隅に本来は存在しないマゼンタ色(明るく鮮やかな赤紫色)が薄く載ってくる現象。

上記写真は北海道砂川市で撮影した夕陽(EOS R + 7Artisans 35mm F2)。若干わかり難いですが、画面四隅に周辺減光に加えて薄いマゼンタ色が被っているのが分かります。これがマゼンタ被りと呼ばれるものです。
私も聞き齧りですが、オールドレンズ、なかでもレンジファインダー用に設計されたレンズのように”後玉”が突出した古い設計のレンズを最近のミラーレス一眼などのデジタルカメラに装着すると光学特性の違いから上記のような「マゼンタ被り」の症状が出てしまいます。

こうした後玉の突出したオールドレンズは、広角レンズに多く見られるようですが、我が家にある同種のレンズで「マゼンタ被り」が見られたレンズとしては(オールドでは無いものの、伝統的なレンズ設計で広角寄りなレンズとして)この「7Artisans 35mm F2」と「TTArtisan 28mm F5.6」がありました。
アプリによる補正は都度、手作業
こうしたマゼンタ被りを修正するには、アプリケーションを用いての補正が必要となります。ネット上を探すと、主にAdobe Lightroomによる補正や、写真家・ライター澤村徹氏のようなソニーαカメラに機能追加できるアプリ「PlayMemories Camera Apps」を用いた補正が一般的のようです。
残念なことに私は両方とも用いておらず、Macでの写真編集アプリケーションはフランスDxO社の「DxO Photolab」というマイナーなヤツなのですが、皆さんがネット上で情報発信されている補正内容を参考にしています。

歪曲補正などと違ってマゼンタ被りはセンサーに届く光の量によって決まる為、補正値が一定で無いのが厄介です。つまり補正値をプリセット保存して適用すれば良いという単純なものでは無く、都度、手作業で調整が必要なのが実に面倒。

上記、周辺減光とマゼンタ被りを補正した「前」(左)と「後」(右)。あまり補正しすぎても不自然になるため、ほんの僅かな補正に留めています。
上記、「HSL色空間」 (色相・彩度・輝度) を用いています。HSL色空間は難しくて私は概要しか理解できていないのですが「DxO Photolab」の「部分補正」の「色相(HSL)」機能を用いて補正してみました。
・・・が、正直、こんな補正、毎回やってられませんて。
青空や雪では悪目立ちする
マゼンタ被りは青空や雪景色を写すと目立ってきます。先日訪れた、冬の北海道砂川市での撮影写真を例にご紹介します。↓
7Artisans 35mm F2(Gen1) + Canon EOS Rの組み合わせにて、f5.6 , 1/80 , ISO500で撮影。四隅は無補正のためマゼンタ被りが目立ちますね。
因みに撮影場所は、人気のコスメブランド「SHIRO」が創業の地・北海道砂川市に構える工場「みんなの工場 by SHIRO」。同社の美意識が全面に展開された美しく素敵な施設でした。
同じく、SHIROの施設内にて。7Artisans 35mm F2(Gen1) + Canon EOS Rの組み合わせにて、f4.0 , 1/60 , ISO125で撮影。こちらも若干ではあるものの、マゼンタ被りは出ていますが、気になりません。むしろ、これ位なら味と好意的です。
こちらもSHIROの工場敷地内にて。7Artisans 35mm F2(Gen1) + Canon EOS Rの組み合わせにて、f8.0 , 1/320 , ISO100で撮影。
この写真、左上隅・右上隅はまだ許せたとしても、左下隅・右下隅のマゼンタ被りは、さすがに許容範囲を超えたアウトと考えます・・・が面倒なので無加工で。
SHIROの施設内にあるカフェコーナーにて。7Artisans 35mm F2 (Gen1) + Canon EOS Rの組み合わせにて、f4.0 , 1/60 , ISO200で撮影。この写真ではマゼンタ被りは出ていません。マゼンタ被りは光の量によって出現具合が異なるため、プリセット化して単純適用ができないの厄介です。
裏面照射式センサーでは目立たない(らしい)
「マゼンタ被り」は、デジタルカメラにおいて多かれ少なかれ発生するようです。詳しい理由は色々と難しい話しになるようですが「カメラのナニワ」さんのサイトに記載された解説によると ↓
・主にデジタルカメラのイメージセンサーの構造に由来する問題で、フィルムでは少なくとも不自然すぎる色被りは発生しない。
・後玉の出ているレンズをつけると、イメージセンサー周辺部が光を受け取りにくくなる。そのため、センサーが光を正常に捉えられず、不自然な色に記録されてしまうことが多い。
・デジタルカメラでも、イメージセンサーが裏面照射式になっていると集光効率が高いため色被りが発生しにくい。
とのこと。更にネット上の情報を見ると、表面照射式でもマゼンタ被りの出難い機種もあれば出やすい機種もある、表面照射式だがライカM10とBiogon T* 28mm F2.8なら相性が良い、逆にキヤノンの表面照射式EOS R系はマゼンタ被りが出やすい(私の愛機じゃん!)等、どうにも情報が錯綜しております。
こうしたオールドレンズ資産、それも後玉の出っ張ったレンズを多く持つライカは、ライカM11から裏面照射式イメージセンサーを採用した、と言いますのでオールドレンズ(または似た伝統的な設計の中華レンズ)で遊ぼうと考えている人は裏面照射式イメージセンサー採用のカメラ本体(ボディ)を使うのが良さそうですね。〔了〕





