GUERLAINに学ぶ、100年先を創る「美意識」のアップデートの仕掛け
家業である養蜂、そしてミツバチについてもっと深く知りたい。 その思いから応募した、LVMHグループのGUERLAIN(ゲラン)が主導する女性養蜂家育成プログラム、「WOMEN FOR BEES」。
幸運にもこの4月から参加する機会に恵まれ、改めて彼らの活動をリサーチしてみた。 そこで見えてきたのは、単なる「環境保護」の枠を超えた、圧倒的な経営思想だった。
106ページのレポートに込められた「本気度」
LVMHグループ内でもサステナビリティのパイオニアと称されるGUERLAIN。 彼らが発行する最新のレポートは、なんと100ページを超える。
その中身を紐解くと、彼らの活動は単発のCSRプロジェクトではない。 製造・教育・評価といった「組織のOS」そのものを書き換える、「Systemic Action(体系的な実践)」として設計されていることが想像される。
WOMEN FOR BEES: ユネスコとの共同プロジェクト。世界各地の生物圏保護区で女性養蜂家を育成し、エンパワーメントと生物多様性の保全を同時に実現する。
Bee Respect: 原材料の産地からリサイクルに至るまで、ライフサイクル全体を可視化する業界初のトレーサビリティ・プラットフォーム。各プロダクトの原料、パッケージ、製造がどの国のどんな会社、どんな環境配慮の挑戦をしているのかが全てわかる。めちゃくちゃ面白い。https://guerlain.respect-code.org/ja-JA/
エコデザインの革新: 2026年までの「リフィル化100%」への挑戦。ガラスの軽量化や「セルロース製リフィル」の導入など、審美性と環境負荷低減を両立させる。
Bee School: 社員自らが講師となり、小中学校に赴き次世代へミツバチの役割と生物多様性の重要性を伝える。

ACTING FOR LIVING BEAUTY
地球における生態系のバランスを理解し、そして維持する責任を、「環境の見張り番」であるミツバチの導きのもとに実践する
私が特に感銘を受けたのは、GUERLAINの「ACT(行動)」が、外部向けのCSRラベルを貼るためのポーズではない点だ。
全従業員への環境トレーニングや、社員自らが講師となり子供に環境について伝えるBee Schoolなど、社員一人ひとりの「在り方(BEING)」を物理的にアップデートしようとしている。
100年、200年先も「時代の美意識」を創り続けるために、組織の筋肉(教育・評価・製造フロー)を体系的にアップデートし、サステナビリティを「新しい美意識の当たり前」へと昇華させようとしているように感じる。
美しさの定義は、アップデートされ続ける
この15年ほどで、「美しさ」の定義は劇的に変わったと思う。 地球との共生は、ただの善行ではなく、当たり前になりつつある"美の在り方"そのものだ。
これらの目に見えないソフトな部分への投資は、短期的には財務諸表で見えづらい。しかし、10年、20年という長期スパンで見れば、それがブランドの圧倒的な「本物性(オーセンティシティ)」になる。
それを確信しているからこそできる、経営判断なのだろう。
表層的なトレンドを追うのではなく、時代の美意識を切り拓く実践者として先行投資する。その経営思想の深さそのものが「ラグジュアリー」なのだと感じた。
GUERLAINの香水が似合うような、しなやかで強い知性を持った女性でありたい。 そんな決意を新たにした、4月の始まり。「WOMEN FOR BEES」での体験を通じて、私自身の美意識もどうアップデートされていくのか。 そのプロセスは、またこのnoteでシェアしていこうと思う。
