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第13回✨「麻」と「紙」が紡ぐ古代神道――手漉きまゆみ和紙と湯の花神事


皆さま、こんにちは。
黒沼神社 精麻アーティストの長坂茉乎(まこ)です。
これまで「大麻」や「織り」の歴史についてお話ししてきましたが、黒沼神社の神事に絶対欠かすことのできない、もう一つの重要な素材があります。

それが『楮紙(こうぞし)』です。
「楮(こうぞ)なんて、その辺にいくらでもあるよ!」と母がよく笑って話していましたが、黒沼神社の祭祀で代々使われているのは、ただの紙ではありません。二本松に今もたった一軒だけ残る伝統技術、「手漉(てす)きのまゆみ和紙」なのです。
「みちのく和紙」として名高いこの紙は、かつて平安の昔、紫式部や清少納言も愛用したと伝えられています。
今から30年ほど前、母(黒沼神社は母の実家です)が幣束用の紙を直接買いに行く際、私も何度か一緒について行ったことがありました。
清らかな水車の音が響く美しい土地で、職人さんが丁寧に紙を漉くその場所、今も強く心に残っています。
黒沼神社では、幣束用に裁断された紙をはじめ、注連縄の紙垂(しで)、祓い戸の紙、そしてあの畏れ多い「御託宣」に至るまで、すべてこの一軒のまゆみ和紙を使わせていただいてきました。
子供の頃、手漉きのこの紙をすっと折り裂き、神聖な幣束をつくり上げていく祖父の白衣きの袖と横顔が、今でも忘れられません。 

精麻(大麻)と同様に、この「楮紙」もまた、日本の神事においては切っても切り離せない存在です。

以前、羽山ごもりに
楮紙で巻き、大麻(水引)を全て使う話しをさせて頂いてますが、
黒沼神社は、古い神道そのままなんですよ!

黒沼神社の祭祀における「楮紙+大麻」のお話です。

羽山ごもりの後に行われる
春の「湯の花神事(ゆのはなしんじ)」
ここでは、冬の羽山ごもりでの御託宣によって「災難や難が祓われたかどうか」を占います。洗米をこの楮紙に包み、大麻の糸で吊るして「火難・災難・盗難」と記し、釜の湯に浸して麻が切れるか、沈むか、浮くかといった状態から神様の御心(御託宣)を読み解くのです。
湯の花神社についてもまた別にお話ししたいと思います。

つまり、黒沼神社において「楮紙」と「大麻」は、神聖なものを包み、標し、吊るし、神様の依代(よりしろ)とするための『一組の聖なる素材』として常に共に在り続けてきました。 

精麻、大麻布、麻紋、神籬(ひもろぎ)、そして楮紙――。
黒沼神社の祭祀には、飾り立てられた現代の形ではなく、
縄文や古代から脈々と受け継がれてきた「古い神道そのものの姿」が、今もなお奇跡的にそのまま残されているのです。

つまり、楮紙と大麻が、神聖なものを包む・標す・吊るす・依代とするための一組の素材として働いているのです。

大麻(オオヌサ)大幣
金沢黒沼神社 恵比寿大黒弊束

次回に続く
長坂茉乎(精麻のムスヒ)


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