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【1期 第1話】 ラブライブ! 「叶え!私たちの夢ーー」完全解説レビュー

はじめまして、めんたいです。
今回からアニメ「ラブライブ!」の感想と解説を全26回に渡って綴っていこうと思います。
書き方の都合上ネタバレを多分に含みます。全話視聴後にご覧いただけると幸いです。


0. 前書き

飛ばしていいです。
便宜上自己紹介とこの記事を書くに至った経緯を書いておりますが、そんなことより少しでもラブライブ!の魅力を見ていってください。
私は2013年の冬に友人の勧めでラブライブ!を見て感銘を受け、以降12年近くラブライブ!を推し続けてきました。ラブライブ!のアニメはかつて社会現象を巻き起こしたほど影響力のある作品である一方で、令和になりその実態を知る人は着実に数を減らしてきました。またアニメ上のオーバーとも取れる脚本や演出が批判の的になっていることも否めません。

しかし断言します。私はこれまで多くアニメを見てきましたが、「ラブライブ!」は全アニメの中でも最高クラスに完成度の高いアニメ作品の一つです。今回はそんなラブライブ!の魅力を私の持てる力を総動員させて綴らせていただきましたので、最後まで読んでいけたら幸いです。


1. 最強の”つかみ” ススメ→トゥモロウ

「ラブライブ!」のアニメは唐突な歌唱パートから始まります。

「だって可能性感じたんだ、そうだススメ。後悔したくない目の前に僕らの道がある。」

演説でも、お笑いでも、そしてアニメでも、他人に何か聞いてほしい時に大切とされる技法のひとつに”つかみ”というものがあります。話の本題に入る前に注意を惹いて無関係の他者にとりあえず関心を持ってもらう、そして自分たちの世界に引き摺り込む、そんな役目を持つ”つかみ”ですが、このアニメの”つかみ”の上手さといったらもう凄いです。

物事の始まりを予期させる鮮やかな桜を背景に、それに全く見劣りしない美しい横顔を魅せるのはこのアニメの主人公、高坂穂乃果。そしてキャラクターボイスを務める新田恵海さんの美しい歌声に視聴者の意識は自ずと画面の中へと吸い込まれていきます。

興味を惹きつける手段にも多々ありますが、ここでは突然の歌によって視聴者に「なんでこの子は歌っているのだろう?」と疑問を持たせることで意識を繋ぎ止める技法が用いられています。広告なんかでよく見る手法ですね。

ここで歌われるのはアニメ1期のテーマソングとも言えるであろう楽曲「ススメ→トゥモロウ」。
「だって可能性感じたんだ、そうだススメ。後悔したくない目の前に僕らの道がある。」
突然飛び出した歌詞のこの圧倒的なまでの力強さ。アニメが始まってひとこと目に出てくる言葉がこれですよ!? この曲はラブライブ!という作品が単なるアイドルアニメではなく、高校生の青春と葛藤を詰め込んだ、前向きで勇気をもらえる作品であるという事実を開始10秒で視聴者に知らしめているわけです。

この曲は1話の最後、13話、また2期1話など今後アニメを通して何度も登場することとなりますが、物語の最初に視聴者に聴かせておくことで今度から聞き馴れた安心感のある曲にもなります。オタクが大好きなオープニング曲の作中登場演出と同じ原理ですね。

また、ラブライブ!という作品はフィクションであり、街中で急に歌ったり踊ったりするミュージカル調の作品ですが、この冒頭の「ススメ→トゥモロウ」は初手から歌い出すことでそんな現実とのギャップから生じる違和感を和らげる役割も持っています。

この冒頭の歌い出しにはこのように、穂乃果の美しい横顔と新田さんの圧倒的歌唱力で視聴者を振り向かせ、疑問を投げかけることで意識を繋ぎ止めつつ、音楽で勇気を与えてくれるラブライブ!という作品の本質を丸ごと説明しきってしまっている、世界最強の"つかみ"なのです。

何かを決心したような顔で歌う穂乃果。あまり見慣れない凛々しく真剣な顔つきです。ずっと笑顔な彼女だからこそこういう描写があると刺さりますね。

そして吹っ切れたような笑顔で走り出します。この2カットだけでも、何事にも前向きに突っ込む穂乃果の性格が伝わってくる気がします。

ぼらららのMVを彷彿とさせるハイジャンプ。
こうしてラブライブ!のスタートはジャンプで始まります。
穂乃果といえばジャンプをしているイメージがありますが、この作品においてジャンプは大きな意味を持ちます。詳しくは後ほど話しますので頭の片隅に入れておいてください。

「これがわたし、高坂穂乃果、高校2年。今私の通う音ノ木坂学院が大ピンチなの!それは昨日突然理事長によって伝えられた、学校廃校のお知らせがきっかけだった…!」

なんて的確で分かりやすい説明。冒頭で惹きつけた視聴者の意識が離れる隙を与えません。

ここで、本編初の劇伴「(絶望)[LM05]」と共に μ's 2年生組が登場します。

ラブライブ!のアニメを魅力的にしているものの一つに劇伴というものがあります。アニメの中で流れる歌詞を伴わない音楽のことで、サウンドトラックなどとも呼ばれます。このデデーン!と初手から落としていく分かりやすさと、それでも深刻になりすぎないポップさの両立。ラブライブ!の劇伴はそれだけでたくさんの固定ファンがいるほど、奥深く魅力的です。

廃校のショックでぶっ倒れる穂乃果。

海未「穂乃果ッ!!」
ことり「ほのかちゃん!!」

二人が名前を連呼することで視聴者の頭に主人公の名前を刷り込ませます。名前を覚えると人は愛着を持つもの。主人公の名前を覚えさせるのはアニメの1話の最重要事項でもあります。

穂乃果「私の輝かしい、高校生活が〜!」

時間にして約1分12秒。
ここまでがアニメ「ラブライブ!」の最初にして最強の”つかみ”のパートです。テンポの良い進みに思わず息をするのも忘れて見切ってしまいます。この数秒で視聴者を惹きつけ、ラブライブ!という作品を説明しきっちゃってるわけです。なんと美しいスタートでしょう。

2. 「僕らは今のなかで」

そして親の顔より見たラブライブ!のロゴと共にオープニング曲「僕らは今のなかで」が始まります。
この文字通り”開幕”から始まるオープニング、ミュージカル調のラブライブ!の始まりにピッタリすぎて大好きです。この画像を見たら頭の中で勝手に僕今のイントロが流れる人も少なくないのではないでしょうか。

2013年の作品とは思えないほどハイレベルなCGと作画の融合。μ's First LoveLive! をオマージュした衣装は、まさに μ's の新たなスタートであるアニメのオープニング曲にふさわしいと言えるでしょう。

通常アニメの1話ではオープニングをラストに持ってくるのが一般的ですが、ラブライブ!では開始1分でOPを持ってきちゃってます。最初に2年生、次に1年生、最後に3年生と歌詞を繋いでいってサビでは9人が揃った姿を見せることで、紆余曲折があろうとも最終的にはメンバーが揃うことを示して視聴者を安心させてくれます。

この曲、歌詞も挿し絵もメロディラインもめちゃくちゃすごくて、タネと仕掛けだらけで全部解説してたらそれだけで記事が一つ書けてしまうのですが、それはアニメ解説の本質ではないので今回は泣く泣く割愛させていただきます。
いずれアニメ本編で出てくるかもしれませんしね…  きっとその時にはまた新しい意味合いを持って生まれ変わる予感がするので、解説はその時でも遅くないのかなと。

ただひとつだけ言いたいのは、この曲は単なるポジティブソングではないということです。ファーストシングルである「僕らのLIVE 君とのLIFE」では始まりにふさわしいポジティブな言葉が並べられていましたが、この曲は少し様相が異なります。

「楽しいだけじゃない、試されるだろう。だってその苦しさもミライ」

μ's のアニメはラブライブ!プロジェクトの軌跡を映し出しす”鏡”として機能していることで有名ですが、ラブライブ!プロジェクトにとってこのアニメは、まさに新しい挑戦の始まりといえます。
無名の突発企画として始まり今までたくさんの苦労を乗り越えながらとうとうアニメ化まで漕ぎつけた「ラブライブ!」。このアニメでもう一度心機一転、新しいスタートをきってラブライブ!をさらに大きなコンテンツにしていきたい、このアニメにはそんな願いが込められているように感じます。

そのためアニメ1期は”再スタート”というテーマがとても強調されて描かれています。一度無謀な夢に向かって走り始めた穂乃果が挫折して、それでもまた新たな夢に向かって走り始める、これについては1期13話の解説でまた詳しくお話ししますが、テレビアニメ1期は簡単に言うとそんな物語です。

ススメ→トゥモロウの最初の歌詞、つまりこのアニメの始まりの最初の一言も「だって」という否定形から始まりますよね。無理かもしれない、無謀かもしれない、でも、だって、可能性感じたんだ。
この歌詞は1期13話と2期1話で穂乃果が再び走り始める前にも引用されています。

そしてそれは僕今も一緒。ぼらららと違ってサビ前に一度ネガティブな歌詞を挟みます。穂乃果と絵里が喧嘩しているような描写も印象的ですよね。今まで楽しいことだけじゃなかった、でもその苦しさもミライ。挫折しても立ち上がってもう一度新しい夢を追いかけ始める、この歌はアイドルアニメにそぐわないネガティブなフレーズを挟むことで、そんなラブライブ!プロジェクトにとってのアニメ像と不屈の精神性を的確に表現している歌のように感じます。

3. 動いて解説するのがアニメーション

お待たせしました、お待たせしすぎたかもしれません。ようやくアニメ本編がスタートです。
「ルンルン↑どんより↓[LM06]」の劇伴と共にスキップをする穂乃果。テンションの浮き沈みの激しい穂乃果の性格を分かりやすく表現してる良い劇伴です。

ここで皆さんお馴染み”神モブ”ことひふみ3人組が登場。今後幾度となく μ's のピンチを救ってくれることになる彼女たちですがその話はまた後ほど…

始まって早々話が逸れますが、サブタイトル「叶え!私たちの夢ーー」について。このサブタイトル、よく見ると2期13話の「叶え!みんなの夢ーー」と対比になっていますよね。実は対比になっているのはサブタイトルだけでなく、1期1話と2期13話の構成はあらゆる箇所で対応しており、その変化の重みを感じることができます。

例えばこの画像のシーン、神モブの3人に穂乃果が「ヒデコ、フミコ、ミカ、おはよ〜!今日もいい天気〜」と挨拶をしますが、これ2期13話の冒頭でも全く同じ挨拶をしてるんですよね。違うのは穂乃果を取り巻く状況。その変化を知っているからこそ、この何気ない挨拶でも胸にくるものがあります。

この他にも愛ばんや屋上の演出、ススメとハピメ、生徒会室のえりちの言葉など対比構造になっている箇所はあげればキリがないのですが、今話しても仕方ないのでまた2期13話の解説の際にひとつひとつ取り上げようと思います。
本編に戻りましょう。

ここ面白いですよね。スキップしてたら一面廃校のお知らせでガーン!
劇伴の魅力も相まって見てて楽しいです。
この廃校のお知らせ用紙も丁寧に作り込まれていて、もちろんこんな壁一面に同じお知らせが貼ってあることなんて現実では無いのですが、リアルとフィクションがうまい塩梅で両立されていて違和感なくギャグパートを楽しめます。
画面が常に面白く、見てて飽きるシーンがないのもこのアニメの大きな魅力の一つです。

さて、海未ちゃんとことりちゃんの登場です。いよいよお話が動き始めます。
といっても1話なのでやることは舞台設定と人物紹介。”つかみ”で捕まえた視聴者の意識に世界観を植え込んでいきます。

しかし1話の説明パートは鬼門です。視聴者に興味を持たせて分かりやすく設定を覚えさせるのは実はとても難しいこと。ここでうまく視聴者を取り込めるかどうかが、アニメ成功の明暗を分けます。

ですが心配ご無用。冒頭のつかみだけでなく実はこの説明パートの部分もこのアニメは超一流なんです。安易に口頭説明に走ることなく、キャラを動かして説明することで視聴者にわかりやすく世界観を提示していきます。

といってもなんのことか意味不明だと思うので、具体例を見ていきながら解説していきます。

穂乃果「ん〜今日もパンがうまいっ!」
海未「太りますよ…」

言わずもしれた穂乃果の名言シーンですが、ここで2年生3人組の仲の良さと、お茶目な穂乃果、しっかり者の海未のキャラづけが行われてます。

絵里の登場。絵里が廃校を気にかけてる堅物生徒会長であること、希は優しげな補佐ポジションであること、そして理事長がことりのお母さんであることなどが明かされます。

絵里の言葉を機に音ノ木坂学院の魅力を調査し始める穂乃果たち。3人の発言や行動から、我々視聴者も彼女らの通う音ノ木坂がどのような学校かを一緒に知ることができます。

穂乃果「この学校のいいところ?うーんと、歴史がある!他に?伝統がある!えー同じー?う〜ん、ことりちゃん〜!」
ことり「うーん、強いて言うなら、古くからあるってとこかな…?」

ここ一番好きなギャグシーン笑。ことりの少し抜けていてお茶目な一面が伝わってきます。

音ノ木坂の魅力が伝統であり逆にそれ以外に飛び抜けたアピールポイントがない、これこそが穂乃果たちがスクールアイドルを始める動機づけ。後に登場する新進気鋭の高校「UTX」、そして μ's の最大のライバル「A-RISE」とのうまい対比にもなっています。こういうところも意外と緻密に描かれていていいですよね。

穂乃果「あんこもう飽きた〜!」
ほのママ「穂乃果!和菓子屋の娘があんこ飽きたとか言わないの!」

帰宅後、穂乃果の名言と共に作中最重要キャラのひとり、高坂雪穂が登場します。この雪穂こそ我々ラブライバーの代弁者。作中を通してμ's の一番近くで彼女たちを見続け、μ'sに一番影響を受けてそしてμ'sに一番影響を与える、まさに「みんなで叶える物語」を体現している人物です。彼女の動向にはこのアニメを読み解くヒントがたくさん詰まっており今後要注目です。

このシーンで穂乃果と妹の雪穂が代々続く和菓子屋の娘であることが明かされます。地域に根付く老舗の和菓子屋といったら人の温かさの象徴のようなもの。伝統の音ノ木坂で周りを巻き込んで成長する穂乃果のキャラ付けにぴったりです。

そしてそれとは対照的に流行雑誌を読んでUTXを受験しようとする雪穂。いずれ雪穂も音ノ木坂を受験するように心境が変わっていくのですが、その素晴らしい変化の過程はまた追い追い…

雪穂の読んでる雑誌から穂乃果はスクールアイドルの存在を知ります。雪穂がUTXを受けようとしなかったらそもそも μ's は無かったのですから不思議な話ですよね。ここから穂乃果たちはこの時雑誌で読んだ伝説のアイドルの背中を追いかけていくわけです。(この初めて穂乃果がA-RISEを知るシーン、スノハレ前後の2期の絡みや劇場版の色々なシーン思い出してすでに泣いてしまいます。)

ここで物語は転機へ。お母さんの読んでた卒業アルバムを見た穂乃果。そこにはたくさんの音ノ木坂の先輩達が今と変わらない校舎で何気ない日常を送る姿が。

これを機に、今まで”ただ古くからあるだけ”だった伝統が、"母や祖母を含めたたくさんの人の大切な思い出"としての伝統に穂乃果の中で変わっていくわけです。

(これも先ほどのことりの「古くからあるだけ」の発言があってこそ変化の対比が活きてきます。ギャグシーンもしっかりとお話を構成する要素の一つに昇華されていて本当によく出来たアニメです。

今まで自分の編入試験を気にするなどさほど廃校を重大視してなかった穂乃果ですが、ここからどうすれば廃校を阻止できるのか真剣に考えるようになります。

実はこれこそラブライブ!の根幹。穂乃果の本質であり、μ's の本質でありそしてスクールアイドルの本質でもある「みんなで叶える物語」。その第一歩。

μ'sの原動力は”みんなの想い”。自分のことだとうまく行動に移せなくても、他の人の想いが重なり合うことでそれが原動力となって普通じゃできないような奇跡さえ起こせてしまうのです。

この穂乃果の心境の変化は「過ぎ去りし日々[LM09]」の素晴らしい劇伴も相まってとても丁寧に描かれており、第1話最大の見せ場のシーンの一つです。

お母さんが生徒会長だった頃の写真も出てきます。感傷に浸っていたお母さんの音ノ木坂への思いの強さが分かりますし、この描写はのちに穂乃果が生徒会長になることを示唆しているのかもしれませんね。

少し話が逸れてしまいました。先ほど一話の説明パートは鬼門と書きましたが、このアニメはこのように穂乃果を動かして周囲をそれに呼応させることでその説明パートを難なくこなしています。
お昼に仲良くパンを食べたり、校内の古い場所を巡ったり、母のアルバムを覗いたりと、上記で見てきたように穂乃果が起こすアクション全てがラブライブ!内の作品説明として機能しており、視聴者に楽しくテンポよく世界観を説明しているのです。

こういった説明はモノローグや会話など単調に言葉を並べるだけでも済ませられますが、手を抜かずアニメーションの魅力であるキャラの動きを使ってちゃんと説明しようとしているところに製作陣の熱量を感じます。製作陣が本気で作ってくれてるからこそ面白いアニメが出来るし、我々も熱くなれるのです。

画像の「お姉ちゃんが早起きをするなんて」「遠足の時以来ね」
という高坂家の会話も穂乃果の無邪気さを表している描写です。UTXの存在を知ってワクワクしてるんでしょうね。


その後の海未ちゃんとことりちゃんが通学路で穂乃果を待っている描写も2年生3人組の中の良さを表してます。

こういう描写も本来絶対必要ではないですが、やっぱりあると後々のキャラの動きに説得力が出てくる。

1話の最後の海未とことりがスクールアイドルを始めようと決心するシーンとかも見ていて全然不自然じゃないですが、それはこういう小さい積み重ねの成果なんですよね。そしてこのように何気ないキャラ付けを怠らないこのアニメだからこそ、我々もキャラへの愛着も深くなっていきます。

全話を通じて完成度の高いこのアニメですが、特にこの1話は絶対にアニメ化を成功させてやろうという製作陣の溢れんばかりの熱を至るところから感じます。

UTXを下見しにいく穂乃果。綺麗なほっぺが汚れちゃうよ…

ここでとうとう伝説の登場です。最強の名に相応しい圧巻のパーフォーマンスを見せるA-RISEに穂乃果は衝撃を受けます。
ここのA-RISEのパフォーマンスもよく作り込まれてていいですよね。Private Wars 1番をほぼフル尺でやる度胸、そして完成度の高さ。私も穂乃果と一緒に見入ってしまいました。

文句のつけようのない素晴らしい演技を見せる彼女達ですが、このPrivate Warsにも実は小さな仕掛けがあります。

歌詞を見てみましょう。
「群れるのキライよ」
「孤独の切なさわかる人だけど」
「お互いの場所でお互いの想い高めるeach other's day」

わかるでしょうか。歌詞の中にA-RISEらしくひとりで高みを目指す姿勢がたくさん書かれています。
みんなの想いを武器に戦っていく穂乃果たちと対になる存在として描かれる彼女達の姿は、μ's と対比するかのように"孤高"というイメージを強調して描かれているのです。
そもそもPrivate Warsという曲名自体「私一人の戦い」といったニュアンスの言葉ですよね。
この孤高の姿勢こそA-RISEがアイドルとして最強たる所以であり、またそれと同時に、"スクールアイドル"としてのちに μ's に破れる所以でもあるんです。

完璧なアイドルとして孤高を目指すA-RISEと不完全ながらもみんなの想いを背負うスクールアイドルとして戦うμ's。
この概念はラブライブ!のアニメを語る上で決して避けては通れない道なので詳しくはA-RISEとの絡みが増える2期でまたたくさん書くと思いますが、1期1話の時点でこの姿勢を明確に描いているこのアニメは本当にすごいです。


話を戻しましょう。

A-RISEの映るモニターに花陽、凛、にこの3人がやってきます。

このシーンのもう一つの見どころはこの4人の反応の違いです。

いまいちピンとこないような顔でいる凛、憧れの眼差しをでモニターを見つめる花陽、悔しそうな表情を見せるにこ、そして浮かされた表情で頬を赤らめる穂乃果。
この4人の反応はそれぞれの性格の違いを示しているだけでなく、1期3話で「START:DASH!!」を見た時の反応の変化にも現れてくるのでよーく覚えておいてください。

「この時私の中で最高のアイディアが閃いた!」
これにてAパート終了です。<ラブライブ!

4. 理事長への談判

さあ、Bパートが始まりました。
ここまでが濃密すぎて少しお疲れの方も多いかと思いますが、まだまだこのアニメの勢いは衰えません。というかここからが本番です。
解説の熱も上げていくのでぜひお付き合いください。

Bパート開始早々、1話の中でも特に面白い目玉シーンのお時間です。
このシーンでは廃校を阻止しようと理事長室で奮闘する絵里と、同じく廃校阻止のためにスクールアイドルを始めようとする穂乃果の会話が交互に切り替わって描かれるのですが、これがまた面白い。

以下会話の概略です。頭の中でボイスを再生してお楽しみください。


絵里「生徒会としても学校存続に向けて活動していこうと思います。」
穂乃果「人気のスクールアイドルがいる学校は入学希望者も増えてるんだって!」
理事長「ですがそう簡単に生徒が集まらないからこそのような結果になっているのです。何か良い方法があるのですか?」
海未「私たちでスクールアイドルを始めようとか言うつもりでしょう?」
穂乃果「さすが海未ちゃん。だったら話は早いね〜。今から先生のところに行ってアイドル部を!」
理事長「思いつきで行動しても簡単に結果は変わりません。」
穂乃果「なんで!だってこんなに可愛いんだよ?」
海未「そんなことで本当に生徒が集まると思っているのですか?穂乃果の好奇心だけで上手くいくはずないでしょう!」
絵里「でもこのまま何もしないわけには!」
理事長「ありがとう絵里さん、その気持ちだけ受け取っておくわ。」
海未「はっきり言います、アイドルは無しです!!」

教室でスクールアイドルの是非をめぐって話し合う穂乃果と海未、校長室で生徒会の活動をめぐって話し合う絵里と理事長、離れた場所にいるはずのこの4人の会話がうまく重なり合い、まるでお互いが会話し合っているかのような構成になっています。

少し間の抜けたジャズテイストが印象的な劇伴、「理事長への談判[LM12]」に合わせてこの4人が織りなす一連の会話は、テンポも良く見ていてとても面白いです。

また、これは後先考えず無邪気に突き進む穂乃果の眩しさと、学校を想いながら不器用にしか動けない絵里のしがらみのうまい対比にもなっています。
過剰な演出が目について叩かれがちな「ラブライブ!」のアニメですが、実はこのように細かい部分で完成度がとても高いのです。

5. 音楽室の出会い

海未ちゃんにアイドル案を却下され今後について屋上で悩む穂乃果、そんな時どこからともなく美しい歌声が聞こえてきます。
いよいよ真姫ちゃんとの出会いのシーンですがその前にひとつだけ。

お化けじゃないです。このシーン、屋上にいる穂乃果を見守る希なのですが、よく見てください。希の手がドアノブに引っ掛かってます。実はこのとき希はただ屋上にいる穂乃果を観察しにきたわけではありません。音楽室で歌う真姫ちゃんの声を穂乃果に聞かせるためにドアをわざと開けに来たのです。

1期1話の時点では希がまだどのような立場にいるのか不透明ですが、それがはっきり分かるのは2期8話。ひとり音楽室に籠る真姫をみてシンパシーを感じつつも、何もできず心苦しく思っていた希の姿が描かれます。思えばμ'sメンバーが繋がるきっかけを作ってくれているのはいつも希です。希の手回しっぷりに感心すると共に、1話から丁寧にそんな描写を入れてくるこのアニメに脱帽です。

この屋上の扉こそ、2期3話で歌われる「ユメノトビラ」を具現化した概念装置だと私は解釈していますが、最初にその扉を開けたのは希だったのですね。

声を追いかけていくとそこには音楽室でひとり愛ばんを演奏する真姫が。ここでついにμ'sの9人が出揃います。
ここの真姫ちゃん本当に可愛く描かれて大好きです。Pileさんの歌声もさることながら、音楽室に差す陽の光が綺麗にピアノと真姫ちゃんを照らして神々しい。冒頭のススメ→トゥモロウや、先ほどのPrivate Warsもそうですが、このアニメの楽曲シーンはクオリティが高すぎて、本当に自分が穂乃果になった気分で見入ってしまいます。

いやーそれにしても愛してるばんざーい!っていい曲ですよね。こんな短い言葉なのに本当に歌詞一言一言が物凄い破壊力を持ってて、改めて作詞の畑亜貴さんの凄さを感じます。

「私たちは今を楽しもう」
僕光やモメリンに至るまで μ's が終始一貫して伝えようとしてるメッセージのひとつですね。ご存知の通りこの曲は2期13話でも披露されるわけですが、それを知った上でこの話を見るとこのシーンの重要性も、また歌詞の重みも変わってきます。出会いの曲であり別れの曲でもある、でも"おしまい"ではないんですよね。2期13話の感想になってしまうので詳しくは後ほど語りますが、一番最初の出会いと、最後の卒業式という場面でこの曲を持ってくる構成、心の底から天才だと思っています。


穂乃果の「歌上手だね!ピアノも上手だね!」に対しては当たり前でしょ!みたいな顔でスカしてる真姫ですが「アイドルみたいに可愛い!」と言われると急に照れてしまいます。うん、可愛い。

実はここに真姫がスタダの作曲をしてくれた所以があると思っています。(もちろんこれだけでなく1話と2話全体を通じてこれから真姫ちゃんの心境の変化が描かれるわけですが。)ただ歌や演奏を褒めただけでは素直に響かなかったのでしょう。もちろんのちに嬉しがっていますが、言われ慣れているので最初に話を聞くきっかけとしては弱かったのだと思います。でも「アイドルみたいに可愛い」なんて言われるのは初めてで、穂乃果が本気でそう思ってるのが伝わるからこそ照れが表に出てしまいます。アイドルへの誘いを「なんか薄っぺらい」と断った真姫が本当にアイドルを軽蔑していたのか、初対面の人に褒められた照れ隠しだったのかは分かりませんが、これをきっかけにアイドルに興味を持つようになっていくのです。こちらもまた1期2話でたっぷり語ろうと思ってます。

5.5 「愛してるばんざーい!」って何者??

ここでひとつ余談を挟ませていただきます。
アニメ本編とは関係無いので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。

1期1話と2期13話で挿入される劇中歌「愛してるばんざーい!」、通称愛ばん。実はこの曲アニメ軸で考えた時にとても解釈が難しい曲なのです。なぜならこの曲、劇中でしっかりと文脈ありきで披露された μ's 曲の中で唯一名義が μ's じゃないのです。(ススメやハロ星などミュージカル調の文脈で披露された曲を除きます。)

名義がμ'sじゃないとはどういうことか。

このアニメではスタダやノーブラ、スノハレなど多くの挿入歌が登場しますが、ご存知の通りこれらは全て μ's が作った楽曲です。μ's のメンバーが作詞をして、作曲をして、時には衣装や振り付けも考えて完成した曲です。
何を当たり前のこと言ってるんだと感じるかと思いますがこの「愛してるばんざーい!」だけは上記の楽曲とは様相が異なります。なんとこの楽曲、 μ's 結成前から真姫ちゃんが演奏しちゃってるのです。

また、μ's 結成以前から存在するこの楽曲は2期13話の卒業式の場面で全校生徒が一緒に歌っています。つまりある程度音ノ木坂の中で知名度のある楽曲ということになりますが、これだから扱いが難しい。

以上の状況を踏まえてこの楽曲がアニメ内でどのような立ち位置にある曲なのかを考えた時に大きく二つ可能性があります。
それは

①アニメ世界の中で元々みんなが知っている既存曲説

②真姫が自分で作ったオリジナル曲説

の二つです。
一体どちらなのでしょう。

①の説から検証していきます。
アニメ世界の既存曲説の根拠として大きいのはやはり2期13話の全校生徒歌唱です。全校生徒が練習もなしに合わせられる曲となると人口に膾炙した曲と考えるのが妥当かと思われます。2期13話の卒業式の準備のシーンで神モブが穂乃果に去年の照明データを要求しているシーンがあり、これはもちろん送辞の愛ばんにおける照明のお話なのですが、そう考えると愛ばんを歌うことに周囲も一定の理解があるように見てとれます。

またもうひとつの根拠として、仮に真姫が愛ばんの作詞をしたとするとあの歌詞を書く動機が存在しないという意見もあります。1期1話のあの場面で「大好きだばんざーい!」って何が??って話ですよね。入学したてで友達も少ないといわれてる真姫ちゃんだから尚更です。既存曲を演奏してたのなら納得できますが、真姫ちゃんにあの時点でこの歌詩を書く動機はないように思えます。

ここでひとつ疑問が生まれます。卒業式の送辞といった大事な場面で穂乃果が既存曲を歌うのは場違いではないのか?これに対する美しい回答をかつて知り合いが提唱していたので紹介させていただきます。
それは「愛してるばんざーい!」が音ノ木坂学院の校歌であるという説です。確かにそれなら既存曲説で感じる違和感を払拭できるなと感じました。

続いて②の説を検証していきます。
はじめにことわっておきますが、私はこちらの説を推してます。説①より少々解説に熱が入っているかと思いますがあくまで余談ですのでフラットな視点でお楽しみください。
愛ばんが真姫ちゃんのオリジナル曲だとする根拠ですが…なんと明確な根拠はありません!

飛ばさないでください、強いて言うなら既存曲だとするとやっぱり説明がつかない部分が多く出てくる、といったところでしょうか。
既存曲でないとすると消去法的に真姫が作詞作曲をした曲ということになりますが、そう考えた方が説明がつく部分も多いように感じます。

まず2期13話の送辞前のシーン。
穂乃果「送辞はこれだよ!」
ことり「わ〜!穂乃果ちゃんらしい!」
穂乃果「皆んなも協力してね!!」

校歌などの既存曲を歌うだけでこの子達こんなテンション上がらないと思うんですよね。少なくともμ'sメンバーが作った曲じゃないと送辞という場面でわざわざ歌う意味がないように感じます。

次に2期13話の送辞における愛ばん前のこのセリフ。

穂乃果「子供の頃から自分を表現するのが本当に苦手で、でもそんな時、歌と出会いました。歌うことで心が通じ合えます。私はそんな歌が好きです、歌うことが大好きです。先輩、皆様方への感謝とこれからのご活躍を心からお祈りし、これを送ります。」

このセリフにおける歌との出会いとは1期1話における真姫ちゃんとの音楽室での出会いのことを指しています。この真姫ちゃんとの出会いは穂乃果の中で我々の想像以上に大きなものだったのでしょう。そんな私を変えてくれた思い出の曲を今度は先輩の今後を想って送辞という舞台で贈る、このセリフの意図はそんなところだと思います。
これ、既存曲でこんなこと言いますかね?あの時音楽室で初めて聞いて衝撃を受けたオリジナル曲だからこそこんな大層な言い回しが許されるのではと感じます。

続いて歌詞についての考察です。
先ほど「愛してるばんざーい!」を1期1話の時点で真姫ちゃんが作詞する動機がないと書きましたが、あながちそんなことはないと思っています。以下は1期1話で真姫ちゃんが歌っていた歌詞の部分です。

「乾いちゃダメだよ、みんなの夢の木よ育て。さあ!大好きだばんざーい!負けない勇気、私たちは今を楽しもう。大好きだばんざーい!頑張れるから。昨日に手を振って、ほら、前向いて。」

この”みんなの夢の木”というのは音ノ木のことだと私は考えています。音ノ木坂って不思議な名前ですがこれはそういうことなのかなと。そう仮定すると”乾いちゃダメ”の部分は廃校のことを指していると考えられます。

確かに入学したてで友達も少ない真姫ちゃんですが、真姫ちゃんが音ノ木坂を愛する理由は十分にあると感じています。真姫ちゃんは将来親の病院を継ぐことが決められており大学は医学部にいくと自分でも言っていますが、そんな状況で偏差値の高い進学校ではなく廃校寸前の音ノ木坂へやってきたのは真姫ちゃんなりのちょっとした抵抗なのではないでしょうか。小さな頃から地元で親しみのあった音ノ木坂に最後の音楽の機会として骨を埋める覚悟で来ているとしたら、やはり廃校は悲しいですよね。真姫ママとことりママが以前から交流があるような描写も多くあり、小さい頃から音ノ木坂に触れる機会も少なくなかったのではないでしょうか。

作詞などというと大層な話に聞こえますが、以上からこれは真姫ちゃんが即興で廃校を寂しがる歌をうたっていたのかな〜と個人的には思っております。1期2話などから真姫ちゃんが曲作りの力があることも示されていますしね。


ですが愛ばんオリ曲説には一つだけ問題があります。
お察しの方もいらっしゃるかと思いますが、この説の最大の壁は2期13話の全員歌唱です。これは既存曲でないとなかなか反論できません。
しかしながらこれに対してラブライブ!は最強の言い訳を持っています。それはそう、

「ラブライブ!はミュージカル調の作品だから!!!!!」

このアニメ、そんなこと言ったら不可解なことだらけです。
1期1話でいきなり車道に飛び出してススメ→トゥモロウを歌い始めたかと思いきや、1期6話では学校を貸し切ってこれからのSomedayを歌い始めます。その後も秋葉原の街を貸し切ってみたり、しまいにはニューヨークで瞬間移動を使いまくったりします。というかそもそもこんな定期的にライブをやっていますが、その衣装やステージ、音響機材などにかかるお金はどこから出てきているのでしょうか?神モブの協力だけでは到底準備も間に合いません。ライブ数日前になってまだ曲ができてない!みたいなのもアニメを見てるとザラにあります。あのA-RISEでさえ同じ曲を使い回しているのに、毎度新曲を考えて練習する労力は計り知れません。

何が言いたいかというと、そういうライブシーンに細かく言及すること自体がこのアニメではナンセンスなのです。このアニメの本質はそこでは無い、むしろリアリティを削ってでもミュージカル調の作品にして伝えたいメッセージがあるのです。だから1期1話では文脈無しに「ススメ→トゥモロウ」が2回も挟まれて、このアニメはミュージカル調の作品だよ!ライブシーンのリアリティは無視して観てね!っていうのが強調されているのだと思います。愛ばんの真偽はさておき、このミュージカル調の作品というのはラブライブ!を構成する最大の要因の一つなので覚えておいていただけると幸いです。


以上、愛ばんに関する余談でした。
色々書きましたが決して私の意見が正しいなどというつもりは無いですし、紹介した以外にも様々な説がネット上に転がっていますのでこれを機に興味を持っていただけたら幸いです。

まあメタなお話をすると愛ばんはアニメ化以前に書き下ろされた楽曲なので、どこにもかかっていないと言ったらそれが正解なのですが……


6. 幼き日の夕日

物語もいよいよ終盤です。
が、まずは海未ちゃんの弓道シーンから。
この弓を構える海未ちゃん、実はアニメの中でも1,2を争うくらい好きです。あまりにも美しい。道着とか和服とかそういうのが好きなのかもしれない。

「みんなのハート、撃ち抜くぞ!ラブアローシュート♡♡♡」
ここで皆さん大好きラブアローシュートのお時間。一個前の凛とした美しい顔立ちからのギャップが凄くて、これは分かってても毎度刺さります。海未ちゃんも可愛いものが大好きな普通の女の子なんですね。

弓を外し他の部員に驚かれるこのシーンで海未ちゃんが弓道部の中でもかなりの実力があることが分かり、海未の努力家な側面や体力がある設定の裏付けがここでもなされています。

そしてそんな海未のもとにことりがやってきます。

海未「穂乃果はいつも強引すぎます。」
ことり「でも海未ちゃん、後悔したことある…?」

このことりの表情ですよ。この表情が全てを物語っています。幼い頃から穂乃果と共に成長してきた二人は、穂乃果の枯れることない太陽のような眩しさを痛いほど分かっています。だからなんだかんだ言いながら全幅の信頼を穂乃果においているのです。そしてそれは逆も然り。だからこの3人の関係性は本当に尊い。
(そして尊いからこそ1期12話、13話がまた刺さるんですよね…)


幼き日に木の上から見た夕日、それは穂乃果が見せてくれる夢の舞台の象徴でした。穂乃果は普通の人では勇気がなくていけないすごいところへ連れて行ってくれる、ことりの言葉でそれを思い出した海未の心は、どんどんとスクールアイドルへ傾いていきます。

そして校舎裏にはひとりダンスの練習をする穂乃果の姿が。これこそ穂乃果が主人公たる所以ですよね。絵里に止められ、海未に断られ、真姫にも突き放され、それでもめげずにやりたいことに一直線に突き進む。ひとり校舎裏に居たとしても、この時の海未の目に映った穂乃果は間違いなく世界で一番輝いていたと思います。

「あいてててて。よしっ、もう一回!」
ターンで転んでもまた立ち上がります。そう、穂乃果は何度転んでも立ち上がるのです。
この描写に限らず、作中では今後何度も穂乃果が転ぶシーンが出てきます。(特徴的なのは1期13話と2期9話でしょうか。)
何度躓いてもめげずにやりたいことに向かって突き進む穂乃果の精神性を象徴する大好きな演出です。

そんな穂乃果にうっとりすることり。本当にこの一連のシーンのことりの表情、良すぎます。穂乃果に心酔していることりの熱い想いがこの表情一つからひしひしと伝わってきます。アニメ制作陣の方々に大感謝です。

ことり「ねえ海未ちゃん。私、始めてみようかな…」

ことり「海未ちゃんはどうするの?」
この満面の笑みもめっっっちゃくちゃいいですよね。海未の本心を完全に理解し、信頼してる証です。海未が素直にやりたいと言えないのをわかって、この景色を見せることりもさすがです。

海未「ひとりで練習しても意味ないですよ。やるなら3人でやらないと。」

あーもう本当に尊い。手を差し伸べられるだけじゃなく海未の方から穂乃果に手を差し出してるのも良いですし、この"3人で"って言い回しにまたお互いの信頼が表れていて素晴らしいです。穂乃果は二人の手を引っ張って走っていきますが、逆に穂乃果が転んだ時にはいつもこの二人が手を差し伸べてくれるんですよね。
ことりと海未が穂乃果を信頼しているのと同様に、穂乃果にもことりと海未がいてくれなきゃダメなんです。2人が隣で支えてくれて初めて穂乃果はまた走り出せる。3人の尊い関係性が1話を通して積み重ねられ実を結ぶ最高のシーンです。たった1話でここまでの人間関係を描き出せるアニメはそうそうありません。何度も言いますがこのアニメは本当に凄い。

ここで使用されている劇伴「幼き日の夕陽[LM13]」の美しいメロディは3人の関係性をより際立たせ感動をさらに大きなものにしていますが、この劇伴1期13話の講堂で海未が穂乃果に本音をぶつけるシーンでも使われています。12話越しに海未がこの時の思いを穂乃果に伝えるわけですが、この1期1話のアンサーシーンで同じ劇伴を用いる構成はとても美しいです。

7. やるったらやる!!

スクールアイドルを始めることを決心した3人は生徒会室に部活の申請をしにいきますが、そこに立ちはだかるのは生徒会長。たとえ部員を集めても部の申請は認められないと断られてしまします。

絵里「部活は生徒を集めるためにやるものじゃない。思いつきで行動したところで状況は変えられないわ。変なこと考えてないで自分のために何をするべきかよく考えることね。」
これ理事長に言われたセリフそのままですよね。本心を出せず不器用に振る舞う絵里の性格が表れています。

絵里は生徒会長として、またお婆様の大切な母校を背負う身として廃校阻止にかける想いが人一倍強いから、思いつきで行動しようとする穂乃果とぶつかってしまったのでしょう。大好きなバレエでお婆様の期待に応えられず挫折した経験を持つ彼女だからこそスクールアイドルで成功する難しさも誰より理解しているのでしょうね。

海未・ことり・希・絵里「あぁ、これから一体どうすれば…」

学校は廃校、生徒会もスクールアイドルも手詰まりで誰もがうつむく状況。皆んなが先の見えない未来に不安をこぼす中、それに応えるように穂乃果が歌い始めます。

「だって可能性感じたんだ。そうだススメ。後悔したくない目の前に僕らの道がある。」

たとえそれがどんなに小さな可能性だとしても、目の前の眩しいものに恐れずにまっつぐに突き進んでいく。穂乃果の生き様を表す大好きな歌詞です。
μ's というグループはこうして無謀な賭けを繰り返していくことで、奇跡の軌跡を作り上げていきます。

思えばラブライブ!プロジェクトは始まりから前途多難。後ろ盾が何もない突発企画として始まったラブライブ!は初めから成功続きでは決してありませんでした。4000万円以上の製作費をかけて作られたファーストシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」がコミケでの初回売り上げ434枚と悲惨な数字を叩き出してしまった話は今でもラブライバーの語り草です。そんな状況でも決して可能性を諦めず、キャストも、ファンも、関係者全員が各舞台で全力を出し続けたからこそ μ's は奇跡を起こすことが出来ました。先ほどこのアニメはラブライブ!プロジェクトの軌跡を写し出す”鏡”だと書きましたが、このような無謀な夢をあきらめないラブライブ!の精神性がこの第一話には強く表れています。

アニメの始まりで流れた曲はこのススメ→トゥモロウの冒頭だったのですね。
皆んなの悩みに対し歌で応えるという表現技法はミュージカル作品にしか出来ない強みです。ラブライブ!のアニメはこのように大切なメッセージを歌に乗せて発信することで視聴者にそのメッセージをさらに強く印象付けています。歌に乗った言葉はただのセリフより一層強く人の心を揺さぶります。ラブライブ!の特徴である音楽の魅力を最大限に活かすこれ以上ないアニメ構成だと思います。

この景色を覚えておいてください。きっとまた同じ景色が出てきます。今はまだ名もなき μ's が無謀な夢を叶える奇跡の物語、いよいよ開幕です。

「やっぱり私やる、やるったらやる!!」



8. 後書き

以上にて第一話の感想解説は終了です。長い間お付き合いいただきありがとうございました。語りたいことが後からどんどんと溢れてきて最終的に18000字超えという長文ブログになってしまいました。最後まで読んでくださった方は本当にありがとうございます。

長々と綴ったようにラブライブ!のアニメは単体としてみてもとても完成度が高く、またラブライブ!プロジェクトの軌跡と交錯することでより一層その深みを増しています。

拙い文章ですがラブライブ!のアニメがいかに完成度の高い作品か、その一端を少しでも感じていただけたら幸いです。
今後も書き続けていくつもりなのでどうぞよしなに。


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※上記の文面は全て私個人の感想であり、公式の見解等とは一切関係がありません。記載漏れや誤表記、読者様の信条と反する部分もあるかと思いますが、暖かく見過ごしていただけると幸いです。
※今回はアニメ単体の解説ということで、SIDなど他の媒体に載っている情報由来の考察はあえて全て外しています。
※セリフの引用は一部わかりやすいように概略している部分がございます。
※ご意見、感想等ありましたらX(旧Twitter)までお待ちしています。

〈参考にさせていただいた資料〉

アニメ「ラブライブ!」(1期1,2,3,8,13話 2期8,12,13話)
ラブライブ!テレビアニメ オフィシャルBOOK
リスアニ!2013年8月号
リスアニ!2016年11月号

早めに2話を書きます。(最終更新:2026/01/05)

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