【第6回】日本にないなら、自分で織る〜2027年へ向けた奉納と、産霊(むすひ)の循環〜
皆さま、こんにちは。黒沼神社精麻アーティストの長坂茉乎です。
前回は、吉野ヶ里遺跡の時代から続く、神様をお迎えするための究極の布「大麻布(たいまふ)」を手績みする、写経のような時間についてお話ししました。
今でこそ、手績み・手織りの大麻布は国宝級に希少で、一般には手に入らない超高級品になってしまいました。現代に出回っているものの多くは材料が中国産の麻だったりして、本物の「日本の大麻布」は、今やほとんど存在しません。
けれど、ほんの戦前までは、日本中のごく普通の家庭でも、お母さんやお祖母ちゃんが麻を績み、それを夜なべして織るなど、当たり前に麻の布を織り、家族の服に仕立てていました。
福島の厳しい冬の寒さや夏の暑さ、自然の脅威から命を守るために。
日々の営みの中で、神様をお迎えする最高のお守りである「麻」を身に纏うことで、大切な家族を病や邪気から護るために。
衣服を作るという行為そのものが、かつては神聖な「結界」を張る行為であり、最高の拝みだったのだと、布を織りながら身体の感覚で理解しました。
だからこそ、今の私には、どうしても叶えたい**「2つの夢」**があります。
🏔️ 2027年に向けて本社へ奉納すること、そして、皆さまへ「産霊(むすひ)」を繋ぐこと

黒沼神社が延喜式内社として撰上されてから1100年という大きな節目。この記念すべき歴史に花を添えるため、**私は2027年までに、この手で大麻布を織り上げ、実家である黒沼神社の本社へ下げたい(奉納したい)**と思っています。
じつは、うちの本社の上には「麻紋」らしきものがあり、それを見たとき「これは、私の仕事だ」と魂が震えたのです。
誰に見せるためでもない、本社の奥深い、特別な空間。そこに、精麻の総角結び(あげまきむすび)の産霊をあしらった、究極の手織り大麻布を神様の元へ還したい。神社の娘として、そして精麻アーティストとして、これまでの歴史への感謝と決意を込めた大きな挑戦です。
正式に神様へと還す、その糸。手仕事の記憶。
そしてもう一つ、この手績み・手織りの大麻布という奇跡のエネルギーを、皆さまの日常にも届けたい。
そこで今、大麻布で織った特別な布でお守り袋を仕立て、そこに「産霊(むすひ)」の結びをつけるワークショップを企画しています。
産霊(むすひ / むすび)とは?
神道において、万物を生み出し、育て、繋げる「神聖な結びの力」のことです。
神社側すら麻から離れてしまっている今だからこそ、形だけのお飾りを作るのではない。吉野ヶ里の古代から続く本物の布の手触りを感じ、ご自身の手で「むすひ」の力を込めていく。そんな、生きる上での哲学が詰まった時間を、皆さまと共有したいと願っています。
かつて日本人が当たり前に持っていた、凜とした祈りの感性を、もう一度私たちの手に。
その準備が整いましたら、またこちらで一番にお知らせさせていただきますね。
神社が減っていくこの時代だからこそ、私は敬神(けいしん)の念を、しっかりと後世に繋げていきたいのです。
(次回へ続く)

