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【第4回】神様と寝食を共にする「羽山ごもり」と、最後まで使い切る精麻の祈り

皆さま、こんにちは。黒沼神社 精麻アーティストの長坂茉乎(まこ)です。
「精麻」への注目が集まり、ちょっとしたブームのようになってるかなと、ワークショップを開催していても、麻への関心の高まりを肌で感じます。
けれど、ネットで見る情報はスピリチュアル的に使われていて、
時々神社の側としては、正直「えっ!?」とびっくりしてしまうことが多々あるのです💦
今回は、私の実家である金沢黒沼神社に伝わる**「国指定重要無形民俗文化財(金沢の羽山ごもり)」**のお話と、神社における精麻の「本当の役割」についてお話しさせてください。

⚠️ 「水や塩で祓えないものは麻が祓う」の誤解
よく、巷で精麻作家、アーティストさんや、精麻について教えている方やネットの情報になどでよくあるのが
「神社に精麻は欠かせません!
水でも塩でも祓えないものは、麻が祓います!!」と断言されているのを目にします。
これ、⛩️神社側からすると
「うーん???」と、正直ちょっと首を傾げてしまう表現なのです。
(何故そう言われ始めたかも存じております)
しかしながら、神道において、穢れ(けがれ)とは**「氣の枯れ(生命力が枯れること)」**。
そして、もし本当に何か障り(さわり)があるような大変な時は、間違いなく「お塩」です!
「麻じゃないと祓えない」なんてことはありません。🙏本当に困った時や大変な時は、ぜひお近くの神社に足を運んで、お塩をいただいてくださいね。
では、神社における「精麻」の本当の役割とは何なのでしょうか。
それは、**「最後の最後まで、徹底的に神事に使い切る」**という、日本人の凄まじい祈りの循環の中にあります。

🌾 幣(ぬさ)から神籬、最後は「切り幣」としてお清めに最後まで
黒沼神社では、鳥居の大注連縄(おおしめなわ)は総代の皆さんが藁で作り、摂社・末社の注連縄は私が精麻で創っていますが、日々の祭り事における精麻の使い方は、母が徹底して管理していました。
精麻は、以下のように形を変えながら、神事の最初から最後まで寄り添います🙏
大麻(おおぬさ)・幣(ぬさ):お祓いをする道具として
神籬(ひもろぎ)や玉串(たまぐし):神様をお迎えする依代として
地鎮祭などの切り幣(きりぬさ):最後は細かく切って、敷地を清めるために撒き切る
お伊勢様の「神宮大麻(じんぐうたいま)」が天照皇大神様のお札となったように、かつては神事のあらゆるものに麻を結んでいました。しかし現代では、前回までに書いてますが、日常的に精麻を使わない神社が残念なが多いのが現状になってます。
けれど、かつての日本人がどれほど精麻を大切に、執念深く(笑)使ってきたかー、
それを今も色濃く残しているのが、黒沼神社に伝わる**「金沢の羽山ごもり(はやまごもり)」**です。
🏔️ 紅白も、白黒も。すべてを「〆る」水引の中に隠された執念
国指定重要無形民俗文化財でもある「金沢の羽山ごもり」は、厳格な女人禁制で行われる、東北の深い信仰の祭りです。
現代の羽山ごもりでは、麻の代わりに「紅白の水引(みずひき)」を使って道具を結んでいます。
実は、私が子供の頃、水引の芯には「精麻」が使われていました。私は幼い頃、水引の紙をペリペリと剥くと、中から美しい精麻が顔を出すのが不思議で、よく剥いて遊んでいたものです。
そして、これはおめでたいお祭りの「紅白の水引」だけではありません。
神社の「神葬祭(しんそうさい=神道のお葬式)」で使う、あの「白黒の水引」の中すら、すべて精麻だったのです……!!
生きる喜びの祭りも、お別れの厳かなお葬式も、日本人はすべての節目において、水引の芯にまで精麻を仕込み、あらゆる道具に「〆(しめ)の印」をつけて守る神事を執り行ってきました。
**「そこまでして、どんな時も精麻を使って、結界を張り、神様と繋がってきたんだ!」**と、大人になってからこの国の、そして先祖たちの祈りの深さに、胸が締め付けれるように感動し深く感謝しております。
今でも羽山ごもりでは、使う杓子(しゃくし)、バケツ、鍋……ありとあらゆる全ての道具に、水引を結び、更には〆の印をつけて、神様と寝食をともにする神事が平安から今も続いてます。

羽山ごもり中の黒沼神社
『金沢の羽山ごもり』
国指定重要無形民族文化財

「羽山ごもり」とは?
禊ぎ(みそぎ)をしないと入ることができない、注連縄の張られた聖なる「こもり殿」に引きこもり、神様と寝食を共にする二泊三日の神事です。
かつては、使うすべての道具に「〆の精麻」を巻いていた、
塩を包んだお撚り(おより)を持ち、自らを祓いながらこもり殿で過ごす現在は三日間です。
最終日には"お山がけ"羽山(はやま)様に登り、搗いた餅をお供えしお米を散米して神様へ自然への感謝を伝え、無病息災を祈ります。そしてこの拝みの最たる目的は、神様からの**「御託宣(ごたくせん=神様のお告げ)」**を受け取り、地域の一年間の農業カレンダー(作柄の予測)を作ることなのです。
ここまで徹底された祈りと拝みの空間が、かつては日本のあちこちの村にあったのです。

表面的なブームではなく、本質を知ってほしい!
精麻の話しに戻りますが、ブームは素晴らしいことである反面、形だけ、表面的な知識だけで、知らずと語られてしまう事ばかりで寂しさもあります😢
日本の神道は「哲学」であり、すべての作法や道具もきちんと意味が存在しているのです。
誰もが、教えらてない!戦後閉ざされた事、その意味すらわからないのだと思います。
もし、この記事を読んで**「日本の祈りの本質」「本当の精麻の役割」**をもっと深く知りたい、体感したいと思ってくださった方は、ぜひタイミングが合うときに、私のワークショップにいらしてください。又は、ご依頼ください。
ワークショップは、単なる作業ではなく、産霊(ムスヒ)のお飾りをお作りいただくだけではない。わたしには、お伝えたい事が沢山あります。
キラキラのスピリチュアルの話しではなく、地に足をつけた話しです。古くから続いてきた神社の者としてわたしがお伝えできる「生きた智慧」をお渡しいたく、わたしにできる事を!!一念、その役目を持って活動を続けております。 
長坂茉乎 精麻のムスヒ

黒沼神社御神紋三種の大麻守り制作時の様子

(次回へ続く)



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