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100円ショップの別ブランド店で、気づけば「3,195円」使っていた話

こんにちは!mctの小幡です。
立春が過ぎ、日差しにはどことなく春の気配も混ざってきて、気分だけは少し軽やかになりますね。

さて、今回の【勝手に分析!Good CX】は、ダイソーが展開する別ブランド「Standard Products」での買い物体験を、CX視点で掘り下げてみたお話です。


◆ 最近見つけた、ちょっと気になるお店

昨年末、京都の街中を歩いていたとき、ふと目に留まった路面店がありました。落ち着いたトーンの外装に「Standard Products」のロゴ。
(心の声:なんやろ、このお店。いい雰囲気やな・・・)

中に入ってみると、シンプルで洗練されたデザインの雑貨や日用品が並んでいて、すぐさま興味津々モード。でしたが、その日は荷物も多かったのでザっと店内を回っただけで、何も買い物せずに帰りました。
ちなみに、ダイソーの別ブランドだとはまったく気づいていませんでした。後から調べてみて、「あれ?ダイソーなんや!」と驚いたことを覚えています。

このStandard Products、なかなか面白いポジションのお店なんです。

個人的な印象ですが、ひとことで言うと、
IKEAのようで、IKEAではない。
無印良品のようで、無印良品ではない。
両方の「いいとこ取り」をしたようなお店なんです。

私の中でのざっくりとしたイメージはこんな感じ。

IKEA = 北欧デザイン × 手頃な価格 × 休日のお出かけ先
無印良品 = シンプル × 手は出るが少し考える価格帯もあり × 日常の動線の中にある存在

そして、Standard Productsは、この二つの「いいとこ取り」を、無印よりはお手頃で、100円ショップよりはしっかりした価格帯で実現しているのです。
100円ショップのダイソーが母体なのに、価格帯はちゃんと上に設定されている。でも、無印やIKEAよりは安い。
この「ちょうど間」のポジション、なかなか巧いなあと思いました。

公式サイト(https://standardproducts.jp/)を見てみると、カトラリーには金属加工の町・新潟県燕市の技術を、包丁には800年以上の歴史がある岐阜県関市の刃物づくりを採用するなど、日本各地の産地と組んだ「ものづくりへの誠実さ」も感じられます。

Standard Products 公式サイトより


デザインだけでなく、モノの背景にも気を配っているあたりが、単なる「100円ショップの上位版」とはちょっと違うと感じるところです。

◆ 気づけばカゴがいっぱい、そして3,195円


そして先週、買い物ついでにStandard Productsに立ち寄りました。
そこは、ダイソーに併設されている店舗でした。

お店に入ると、まず目に入るのはくすんだブルーやイエローなど、北欧テイストを感じるカラーリングの商品たち。
(心の声:やっぱり、ここダイソーの系列には見えへんよなあ・・・)

見て回るうちに、どんどんカゴに入れてしまいます。

竹製の蓋付き小物入れ(200円)
サコッシュ(300円)
晴雨兼用の軽量折りたたみ傘(700円)
リサイクルコットンのキッチンクロスセット(300円)
靴の中敷き(300円)
などなど。
最後にカゴに入れたのは、ちょっとおしゃれなショッピングバッグ(500円)。これは普段使っているエコバッグが、丸めて持ち歩いていると広げた時にくしゃくしゃになるのが気になっていたので、くしゃくしゃにならなさそうな素材のものを選びました。「今日の買い物も全部これに入れて帰ろかな」、というつもりで。

ひとつひとつは「まあ、このぐらいなら」という価格なのですが、デザインが絶妙に良いので、「あ、これ、いいかも」「お、これも」と、ついつい買い物カゴに入れてしまいます。

セルフレジでスキャンし終えた瞬間、表示された金額は3,195円。
(心の声:え、3,000円超えてる!100均の系列に来たはずやのに・・・笑)

でも不思議なことに、不満はまったくありませんでした。

◆ なぜ「高くても不満がない」のか?


ここが、CX的に面白いと感じたところです。

人が買い物をした後に満足するかどうかは、「実際に払った金額」そのものではなく、「払った金額に対して、どれぐらいの価値を受け取ったと感じるか」で決まります。

要するに、「この品質とデザインでこの値段なら、いい買い物したな」と思えるかどうか。

200円の竹製小物入れは、正直、無印良品で買ったら500円以上しそうなデザイン。700円の折りたたみ傘も、この色味とこの軽さなら、普通のセレクトショップだったら2,000円ぐらいのイメージ。

ひとつひとつの商品で「え、この値段でいいの?」という小さな驚きが積み重なって、合計3,195円に対する不満が消えてしまったのだと思います。

しかも「100円ショップの系列店」という、事前のある意味「期待値の低さ」が、この「いい意味での裏切り」をさらに増幅させていそうです。

もし最初から「ちょっといいお店(?)に行くぞ!」と気合いを入れていたら、3,195円の受け止め方はまた違っていたかもしれません。ダイソー系列であることが、体験の満足度を押し上げる装置になったとも言えそうです。

◆ ちょっとだけ惜しかったこと、そして自力で「修正」した話


一方で、「ここがもう少し変わったら、もっといいのに」と思った点も正直にお伝えします。

この店舗は、ダイソー、Standard Products、THREEPPY(同じく大創産業のブランド)の3ブランドが併設されており、レジが共通でした。

レジはセルフレジ、バーコードスキャナーの横にレジ袋が吊り下げられています。

商品をスキャンしていくと、思った以上の量でした。
購入したショッピングバッグに入りそうではあるけれど、、、ここで、こう考えました。
(んー、買ったばかりのショッピングバッグに店内で詰め替えて、そのまま抱えて出ていくのって、ちょっと勇気いるよな・・・)

結局、レジ袋をスキャンしてカゴへ。

レジ袋は「ダイソーのロゴ入り」でした。


CXには「ピークエンドの法則」というものがあります。
人は体験全体の平均ではなく「一番印象的だった瞬間(ピーク)」と「最後の瞬間(エンド)」で体験を記憶する、というものです。

Standard Productsでの買い物体験のピークは、デザインのよい商品を次々とカゴに入れていく高揚感。ここは文句なしに良かった。

しかし、エンドの瞬間、つまりお会計を終えてレジ袋に入れるタイミングで、目に入るのは「DAISO」のロゴ。(DAISOを揶揄しているわけではありません!実際、よく使っていますので)

Standard Productsの世界観が、最後の最後で、ちょっとだけ途切れてしまうのです。

お店を出た後、私はショッピングモールのベンチに腰掛けて、ダイソーのレジ袋から、購入したばかりのStandard Productsのショッピングバッグ(500円)にせっせと中身を入れ替えました。

Standard Productsのロゴが入ったショッピングバッグを手に歩き出すと、「ああ、いい買い物をしたな」という気分がぐっと上がったのです(我ながらわかりやすい(笑))。

CX的に言えば、お客さんが自分の手で「体験のエンドを書き換えた」ということ。
レジ袋を買うかどうか迷った末に、わざわざ自分でエンド体験を修正するためにレジ袋を買っている。本来であればお店側がデザインすべき体験を、お客自身が手間をかけて補っているわけです。

これって、ある意味すごくもったいない話だと思いませんか?

もしStandard Productsのロゴ入り袋が用意されていれば、この「書き換え」は不要だったわけです。

もちろん、レジ共通のオペレーション効率を考えると合理的な判断です。
が、CX視点で考えると、ここだけは「惜しい!」と思ってしまいました。


購入品を並べてみたら、自然と北欧カラーに。


◆ 日常の買い物の中にも「CXの発見」がある


Standard Productsの体験をまとめると、こんな感じです。

  • IKEAと無印の「ちょうど間(小幡調べ)」という絶妙なポジショニング

  • 産地と組んだものづくりの誠実さ

  • デザインの吸引力で「つい買ってしまう」仕掛け

  • 期待値を上回ることで生まれる満足感

  • そして、体験のエンドを自分で書き換えた、惜しいラスト


こうやって日常の買い物をCX視点で振り返ってみると、何気なく過ごしている体験の中にも、いろいろな発見がありそうです。

皆さんも、Standard Productsを見かけたら、ぜひ足を踏み入れてみてください。
気づけばカゴがいっぱいになっているかもしれませんよ(笑)。

(執筆者:エクスペリエンスデザイナー 小幡 友)


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