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小さなあんこ屋さん 大判焼き

分け合う、という小さなやさしさ

「半分こして食べよう」

その言葉を聞いて、あなたはどんな分け方を思い浮かべますか?

普通は、右と左。
あるいは上と下。

でも、私と妹の「半分こ」は、
少しだけ違っていました。

あなたのご家庭には、兄弟や姉妹の間だけで通じる「独自のルール」はありましたか?

半分こって、
ただ分けることじゃなくて、
“どう分けたいか”があらわれる時間なのかもしれません。

我が家の「半分こルール」

私の妹は、あんこが嫌いでした。

でも、
大判焼きやたい焼きの、あの香ばしい「皮」は
大好きなんです。

中に入っている「あずきあん」を避けて食べようとするんです。

あんこ好きの私からすれば
「もったいない」…

そこで、
幼い私たちの間で
ひとつの契約が成立しました。

あんこは、お姉ちゃん。皮は、まっちゃん(妹)。

私も、皮は食べたいのですが、
大好きなあずきあんを実質二倍食べられる。
願ってもない最高な取り引きでした。


幸せだけど過酷なルール


このルールは、
あんこ入りのおやつに適応されていきました。

大判焼き、たい焼き、そしてあんまん…

でも、この一見幸せそうな取り引きに、
実は過酷なハードルがありました。

それは、
中身のあんこが**「猛烈に熱い」**ということです。

私は、猫舌で熱いものが苦手だったんです。

でも妹は、皮がパリッとしているうちに、あるいはふわふわのうちに、あったかいまま食べたい派。

今思えば、スプーンで取り出して、お皿に移して冷ませばよかっただけのことです。

でも、当時の幼い私にそんな知恵は働きません。

妹にせかされるまま、
私は意を決して、大判焼きの熱々のあんこに挑むことになります。

中でも、あんまんのねっとりしたこしあんは、
手強かったです。

でも、大好きなあんこが食べたい。

半分に割った瞬間に溢れ出す湯気と格闘しながら、私は必死であんこを引き受けました。

鼻先をかすめる熱気に「あふあふ」と息を吹きかける時間は、お姉ちゃんとしての誇らしい任務でもありました。


半分この契約が通用しない時

わたしは、あんこならなんでも大好きなんです。

特に
**「ウグイスあん」や「栗餡」**は大好き。
あずきのあんこよりも好きです。

妹は、あずきあんだけが嫌いで、他のあんこは普通に食べます。

そうなると、大判焼きは
きっちりと皮もあんこも半分こ。

そこは、ぜひあんこを譲って欲しいなあと複雑な思いでした。


本当の半分こ

半分こ


あれから月日が流れて、今では妹もあずきあんが食べられるようになりました。

だから、今の私たちは本当の「半分こ」ができます。

大判焼きを真ん中からぱくっと分けて
はい、どうぞ。

もう、熱々のあんこを必死に掻き出す必要も、火傷しそうになりながら急いで食べる必要もありません。

とても平和で、とても正しい分け方。

大判焼きを丸食べられるようになった妹の横顔を見ながら、ふと思うことがあります。

今のきれいな半分こよりも、
苦労して熱い大判焼きを分け合っていたあの頃の方が、ずっとずっと良かったなって。

今でも大判焼きを見て、
そんなことを思い出しているのは、
私だけかもしれません。

妹が働ける場所

妹には自分の身の回りのことはできるけど、
障害があって、仕事に就くことができません。

やまびこ茶寮を作りたいと思っている理由の一つ

妹が働ける場所を作りたい…

両親が残してくれた実家なら、
そこが仕事場になったら、
彼女が仕事をする機会も作れるんじゃないか。

そんな夢もあります。

これは私の夢だから、彼女に尋ねたことはまたありません。

あんこが食べれる様になった今なら、
「お姉ちゃんがいいならいいよ!」
って言ってくれそうな気がします。

今度、大判焼きを半分こして食べながら
話してみようかな。

あなたは、誰とどんな半分こをしたいですか。

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