教習所規格外マニュアル
毎日22時に2人の娘の塾のお迎えに行く。
1.2キロの距離だが、夜道を歩かせることなく迎えに行けるのは、この私が『普通運転免許(AT限定)』をもっているからに他ならない。
子育てをする上で、この恩恵は計り知れない。この輝かしい免許を取得するために、私は幾多の困難を乗り越え1年弱もの歳月をかけた。
(何のことはない。途中で教習所不登校になっただけである。)
教習所の狭い敷地は、一旦停止、カーブ、右左折、クランク、駐車エリアなどがひしめき合っている。
あの教習所は、私という規格外で異次元の存在にとっては狭すぎたのだ。
教習所に通いはじめた20代前半の私。
その日は私より少し年上の男性教官(歴浅め)であった。彼は、私に対して運転中に次のような声かけをしてきた。
「メグリさん、そこは、指示器出さなくて良いよ!」
「あれ?左指示器出さなきゃいけなかったね。」
「えーっと、今は出さなくて良いよ。」
私は、さっぱり分からなくなって
「ちょっと、先生。一度車を停めさせてもらっても良いですか?」
と許可を得て、一旦車を停めた。
そして、失礼のないように。しかも、私のこの混乱をきちんと彼に理解させるべく正直な気持ちを伝えた。
「先生、先生は『指示機を出せ、ここは出すな。」と次々おっしゃいますが、なぜ、曲がる時に指示機を出してはいけない場所があるのか、私には さっぱり分かりません。私にも分かるように教えていただけますか?」
教官はしばし沈黙し首を傾げ苦悶の表情。
私は、教官を見つめる。どうか、この謎を解き明かしておくれ。君にかかっている!!
教官は思考し、私という規格外の教習生によってアハ体験をさせられた様子であった。
「、、、、そういうことか!メグリさん、このテキストの図をみてください。
この図は道なりのカーブです。この図は右折です。この図は左折です。右左折の時は指示器が必要です。でもカーブの時は、指示器は要らないのです!」
この説明によって、今度は私がアハ体験。
「!!!!! そういうことですか〜!やだ〜!右左折の時は周囲の車は私が右に行くのか左に行くのか分からない!!だから、指示機で知らせるんですね!道なりのカーブの時は、右カーブなら他の選択肢はない。左カーブも同様!
私、カーブの時も指示器を出していましたー。なんの意思表明なのよって感じですよね〜。アハハハ ア〜 恥ずかしい。」
、、、、。
、、、、。
非常に気まずい状況ではあったが、表面上はお互い平静を装った。
しかし、その回で私は完全無欠の規格外教習生として認知されたようである。
申し送り簿に「はい 規格外!」と規格外印でも押されたに違いない。
次の回からは、必ず前回の内容をおさらいしてから、新しいステージへと進むようになった。
後に、夫や友人から聞いて知ったことであるが、通常の教習生は例えばテキストの1、2、3、4、5、6の内容を習う際、
1日目は1、2、3 。
2日目は4、5、6。という要領で習うらしい。
私は規格外認定を受けているので🤣
1日目に1、2。
2日目に1、2、3、4。(難易度によっては1、2、3。)という規格外マニュアルで水前寺清子方式とも取れる教育を施されていたのである。
しかし、クランクは縁石に乗り上げる。縦列駐車は三角ポールに当たる。などの規格外異次元教習生であった私は、遂に、不登校になった。🤣
教習所は当時の住まいから徒歩3分の距離にあり、教習所の教官たちがマイカーを停める月極駐車場は、私のマンション駐輪場と隣接していた。
あーー 行きたくない。
教習所嫌だぁーーー。
不登校時代は、自転車を出す時に、馴染みの教官が居ると、気づかれやしないかと息を潜め、気を消した。(誰も気づくわけはないのだが、規格外の自意識過剰🤣)
教習所から目を背け、教官の駐車場脇では息を潜め暮らしていた私に夫の友人がこう言った。
「メグリ、学校は行かんといけんよ。」
そのシンプルな岡山弁によって、
「ですよね〜。」と重い腰を上げた私。
結局、散々縁石に乗り上げたクランクも、縦列駐車で当たり続けた三角コーンも、試験の時には1発合格。その前の筆記は満点に近い点数であった。
3人で交代して一般道を運転する試験の際は、「◯◯寺の交差点があるよね」と教官に言われても、他の2人ほどピンとこなかったが、合格できたのであった。
私は、運転免許を取得してから、ずっとミニバンを運転している。
規格外の私には、絶対に軽自動車が良い!と思っているが、
子どもが3人居て夫の運転で皆でレジャーに行くにはミニバン一択であった。
4年に一回は(オリンピックイヤーの如く)必ずと言って良いほど車体左後ろを擦るため、車両保険は必須である。
(先月、4年ぶりに左後ろをガリガリっとやった。しかも自宅駐車場で。)
基本的に自転車で行ける程度の距離を細心の注意を払いながら車でチョロチョロ動いているだけの私。
それでも、子どもたちの送迎を毎日毎日出来ている。
規格外が、日々 頑張っていることが尊い。
看護師免許の次に、大助かりな輝かしい誇らしい免許なのである。
2026.08.12
