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熱帯夜からはじまる|シロクマ文芸部|ショートショート

「熱帯夜か〜…。」

「え、何??」
隣で同期がつぶやいた言葉が聞き取れなくて、問い返す。

「あ、いや、今、天気予報見てて。今日の夜も暑いのかぁって。」

「暑いの苦手なの?」

「うん。え、逆にここ最近のこの暑さ…得意な人いると思う?」

「…うん、いないね。
でもさ、園山さんって苦手なものなさそうじゃん?
なんだかこう…いつも凛としていて、
私なんでもできるんでって顔してるっていうか…。」

「え、ちょっとまって。私、今ディスられてる?」

「ちがうちがう!そんなつもりない!」

「…人間が2回、同じ言葉繰り返すときって嘘ついてるらしいよ。」

「まってまって!…あぁ、また。えーっと、だからさ…。」

「ふふ…下村くん、焦りすぎ。」

彼女の普段会社で見せないようなフワッとした笑顔を見て、

「俺、園山さんのこともっと知りたいんだ。
今日…その、夜ごはんでもどうかな?」

と胸に秘めていた想いが溢れてしまった。

熱帯夜に照らされたように、彼女の頬が赤らんだ。


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