海外で和食をつなぐということ
気がつけば2026年も2月が終わろうとしています。今年初の投稿になります。
昨年末から、水面下で動いていました。
和食専門のコンサル業を正式に立ち上げる準備をしていたのです。
役所への許可申請。
本業のオーナーへの副業許可の相談。
雇用契約書の確認。
私の場合は条件付きで承認されました。
① 本業の労働時間内には行わないこと
② 競合に関わらず、自社に不利益を与えないこと
③ 情報漏洩をしないこと
当然といえば当然です。その範囲で、副業としての活動が始まりました。
今回いただいた最初の依頼は、新規オープンする和食レストランへの一品のレシピ提供です。
条件は明確でした。
・日本人スタッフはいない
・設備は限られている
・オーナーのイメージに沿った料理であること
・再現可能であること
以前の私なら、この話に少し距離を取っていたと思います。
日本人を一人も置かない和食店。
いわゆる「なんちゃって」が多い現状。
私は長い間、それを自分の仕事の視野に入れてきませんでした。
けれどある時、ベルリンのIZAKAYAレストランを訪れました。
味に細かく言えば気になる点はありました。
でも、メニュー構成、空間づくり、料理の見せ方。
その店は、本気で和食ビジネスに向き合っていました。
「なんちゃって」ではなく、
必死に和食を理解しようとしている人たちがいる。
その姿を見たとき、考えが変わりました。
もし、そういう人たちに
私のように現場を長く経験してきた人間が少しでも関われたら。
ただ否定するのではなく、
日本の技術と、現地の現実のあいだに立てたら。
その瞬間に、はっきり思いました。
私は、橋渡しができる。
欧州で長く働いてきたからこそ、
現地の感覚も分かる。
日本の基準も分かる。
日本から来たばかりの感覚では難しい距離感も、
私はもう体感として知っている。
和食を守ることと、広げることは、
対立するものではない。
その間に立つ人間がいれば、
もっと面白いことが起こるかもしれない。
今回の依頼は、その第一歩です。
そして私は、今回始めたこのコンサル業を、単なる副業とは考えていません。
これは、自分の料理人人生における新しいフェーズだと思っています。
これまで現場で積み重ねてきた経験や技術。
失敗も含めて体で覚えてきた感覚。
それらを、これから和食ビジネスに挑む人たちのために使いたい。
ただ「本物」を押し付けるのではなく、
現地の現実と、日本の技術や考え方を結びつける存在として。
海外で和食に挑戦する人たちが、
もっと自信を持って、誇りを持って店を運営できるように。
そして、その店を楽しんでくれるお客様にも、
きちんと価値が届くように。
海外和食の未来は、
守るだけでも、広げるだけでもなく、
つなぐことの中にあるのではないかと、今は思っています。
今回の一歩は、そのための小さな始まりです。
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたサポートは今後の活動に有効に活用いたします!