百年に一度咲く彼岸花
昔々、山あいの小さな村に、
彼岸花の咲く古い野原がありました。
村には、こんな言い伝えがありました。
「百年に一度咲く彼岸花は、大切な人との約束を叶える」
ある年、村の少女が野原で赤い彼岸花を見つけました。
「こんなところに、お花が……」
それは、百年に一度しか咲かないという伝説の彼岸花でした。
少女は花の前で、そっと願いました。
「もう一度、おばあちゃんに会いたい」
すると、風がふわりと吹きました。
花びらが一枚、少女の手のひらに落ちます。
その瞬間、遠くから懐かしい声が聞こえました。
「元気にしてるかい?」
少女は振り返りました。
けれど、そこには誰もいません。
ただ、優しい風が吹いているだけでした。
少女は涙を拭いて、笑いました。
「うん。元気だよ」
その夜から、少女は少しずつ前を向けるようになりました。
百年に一度しか咲かない花が叶えたのは、
願いそのものではありません。
大切な人からもらった言葉を、
もう一度、胸の中で聞くことだったのです。
翌朝。
野原の彼岸花は、
静かに姿を消していました。
けれど少女の手のひらには、
赤い花びらが一枚だけ残っていました。🌺
片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
