#161(雑記88)左手が鍵盤の重さに負けてしまい、リズムが遅れる
タイトル写真は、月の光の43小節目と44小節目です。その直前の41~42小節目で、3度の和音が降り注ぐ華やかな雰囲気から、一変して妖しく沈み込んだ雰囲気になる部分です。特に最初の和音はすごく印象的なので、ドォーンという感じで決めたいと思っています。私はこういうことが感覚的にしか理解できません。もっと理論を勉強したほうがよいのかも知れません。
さて、この部分の左手は、ラ♭とミ♭を交互に弾くのですが、タイトル写真とは別の楽譜に示されている指使いでは、3指と1指で弾くことになっています。しかし私はこの部分を41で弾いていました。理由は、31で弾こうとすると手首から先をさらに左に曲げる必要があって、力が入れづらいことと、この部分は右手が接近して窮屈で弾きづらいので、左手を少しでも自然に前に伸ばすために41で弾いていました。
電子ピアノでは特に問題は感じなかったのですが、グランドピアノではリズムが遅れ気味になりました。考えられる原因は、グランドピアノでは低音側の鍵盤が重いということです。低音側は太い弦を叩くためにハンマーが大きくしてあり、それとのバランスを取るために、鍵盤側に鉛が埋め込んであります。ゆっくり押せば50グラム程度の力で済みますが、早く弾くときは慣性の法則により、質量が大きいほど力が必要になります。
今回、改めてネットで調べたところ、私がよく借りているヤマハのC1、C2、C3では、低音域(大きなハンマーの範囲)が異なることが分かりました。ヤマハC1・C2では、左から20鍵(E2)まで、C3では26鍵(B♭2)までとのことです。今回問題となるキーは、A♭2とE♭3なので、ヤマハC1・C2では、いずれも低音域ではありません。ヤマハC3の場合、A♭2のみが低音域です。
しかし私は、C1やC2でも左手が遅れ気味になりました。そうすると、キーが重いことが主原因ではなく、左手の力が弱いことが原因と考えたほうがよさそうです。電子ピアノではそれほど感じませんでしたが、グランドピアノではその影響が出てしまうようです。
右手はリズムに合わせて進んでいくのに、左手はどんどん遅れ、放置していると最終的にはラ♭とミ♭が入れ替わるぐらい遅れます。右手にちょっと待ってもらって調整しなければなりません。薬指が弱いうえ、左手が利き腕でないことが影響しているのだと思います。
指使いを31に戻すと、手首から先をさらに左に曲げる必要があります。これは、中指に比べて親指の先端がかなり手前にあるため、黒鍵を弾くには、その中指に近い位置まで、親指を向うに出す必要があるためです。手を左にグッと曲げると、手がガチガチに固まってしまい、ますます動かしづらくなります。どうやって直そうかと悩んでいました。
この前の動画添削レッスンで、この部分の左手が遅れることを先生に相談したところ、いくつかアドバイスを頂いたのですが、その中で、なるほどこれは理にかなっていると思ったことがあります。それは、あえて51で弾くということです。次の図にそれを示しました。図の左から順に、③①は楽譜通り、④①は私のこれまでの弾き方、⑤①は先生による改善策です。

小指と比べて薬指は決して細くはないので、筋肉自体はあるはずです。しかし、むしろ薬指のほうが弱いと感じることはないでしょうか。その原因は、薬指のほうが長いので、第三関節からより遠いところを押すことになり、第三関節を曲げる力がより必要になるためです。これをカバーするには指を立てればよいのですが、鍵盤をカツンと叩くような弾き方になってしまい、意図した音色が出せないと思います。
なおかつ、41や31で弾く場合、手首から先を左に曲げることによって、上腕の軸から左のほうに、4や3の指先が大きく外れてしまうので、指を下に押し下げるには、上腕を左にねじるような力も強く加えなければなりません。これに対し、5指は短いため、1指と長さのバランスが取れて、手首から先をあまり左に曲げずに済みます。このため、上腕を左にねじる力が少なくて済むうえ、第三関節を曲げる力も少なくて済みます。
これは力学的に見ても極めて合理的な弾き方です。私はこのアドバイスを先生から送って頂いたとき、5指で弾く理由がすぐには分かりませんでした。じっと手を見て、順を追って考えたことで、やっと理解できました。
私から見れば、これはある意味、力学の問題を解く(最適解を求める)という行為なのですが、恐らくピアノの先生におかれては、これまでの豊富な演奏経験から、そういうことが直感的に分かるのだと思います。いちいちこんなことを考えなくてもよいのかも知れませんが、ついつい考えてしまいます。レッスン後、まだグランドピアノを弾きに行っていないのですが、早くこの改善策を試してみたいと思っています。
ご参考までに、私の動画添削レッスンの先生は次の記事の方です。今回紹介した以外にも、沢山のご指摘をいつも頂いているのですが、それは私が希望しているためです。生徒の特性に合わせて頂けると思います。
最後までお読み頂きありがとうございます。
