15万円分のチケットでAgent Studioを試し、結局Pythonに戻った話
この記事は AI エージェント初心者向けです。
Agent Studio を試した理由
一つ前の記事の余談です。
A11y シミュレータは、もともと Geminiの課金が重そうで、いったん棚上げしていたプロジェクトでした。
PlaywrightでWebページを操作し、そのログを規格資料と照らし合わせ、AIでレポートにする・・作りたいもののイメージはあったものの、2ヶ月ほど放置。
そこへ、Google CloudからAgent Builderに使える15万円分のチケットをいただきました。
期限もあります。
せっかくなので、何か試してみたい。
ということで、棚上げしていたA11y シミュレータとAgent Builderを、やや強引につなげることにしました。
まずは、1つのエージェント内で完結させてみた
最初に作ったのは、エージェントへの自然言語での指示(プロンプト)で、順次処理をさせるという形でした。
Agent Studioのチャット
↓
エージェント
├─ シミュレータの呼び出し(MCP → Python on Cloud Run)
├─ データストアAの検索(AgentSearch)
├─ データストアBの検索(AgentSearch)
└─ エージェント内のGeminiでレポート作成
ここでいうMCPは、AIから外部の処理を呼び出すための共通の接続方法です。
Webを巡回するシミュレータ部分のみCloud Run上のPythonで動かし、その結果をエージェントに返します。
でも、この構成では、「順を追って順番に処理してね」という指示がうまく機能せず、結局ユーザーがチャットで手動介入しないと先へ進みませんでした。(本当は、混乱の元なので介入してはいけないらしいw)
「時間かかりすぎなので状況を調査して」→「すみません、中断してたので再開します」→だんまり
「時間かかりすぎなので状況を調査して」→「レポートの作成が完了しましたのでご報告します」
ここまで10分以上・・・みたいな。
本来は、状況はトレースログで監視するみたいですが、当時は方法を知りませんでした。
次は、メインの処理をまるごとPythonに任せてみた
次に作ったのは、比較的単純な構成です。
Agent StudioのチャットでURLを受け取り、MCPを経由して、Cloud Run上のPythonを1発だけ呼び出します。
Agent Studioのチャット
↓
MCPツール
↓
Cloud Run上のPython(PW,AgentSearch,Gemini)
↓
診断レポート
Agent Studio側から見ると、「このツールへ指定の形式でURLを渡せば、あとは裏で診断を全部やってくれる」というシンプルな窓口になります。
これは最後レポートまで生成してチャット画面に出力してくれました。
ただし、Previewのチャット画面から、Pythonの診断処理の呼び出しが、最初の1回だけはタイムアウトしてしまいます。
Cloud Run がコールドスタート(課金を抑えるため)だからですが、ここは仕方ないのかな、と。
子エージェントにも分けてみた
処理を役割ごとの子エージェントへ分ける、という構成も試しました。
全体を指揮するエージェント
Playwrightを動かすエージェント
WCAGやJISを調べるエージェント
修正案を考えるエージェント
レポートを保存するエージェント

画面で見ると、なかなかきれいです。
一つの大きな処理に全部詰め込むより、専門の担当者へ仕事を振り分ける。いかにもマルチエージェントらしい構成でした。
どの子エージェントを呼ぶのか
どの順番で動かすのか
途中の結果をどう渡すのか
失敗したらどこからやり直すのか
といった制御は、親エージェントのプロンプトに記述します。
ただ、実際に動かすと、どこかで止まる。
チャットで状況を訊ねる→また動き出す→とまる
と、いう感じでした。(→ 混乱の元なので介入してはいけないらしいw)
それが、今記事を書こうと動かしてみたら、なんと、爆速で最後まで走り通しました(コールドスタートなので2回目から、という条件ですが)。
2ヶ月の間に何か進化したのかも、ですね。(末尾にGemini からの回答を貼ります)
最終的に、Python on Cloud Run 1本に
この処理は、自由に相談しながら進める仕事というより、順番の決まったパイプラインです。
Playwrightを実行
↓
規格資料を検索
↓
改善案を検索
↓
Geminiでレポートを作成
↓
GCSへ保存
現在は、
Firebase Hosting (HTML) → Cloud Run (Python) → GCS (レポート保存)
という、完全なコード制御の構成に落ち着きました。
けっこう経済的に遊べる環境
というわけで、結果的にAgent Studio は「AIエージェントのイメージを掴むための教材」的な役割を果たしてくれた感じです。
そういえば、Agent Platform の各機能は無料枠が大きいことと、別枠で1ヶ月限定チケットをもらえたこともあり、Agent Builder限定チケットの15万円がまったく減りませんでした。そこばびみょーな気分。
Agent Platform を小規模で試すぐらいなら、無料の範囲でかなり遊べそうですね。
(余談ですが、たしか5月1日、GoogleのAIエージェント基盤が「Gemini Enterprise」へ大幅にリブランディングされたタイミングだったためか、作業途中でメニューの名前や場所が変わり、大混乱でしたw)
15万円分のチケットがなかったら
そもそも、Agent Builder用の15万円分のチケットがなければ、Agent Studioを使った「フロントエンド=チャット」の構成は試していなかったと思います。
その存在すら、私のアンテナにはひっかからなかった可能性も高いです。
でも今回のことで、Agent Platform のデータストア機能や Agent Search といった、安価なRAG基盤を知ることができたのは大きな収穫でした。
やり残したことがあるならば、一度もデプロイを試していないことです。
Agent Runtime にデプロイして外部からAPIとして呼び出せるようなので、時間に余裕ができたら、勉強として試してみたいと思います。
付記
質問:子エージェントに分けた構成が安定化かつ爆速になったのは、なぜかわかる?
理由:Google側で裏側の「LLMモデル」と「エージェント制御基盤」が大幅にアップデートされたためです。
AIの世界、特にGoogle Cloudの進化スピードは凄まじく、2ヶ月の間に主に以下の3つが劇的に改善されたと考えられます。
基本モデル(Gemini)のルーティング・ツール呼び出し精度の向上
2ヶ月前は「子エージェントにバトンを渡したあと、返答をどう解釈すべきか迷って待機状態(手動介入待ち)になる」という不具合がよくありました。
直近のGeminiモデルのアップデートにより、「次の中継先へデータを渡して自動で実行を継続する(Hand-off)」という指示追従能力(Instruction Following)が飛躍的に高まりました。
Agent Studio(オーケストレーション基盤)のバグ修正
Agent Studio自体が比較的新しいプロダクトのため、エージェント間のデータ受渡しの詰まりやループ発生といった基盤側の不具合が、この2ヶ月でサイレント修正された可能性が非常に高いです。
推論速度(レスポンスタイム)の高速化
モデルの生成速度(Output Speed)やツール呼び出しのレイテンシが最適化されたため、途中でタイムアウトせずに「爆速で最後まで走り切る」ようになったと考えられます。
以上長くなりました。ここまでお読みくださりありがとうございました。
