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話せるTOEICハイスコアと、話せないハイスコアの違いは「ボディビルダー」と「総合格闘家」

「TOEICで高得点を取っても、英語は話せない」

「TOEICはビジネス英語を扱っているのだから、実用的な試験だ」

TOEICについては、よくこの二つの意見がぶつかります。

私は、どちらも間違っていないと思います。

TOEICが役に立つか、立たないか。実用的か、実用的ではないか。それを一律に決めることはできません。

なぜなら、同じ800点を取った人でも、何を目的に、どのような勉強をしてそのスコアに到達したかによって、身についている英語力の中身がまったく違うからです。

ボディビルダーと総合格闘家は、鍛える目的が違う

話せるTOEICハイスコアと、話せないTOEICハイスコアの違いは、たとえて言えば「ボディビルダー」と「総合格闘家」の違いに少し似ています。

どちらも、長い時間をかけて身体を鍛えています。

ボディビルダーに力がないという意味ではありませんし、総合格闘家より劣っているという話でもありません。違うのは、何のために身体を鍛えているかです。

ボディビルダーは、規定のポーズを取ったときに、筋肉の大きさや形、左右のバランスが最も美しく見える身体を作ります。トレーニングも、競技で高く評価される身体を作ることに最適化されています。

一方、総合格闘家は、刻々と状況が変わるリングの上で相手に対応し、攻撃をかわし、技をかけ、動き続けるために身体を鍛えます。

筋力だけでなく、瞬発力、持久力、反応速度、バランス、身体全体の連動性が必要です。

どちらも鍛え上げられた身体ですが、競技の目的が違うため、出来上がる身体と発揮される能力も違います。

TOEICも、これと少し似ています。

試験に出る単語を覚え、問題形式を研究し、時間配分や解答テクニックを磨いて作ったハイスコアは、いわば「TOEICという競技で高く評価されるように鍛えた英語力」です。

それに対して、単語を実際に使うつもりで覚え、発音し、聞き取り、自分の口から出す練習を重ねた結果として得たハイスコアは、「変化する現場で英語を使うために鍛えた英語力」です。

試験で高い数字を出すために鍛えた英語力

実際に英語を使えるように鍛えた結果、数字も上がった英語力

どちらも努力して身につけた力です。ただし、最適化した目的が違います。

同じ800点や900点でも、そこに至るトレーニングが違えば、持っている能力の中身も違うのです。

TOEICには「箱先行型」と「中身先行型」がある

大きく分けると、TOEICの使い方には次の二つがあります。

箱先行型

必要なスコアを取る

転職・異動・海外勤務などの機会を得る

実際に英語を使いながら力をつける


中身先行型

語彙・発音・聞き取り・運用力を身につける

使える英語が増える

結果としてTOEICのスコアも上がる

どちらが正しい、間違っているという話ではありません。

目的が違えば、選ぶべき道も、優先するトレーニングも変わります。

TOEICのスコアを「突破するための道具」として使う

一つ目は、TOEICのスコアそのものをツールとして使う方法です。

英語を使う仕事に就きたい。応募できる職種を増やしたい。少し収入の高い仕事を目指したい。海外部門への異動や海外駐在の候補に入りたい。

そのために必要なスコアを取り、採用や社内選考のスクリーニングを突破する。

この目的であれば、TOEICは非常にわかりやすいツールになります。

必要なのは、限られた時間の中で目標スコアに到達することです。

その場合は、頻出単語を機械的に覚え、問題形式に慣れ、時間配分や解答テクニックを身につけることが重要になります。

TOEIC対策に精通した人の教材を使い、拾うべき問題を確実に拾いながら、最短ルートで目標点を目指す。これは、とても合理的な勉強法です。

必ずしも満点を狙う必要はありません。応募先や社内制度で求められる基準にもよりますが、多くの場合、800点前後を持っていれば、一定の評価を受けられるでしょう。

ただし、この方法には一つ注意点があります。

試験を突破するための英語力と、実際に英語を使って仕事をする力は、同じではない

試験対策を中心に800点を取ったからといって、すぐに海外出張で自在に交渉できるわけでも、海外駐在で不自由なく働けるわけでもありません。

しかし、それが悪いという話ではありません。

先にスコアを取り、英語を使う部署や海外勤務に進む。そして、実際に英語を使わざるを得ない環境に自分を置き、後から実力を伸ばしていく方法もあります。

言ってみれば、先に「箱」を手に入れ、その箱にふさわしい中身を後から育てていくやり方です。

目的が明確であれば、これも立派なTOEICの活用法です。

TOEICで高得点でも話せないのは、ある意味では当然

ここで、TOEICの試験としての性質にも触れておく必要があります。

一般的なTOEIC Listening & Reading Testは、その名のとおり、聞く力と読む力を測る試験です。話す力や書く力を直接測定するものではありません。

つまり、持っている英語を自分でどれだけ外に出せるかという「産出能力」よりも、どれだけ英語を蓄え、それを正確かつ高速に処理できるかという「受容能力」を中心に測っています。

英語を見たり聞いたりしたときには意味がわかるのに、自分で話そうとすると出てこない。これは珍しいことではありません。

理解できる単語は「受容語彙」、自分で使える単語は「発表語彙」または「産出語彙」と呼ばれます。一般に、受容語彙のほうが発表語彙より多くなります。

TOEICの勉強で受容語彙を大量に増やしても、それを実際に口から出す練習をしていなければ、すぐに話せるようにはなりません。

したがって、TOEIC高得点者が話せない理由は、スコア獲得を目的とした勉強だけにあるわけではありません。

そもそも一般的なTOEICが、話す力を直接測る試験ではないことも大きく影響しています。

この話を詳しく始めると、それだけであと二つ、三つ記事が書けてしまいますので、今回はこの程度に留めておきます。

「使える英語」を身につけた結果、スコアも上がる

もう一つは、TOEICのスコアを最初の目的にしない方法です。

単語を、試験が終わったら忘れてよいものとして暗記するのではなく、後で自分が使うつもりで覚える。

英文も、正解を選ぶためだけに読むのではなく、誰が、どのような状況で、何を伝えているのかまで理解する。

音声も、答えの手がかりだけを拾うのではなく、自分でも同じように発音し、実際の会話で使える状態を目指す。

こうした学び方を続けた結果、TOEICにも同じ単語や表現、場面が出てくるので、気づけば800点を超えていた、という取り方です。

こちらはスコアだけを狙う方法よりも時間がかかります。

しかし、覚えた英語が試験の中だけに閉じません。仕事、旅行、外国人との会話、メール、プレゼンテーションなどにもつながっていきます。

つまり、こちらは先に「中身」を育て、その中身に見合う数字が後からついてくる方法です。

同じ800点でも、内訳まで同じとは限らない

さらに、800点という合計点だけを見ても、その人の英語力を正確に判断することはできません。

TOEICの800点は、リスニングとリーディングの合計点です。

たとえば、次の二人はどちらも800点です。

リスニング400点+リーディング400点=800点

リスニング450点+リーディング350点=800点

しかし、この二人の得意分野や課題は同じではありません。

比較的伸ばしやすいリスニングで点数を稼ぎ、リスニング450点・リーディング350点で800点に到達する方法もあります。

目標スコアをできるだけ早く取ることが目的なら、このような得点戦略も合理的です。

一方、リスニングとリーディングの差があまり大きくならないようにし、両方の力をバランスよく伸ばしながら800点を目指す場合は、到達までに必要な時間も勉強内容も変わります。

同じ800点でも、

  • どちらのセクションで点を取ったのか

  • 問題を解く技術で取ったのか

  • 語彙や英文を深く理解して取ったのか

  • 覚えた英語を自分でも使えるのか

によって、持っている力の中身は大きく異なります。

履歴書に書かれる数字は同じでも、そこへ到達した道順と学習の深さが違えば、出来上がる英語力も違うのです。

どちらが正しいかではなく、どちらが自分に必要か

自分に合う勉強法を選ぶには、TOEICを受ける目的と期限を最初に決めることが大切です。

半年以内に転職や社内選考の予定がある人

まず、応募条件や選考基準を満たすスコアを取ることを優先します。

頻出単語、問題形式、時間配分、得点しやすいパートに集中し、TOEIC専門の教材や指導を利用するほうが効率的です。

この段階では、すべてを深く理解しようとするよりも、期限内に必要な結果を出すことが重要です。

1~2年後に英語の会議や海外業務で発言したい人

発音、聞き取り、語彙、英文理解に加えて、覚えた表現を自分で口から出す練習が必要です。

スコアだけを急いで取るよりも、仕事で実際に使うつもりで英語を身につけ、その結果としてTOEICの点数も上がる方法が適しています。

スコアも実用力も必要な人

両方を組み合わせます。

まず短期間で必要なスコアを取り、英語を使える環境に入ってから運用力を育ててもよいでしょう。

反対に、普段は発音や運用力を中心に学び、受験前の数か月だけ問題形式や時間配分の対策を加える方法もあります。

試験テクニックを使うことに、後ろめたさを感じる必要はありません。スコアが必要なら、目的に合った方法を選ぶのが合理的です。

ただし、そこで身につけた力を「英語を話す力と同じもの」と考えないことも大切です。

メントール英語発音教室で目指していること

メントール英語発音教室は、TOEIC専門のスクールではありません。

発音を通して、実際に聞き取り、自分でも使える英語を身につけることを目的にしています。

レッスンで扱うのは、TOEICにもよく登場する、仕事や日常の用事に使われる実用的な単語や表現です。

それらを文字だけで暗記するのではなく、音と意味を結びつけ、自分でも言えるようにしていきます。

その結果として、TOEICのスコアが800点を超えたり、900点台前半に到達したりする生徒さんもいます。

950点以上や満点に近いスコアを目指す場合は、ご本人の相当な努力に加え、試験に特化した対策も必要です。

しかし、900点台前半までであれば、発音レッスンで学んだことを着実に実践しながら自習を重ねることで、到達できる可能性は十分にあります。

短期間でスコアだけを取りたい人には、TOEIC専門スクールのほうが合っているかもしれません。

けれども、将来実際に使える英語を身につけ、その結果として得たスコアを転職や仕事のチャンスにも活用したい人には、メントール英語発音教室の学び方が合うと思います。

TOEICが役に立つかどうかは、使い方で変わる

TOEICは、役に立つ試験か、役に立たない試験か。

その答えは、試験そのものではなく、受験する人がTOEICをどのように使うかによって変わります。

スコアを取るために英語を学ぶのか。

英語を身につけた結果として、スコアも取るのか。

同じ800点でも、リスニングとリーディングの内訳はどうなっているのか。覚えた英語を理解できるだけなのか、それとも自分でも使えるのか。

数字だけでは見えない違いが、そこにはあります。

大切なのは、どのような英語力を身につけるためにTOEICを使うのかです。

「箱先行」で急いでスコアを取りたい方も、「中身先行」で話せる力をじっくり育てながらスコアも伸ばしたい方も、満点狙いでなければ、どちらの方法にも対応できます。

レッスンを受講中の方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。

また、私が「この人はTOEICのスコアを取っておいたほうが、絶対にプラスになる!」と感じた生徒さんには、こちらから受験をおすすめすることもあります。

そのときは私が、無料の「しつこいTOEICおばさん」となって受験を猛プッシュしますので、どうぞ覚悟しておいてくださいね(笑)。

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