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踏切オーディション #毎週ショートショートnote

「時間になりましたので、アピールをお願いします!」
カンカンカンカン…

踏切を挟んで、向かいにいる面接官が大声で話している。
電車が通り切るまでがアピールタイム。実質、電車が面接官の視界を遮る前までにアピールを終わらせる。

遮断機が下り切った。電車が通るまで、あと数秒。
横目でも、遠くから電車が迫っているのが分かる。

カンカンカンカン…
耳障りで、声でアピールしても良い未来が見えない。

ならばダンスとか、身体を動かす表現は。
短い時間で遠目でも惹きつけるダンスでアピールできるだろうか。

大舞台に立つ女優は、遠くの観客にも伝わる表現をするのだから間違いない。私は、慣れない動きで大げさにアピールしてみせた。

刹那、電車が踏切を通り過ぎる。
車窓から、乗客の多くがこちらにカメラを向けていた。最後列まで止まらないフラッシュ。私は、目を塞いでいた。

「3両目までは綺麗ですね。及第点でしょうか」
遮断機が上がり切ると、審査員は両腕で丸を作っていた。


参加させていただきました。

いつでも、あなたを見ているのは身近な人。
それは、一瞬にして消えてしまう人かもしれませんね。

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