Agentforce+Data CloudによるRAG構築におけるAgentforce Data Library(ADL)とは
1. RAG構築の要:Data CloudをAIの“知識の母艦”にする 💡
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、生成AIが回答を出す前に外部データを検索・参照して知識を補う仕組みです。
Salesforce AgentForceでは、このRAGアーキテクチャをData Cloudを中心に構築します。
Data Cloudは、顧客・契約・行動履歴などのデータをリアルタイムで統合・整形し、AIが必要とする文脈データを常に最新の状態で提供します。
これにより、AIが「この顧客は最近どんな問い合わせをしたか」「現在の契約状況は?」といった質問に、実データに基づく精度の高い回答を返せるようになります。
RAG構成におけるData Cloudの役割は、“AIが現実世界の文脈を理解するためのデータ基盤”であり、情報の鮮度・関連性・信頼性を担保する中核です。
そして、そのData Cloud上でAIが参照するための“情報の辞書”となるのが、今回のテーマである**Agentforce Data Library(ADL)**です。
2. Agentforce Data Library(ADL)とは?AIが読む“データカタログ” 📚
Agentforce Data Library(ADL)は、AgentForceがRAG構成で利用するデータソースやインデックス情報を管理する“データ辞書”のような存在です。
AIにとっては、**「どこに何のデータがあり、どのように使うか」**を理解するためのガイドマップにあたります。
💠 ADLの主な役割:
・データ参照の統一化:Data CloudやSalesforce内部オブジェクト、外部APIなど複数ソースをAIが統一的に扱えるようにする。
・メタデータ管理:フィールド名、データ型、関連性、利用制限などを定義し、AIが検索・生成時に正しい情報を使えるようにする。
・インデックス連携:RAGの検索用インデックス(ベクトルDB)と連動し、AIが「どの領域から検索すべきか」を自動判断できるようにする。
💬 たとえば…
AgentForceが「顧客の契約更新状況を確認して」とリクエストされた場合、
ADLは「契約情報はData Cloudの契約DLO」「更新日と顧客IDをキーに検索」「保証条件はFAQインデックスから補完」
という形で、AIに“どのデータをどの順序で参照するか”を指示するわけです。
つまりADLは、AIが単なるテキスト生成に留まらず、**実データを文脈として活用できるようにする“知識インフラ”**なのです。
3. ADL × RAG × Data Cloudで実現する“動くナレッジ基盤” 🚀
Agentforce Data Library(ADL)が存在することで、RAG構築の運用は一段とスマートになります。
これまでRAGでは、データソースの種類ごとに接続・検索・整形の設定を手動で行う必要がありました。
しかしADLを導入すれば、Data Cloudを中心に一元的にデータ構造・関連・アクセス制御を管理できるようになります。
🔹 ① 検索の最適化(RAGの精度向上)
ADLが定義するメタデータにより、AIは質問の内容に応じて「構造化データ(DLO/DMO)」と「非構造データ(FAQ/ドキュメント)」をハイブリッド検索できます。
たとえば「この顧客に該当する保証条件は?」という質問に対して、
Data Cloudの契約DLO(構造化データ)と、保証FAQインデックス(非構造データ)を組み合わせたハイブリッドRAG検索が可能です。
🔹 ② アクセス制御とトレーサビリティ
ADLはEinstein Trust Layerと連携し、どのAIエージェントがどのデータソースを利用できるかを制御します。
また、すべての参照ログを追跡できるため、「どの情報を根拠に回答したのか」が明確になります。
これにより、AIの回答に対する透明性と監査性が担保されます。
🔹 ③ ナレッジの継続的拡張
ADLを利用すれば、新しいデータソース(例:外部CRMやサポートDB)を追加する際も、再構築の必要がありません。
Data Cloudとのスキーマ連携を登録するだけで、AIが新しい情報を即座に活用可能になります。
つまりADLは、“企業ナレッジを常に最新の形でAIに届けるブリッジ”なのです。
まとめ ✨
Agentforce Data Library(ADL)は、AgentForceとData Cloudをつなぎ、RAG構築をよりスケーラブルかつ安全に運用するための中核コンポーネントです。
Data Cloudが“データの母艦”、RAGが“知識活用の仕組み”だとすれば、ADLはその2つを結ぶ“知識の索引”。
AIが何を・どこから・どう使うかを定義することで、組織のナレッジを「動く知識」として活用できるようになります。
まとめると、ADLは単なる管理ツールではなく、**“AIが企業データを正しく理解して動くための共通言語”**です。
RAGとData Cloudの間にADLを置く──それは、AgentForceが企業AIプラットフォームとして進化するための決定的な一手なのです。
