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ことばの地図 #23|一燈照隅

stand.fmでお届けしている「ことばの地図」。
音声でお届けした言葉を、noteにも少しずつ残していきます。

声で聴くときとはまた違うかたちで、
文字としても、そっと届くものがありますように。


ことばの地図とは

人がそれぞれ、人生の中で大切にしている言葉。

勇気をくれた言葉。
支えになった言葉。
これから大切にしていきたい言葉。

この「ことばの地図」シリーズでは、ご縁のある人たちから寄せてもらったそれぞれの大切な言葉を、人生の地図に残る言葉としてご紹介しながら、その言葉から私が思い浮かべた景色や感じたことを添えてお届けしています。

あなたの言葉に、景色を添えて。

今日の言葉

今日の言葉は、

「一燈照隅(いっとうしょうぐう)」

です。

「一隅を照らす」とも表現されるこの言葉は、天台宗の開祖・最澄の教えに由来し、

自分のいる場所、自分の身近な場所を照らすこと。

一人ひとりが自分の持ち場で光を灯すことで、その小さな光が集まり、やがて社会全体を明るくしていくという意味が込められています。

この言葉を届けてくださった方は、

「一隅を照らすような生き方をしたい。」

そう話してくださいました。

自分の等身大で社会の隅を照らす。
そして、照らされた人がまた別の誰かを照らしていく。
そんなふうに光が響き合う社会になることを夢見ている、と。

私はこの言葉を読んだとき、とても静かで、それでいて大きな志を感じました。


「もっと頑張れ」ではなく、「今の場所でいい」

社会を変えるというと、
何か大きなことをしなければならないように思うことがあります。

目立つこと。
たくさんの人に影響を与えること。
大きな成果を出すこと。

もちろん、それも一つの形です。
でも、「一燈照隅」は、そんな派手な光ではありません。

自分のいる場所で。
自分の持ち場で。
自分の等身大で。
今、自分にできることをする。

その小さな光が誰かの心を少し明るくし、
その人がまた別の誰かを照らしていく。

そんな静かな広がりを感じました。


涙が止まらなかった言葉

この言葉との出会いは、人間学を学ぶ雑誌『致知』だったそうです。
この方は、ご主人が経営する会社を経理として支えながら、

社員のこと、
資金繰りのこと、
同居されている親御さんのこと、
子どもたちのこと……
たくさんの役割を抱えておられました。

日々の中には悩みも多く、
些細なことに感情が揺れる毎日だったと話してくださいました。

そんな苦しい時期に『致知』を紹介され、毎号読むようになり、
その中で東洋思想家・安岡正篤先生の
「一燈照隅」
という言葉に出会います。

そこには、
「遮二無二頑張らなくてもいい。自分の等身大で努力し、自分の持ち場を守ればいい。」
というメッセージがありました。
その言葉に出会い、涙が止まらなかったそうです。

そして、
「明日からまた、自分なりに頑張ろう。」

そう思えたと教えてくださいました。


その人がいることで、安心する場所

私はこのお話を読んで、胸が静かに熱くなりました。
実は、この言葉を届けてくださった方を私はよく知っています。

いつも穏やかで、人を大きく包み込むような優しさを持っておられる方です。私にとっては姉のような存在であり、コーチとしても先を歩いておられる、大切な方です。

だからこそ、あの優しさの奥に、そんな時間があったことを知り、
その言葉の重みがより深く伝わってきました。

きっと、この言葉は

「もっと頑張れ。」

と背中を押したのではありません。

「今のあなたのままでいい。」
「あなたの持ち場を、大切に守ればいい。」

そう語りかけてくれたからこそ、
立ち上がる力になったのだと思います。

思い浮かべた景色

私がこの言葉から思い浮かべた景色は、
夕暮れの道に灯る、小さな明かりです。
辺りは少し暗くなり始めています。

家の軒先や道の角に、
ぽっと一つ灯る明かり。
それは強く眩しい光ではありません。
遠くまで照らす光でもありません。

でも、その灯りがあることで、
そこを歩く人の足元が見える。

帰ってきた人が、
「ああ、ここに明かりがある。」と、ほっとする。

そんな景色です。

小さな灯りでも、そこにあることに意味がある。
誰かの足元を照らすには、十分な光なのだと思いました。

そして、その明かりを受け取った人が、
また自分の場所で灯りをともしていく。

そんなふうに、
光は静かに広がっていくのだと感じました。


この言葉が指し示す方向

この方が話してくださった、
「照らされた方がまた別の方を照らしていけば、響き合う社会になる。」
という言葉が、とても印象に残っています。

一人の光は大きくなくてもいい。
でも、その光が誰かに届けば、その人の中にも小さな灯りがともる。

そして、その灯りがまた別の誰かを照らしていく。
そうやって、人と人との間に温かな光が増えていく。
それが、この方の夢なのだと感じました。

今回の言葉が指し示している方向を、私なりに表現するなら、

自分の持ち場を、等身大で照らし、その光を次の誰かへつないでいく方向

です。

大きなことをしなければ意味がないわけではない。
偉くならなければ価値がないわけでもない。
今いる場所で、自分にできることをする。
自分だからこそ果たせる役割を大切にする。

その積み重ねが、
家庭の空気をつくり、職場の空気をつくり、
社会の雰囲気をつくっていくのかもしれません。

「一燈照隅」。

自分のいる場所を照らすこと。

それは、とても静かで、とても尊い生き方なのだと、
私は思いました。


今日の問い

今、あなたが照らしている場所はどこですか。

あなたが、等身大の自分でできることは何でしょうか。

そして、
あなたの小さな灯りを受け取った誰かが、
また別の誰かを照らしていくとしたら、今日はどんな一歩を選びますか。

あなたの言葉に、景色を添えて。


レターやコメントもお待ちしています

「ことばの地図」では、ご縁のある皆さんが大切にしている言葉や、今の自分に置いておきたい言葉も募集しています。

この文章を読んで感じたことや、あなたの中に見えた景色、浮かんだ音や音楽があれば、コメントやレターでそっと届けてくださると嬉しいです。



砂川めぐみ|ライフデザインコーチ

人が大切にしている言葉に耳を澄ませるように、対話を通して、その人らしい選択を行動と表現につなげるサポートをしています。

コーチングや講座については、ホームページでご案内しています。
https://cieloricco.com/


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