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メタル・バンド名の由来を探る 第1回スラッシュメタル編

普段何気なく目にしているバンド名だが、その由来は実は千差万別だ。なんとなくのイメージでふっと決まった名前もあれば、深い背景や、バンドの哲学そのものが凝縮されたものもある。当ブログでは、そんなバンド名の奥深い世界に踏み込み、名だたるバンドたちがどのようにしてその名に辿り着いたのか探っていきたい。
第一弾はスラッシュメタルバンドに焦点を当てて紹介する。

Metallica
世界を代表するスラッシュメタルバンドMetallicaの名前は、実はバンド創始者Lars Ulrichのちょっとした“策略”から生まれた。彼の友人Ron Quintanaが80年代初頭にヘヴィメタルのファンジンを作る際、「Metal Mania」か「Metallica」のどちらが良いか相談してきたところ、Larsは「Metal Maniaにしろ」と助言し、虎視眈々と「Metallica」を自分のバンド名に“いただいた”のだ。幸いRonとは今も親交があり、Lars自身も「もう許してもらったよ」と笑い話にしている。後にこの名前が、世界最大級のメタルバンドの代名詞になるのだから面白い。

Megadeth
Megadethはその綴りからして独特だが、由来には冷戦期の核戦争への危機感が色濃く反映されている。創始者Dave MustaineはMegadeth結成時、バス移動中に手にした上院議員Alan Cranstonのパンフレットで「megadeath(大量殺戮)」という言葉を目にし、その凄まじい響きに衝撃を受けた。ちょうど自身の書いた曲の歌詞にもこの単語を織り込んでいた彼は、「Megadeath」をバンド名に据えることを決意する。しかしそのままではあまりに“Death(死)”のイメージが強すぎると考え、“Death”の綴りの中の“a”を抜いてMegadethという表記にした。結果、死の臭いを漂わせつつも独自性のある名前が誕生した。

Slayer
悪魔的なイメージと過激な音楽性で知られるSlayerは、その名からして不吉だ。結成当初、バンドは本格ファンタジー調の「Dragon Slayer」を候補にしていたが、「ドラゴンは要らない、格好悪い」と“Dragon”を外し、よりシンプルなSlayerにしたという。後にこの名前の頭文字に由来するフレーズ“Satan Laughs As You Eternally Rot(悪魔はお前が永遠に朽ち果てるのを嘲笑う)”を考案し、徹底して悪魔的世界観を演出したのも彼ららしいエピソードだ。

Anthrax
ニューヨーク出身のAnthraxは、バンド名に病原菌を据えた異色の存在だ。創設者Scott Ianは高校の生物の授業で「炭疽菌(anthrax)」を知り、その語感がメタルでクールだと感じてバンド名に採用した。誰も知らない言葉で差別化を図ろうとしたという。結果、“Anthrax”は80年代当時ほとんどの人にとって造語同然で、バンドの個性を際立たせた。2001年には実際の炭疽菌事件に絡み改名騒動も起きたが、最終的に「Anthrax」の名は不変のものとしてシーンに刻まれている。

Testament
西海岸スラッシュ勢のTestamentは、デビュー直前までLegacyという名前で活動していた。1986年、いざニューヨークでのレコーディングという段階で同名のジャズバンドが存在することが判明し、急遽改名を迫られる。窮地を救ったのは意外な人物、Stormtroopers of Death(S.O.D.)のBilly Milanoだった。彼は友人でもあったバンドに「Testament」という名を提案。ギタリストのEric Petersonは早速T字とA字を繋げたロゴをデザインし、その力強い見た目にメンバーは一目で惚れ込んだ。こうして“聖書の遺訓”を意味する重厚な名が誕生。結果的に旧名Legacyから新たな伝説を紡ぐバンドとして飛躍していくことになる。

Overkill
ニュージャージー出身のOverkillは、1980年の結成当初はVirgin Killerと名乗っていたが(※Scorpionsのアルバムから拝借したとも言われる)、すぐにMotörheadの楽曲「Overkill」から現在の名前に変更した。荒々しく突き抜けたこの単語は、まさに彼らの音楽性を体現している。Motörhead直系のスピードと反骨精神に影響を受けた証でもあり、スラッシュ黎明期において先達へのリスペクトをバンド名に込めた好例と言えよう。

Sepultura
ブラジルの大御所Sepulturaは、非英語圏出身らしくポルトガル語のバンド名を掲げている。意味するところは「墓」――創始者 Max Cavaleraが愛聴していたMotörheadの曲「Dancing On Your Grave」を翻訳した際、「grave(墓)」がポルトガル語で“sepultura”と知り、「これだ!」と閃いたことに由来する。辞書を片手に英語詞を翻訳していた少年が、自らのバンドにふさわしい一語を見出した瞬間だった。その不気味な語感と意味の深みがバンドの音楽性に絶妙にマッチし、結果的に唯一無二の存在感を放つ要因となっている。

いずれの名にも、千差万別のドラマがある。それはバンドの音楽と同じくらい雄弁に彼らのルーツや思想を物語っている。各バンドがどのようにして唯一無二の名を手にしたのか、その物語はメタルファンにとって尽きない興味を誘うだろう。


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