「今のCRM、この商材に合ってる?」|事業と顧客行動から考えるCRM・ナーチャリング設計診断

CRMについて調べると、

「休眠顧客を掘り起こす」
「スコアリングで見込み度を判断する」
「顧客の行動に応じてシナリオ配信する」
「パーソナライズしたコンテンツを届ける」

といった方法がたくさん出てきます。

どれも、ある状況では有効だと思います。

でも、CRMの仕事をしていて感じるのは、同じ方法がどんな事業にも当てはまるわけではないということです。

法人が数カ月かけて比較検討するサービスと、個人がその日のうちに購入する商品では、顧客の動き方は違います。

同じBtoCでも、ECと人材サービスでは見るべき行動が違う。

商材単価、購買頻度、検討期間、営業の介在、顧客との接点。

それらが違えば、

誰に、いつ、何を届けるか。
何を「関心が高まったサイン」と考えるか。
何を成果として見るか。

も変わります。

だから私は、最初から「このCRM施策をやりましょう」とは考えません。

まず、その事業では顧客がどう意思決定し、どんな行動を経て成果につながるのかを整理する。

そのうえで、現在のCRM・ナーチャリングが、その顧客行動に合っているのかを診断します。


BtoBかBtoCか、だけでも決まらない

例えばBtoBでは、

資料をダウンロードした。
ウェビナーに参加した。
導入事例を読んだ。
料金ページを何度も見ている。

といった行動から、検討状況を考えることがあります。

そして、マーケティングだけで完結せず、どのタイミングで営業へつなぐのかも重要になるかもしれません。

一方、BtoCのECであれば、

商品を閲覧した。
カートに入れた。
購入した。
一定期間購入していない。

など、購入行動を中心に考えることが多くなります。

さらに同じBtoCでも、人材サービスなら、

求人を閲覧した。
希望条件を更新した。
プロフィールや職歴を更新した。
応募に近いページまで進んだ。

といった行動が重要になるかもしれません。

つまり、

「この行動をしたら見込み度が高い」

というルールを、CRM全般に共通するものとして決めることはできません。

まず、その商材で顧客がどのように動くのかを見る必要があります。


まず、事業と商材を理解する

CRMの相談だからといって、最初からメールの開封率や配信シナリオだけを見るわけではありません。

まず確認したいのは、

何を売っているのか。

誰が利用する商品・サービスなのか。

単価はどのくらいなのか。

一度購入して終わるのか、継続的に利用するものなのか。

検討にはどのくらい時間がかかるのか。

顧客自身がWeb上で意思決定するのか、営業や店舗など人の介在があるのか。

こうした前提が違えば、CRMに求められる役割も変わります。


次に「顧客がどう動くか」を整理する

事業を理解したら、次は顧客側から見ます。

例えば、

認知

興味

情報収集

比較・検討

行動

利用

継続・再利用

という流れがあったとしても、すべての商材でこの順番に進むとは限りません。

短期間で意思決定する商材もあれば、数カ月検討する商材もある。

一度離れて、半年後に戻ってくることもある。

購入後の継続利用の方が重要なビジネスもあります。

だから、一般的なカスタマージャーニーをそのまま当てはめるのではなく、

この事業の顧客は、実際にはどう動いているのか。

をデータやヒアリングから整理します。


「開封した=興味がある」とは限らない

例えば、メールを開封した人がいたとします。

CRMでは、開封やクリックを関心のシグナルとして扱うことがあります。

でも、

メールを開いた。

という一つの行動だけで、

「この人は今、商品・サービスへの関心が高まっている」

と判断できるとは限りません。

逆に、メールには反応していなくても、

サービスサイトを何度も訪れている。

特定の商品を繰り返し見ている。

登録情報を更新している。

など、別の場所で変化が起きている可能性もあります。

重要なのは、

どの行動なら、その商材において意味のある変化と考えられるのか。

を定義することです。

そして、その答えも事業によって変わります。


顧客を「固定された箱」に入れない

CRMでは、

潜在層
準顕在層
顕在層

あるいは、

Aランク
Bランク
Cランク

など、顧客を分類することがあります。

分類そのものは、顧客を理解するうえで役立ちます。

ただ、気をつけたいのは、一度分類した人がずっとその状態にいるわけではないことです。

先月まで情報収集だけだった人が、何かをきっかけに具体的に検討し始めるかもしれない。

反対に、先週まで積極的に比較していた人が、今は検討を止めているかもしれない。

だから、

「この人はどのセグメントか」

だけでなく、

「以前と比べて、何か変化が起きていないか」

を見ることも重要だと考えています。

ただし、ここでも「何を変化とみなすか」は商材次第です。


こんな状態の企業向けです

例えば、

  • CRM・MAを運用しているが、今の設計が正しいのかわからない

  • メールを配信すること自体が目的になっている

  • 昔作ったセグメントやシナリオをそのまま使っている

  • スコアリングはしているが、その根拠に自信がない

  • 顧客データはあるが、何を見ればいいかわからない

  • 開封率やクリック率以外に何を見るべきかわからない

  • 休眠顧客が多いが、とりあえず一斉配信する以外の方法が思いつかない

  • コンテンツはあるが、誰に何を届けるべきかわからない

  • マーケティングと営業の連携タイミングを整理したい

  • CRM施策を見直したいが、どこから手をつけるべきかわからない

といったケースです。


最初に「今のCRM」を診断します

現在のCRMについて、

事業・商材

何を、誰に、どのように提供しているのか。

顧客

誰が利用し、どのように意思決定するのか。

顧客接点

Web、メール、LINE、アプリ、店舗、営業など、どこで接点を持てるのか。

取得データ

属性、閲覧、購入、利用、メール反応、営業履歴など、何を取得できているのか。

現在の分類

どんなセグメント・スコア・ステータスを使っているのか。

現在の働きかけ

誰に、いつ、何を届けているのか。

成果

購入、問い合わせ、商談、応募、継続利用など、何につなげたいのか。

を整理します。

ここまで並べて初めて、

今のCRM設計が、事業と顧客の動きに合っているのか

を考えます。


「数字が悪い」からすぐ施策を決めない

例えば、

「メールのクリック率が低い」

という問題があったとします。

そこで、すぐに、

「件名やクリエイティブを改善しましょう」

とは決めません。

そもそも対象者に必要な情報なのか。

送るタイミングは合っているのか。

メール以外のチャネルの方が適していないか。

クリックしなくても、その後別の行動をしていないか。

そして何より、

クリック率が低いことで、最終的な事業成果にどんな影響が出ているのか。

を確認します。

数字を見る。

問題を分解する。

原因の仮説を立てる。

必要なデータを確認する。

初めて施策を考える。

CRMでも、この順番を大切にしています。


「誰に何を送るか」の前に、状態を整理する

顧客について理解できたら、

現在どんな状態なのか

次にどんな状態になってほしいのか

その変化を起こすために何が必要なのか

を考えます。

ここで初めて、

メールを送るのか。

コンテンツを届けるのか。

LINEを使うのか。

営業から連絡するのか。

何もしないのか。

を決めます。

場合によっては、今は何も送らない方がいいという判断もあり得ます。

CRMは、配信量を増やすことが目的ではありません。


ご支援できること

CRM・ナーチャリングについては、まず診断から始めることを基本にしています。

まず、現在のCRMを整理したい

現在の事業・顧客・データ・配信などを整理して、

今どういう設計になっているのか
→ どこに問題がありそうか
→ 何を確認すべきか

を整理します。

成果物の例:

  • 事業・商材特性の整理

  • 顧客行動・意思決定プロセスの整理

  • 現状CRMフロー

  • 顧客接点・取得データの整理

  • 課題マップ

  • 原因仮説

  • 改善優先順位

  • 次に検証すること

CRM・ナーチャリングを再設計したい

診断結果をもとに、必要に応じて、

  • 顧客状態の整理

  • セグメント

  • 状態変化とみなす行動

  • コンテンツの役割

  • 配信・コミュニケーション

  • チャネル

  • 営業との連携

  • KPI

  • 効果測定

などを設計します。

すべての案件で同じ項目を作るのではなく、その事業に必要なものを選びます。

小さく検証したい

いきなりCRM全体を作り直すのではなく、

特定の顧客群。

一つの行動。

一つのシナリオ。

一つのチャネル。

などに絞って検証することもできます。

仮説を置いて試し、結果を見て次の設計につなげます。


ご相談の進め方

最初に、現在の事業やCRMについて事前フォームで教えていただきます。

その後、必要に応じて、

  • 商品・サービス

  • 顧客

  • 購買・利用までの流れ

  • 現在の顧客データ

  • セグメント

  • 配信シナリオ

  • Web上の行動データ

  • 購入・CVデータ

  • 使用しているCRM・MA

  • 営業や他部署との連携

  • 現在のコンテンツ

などを確認します。

初回のお打ち合わせで、その場ですぐに新しいCRM施策をご提案することは基本的にはしません。

情報を一度持ち帰り、

事業
× 顧客
× 行動
× データ
× 現在の施策

を整理する。

そのうえで、

今の設計のどこに問題がありそうなのか。

何を検証すれば判断できるのか。

その結果、何を変えるべきなのか。

をご提案します。


CRMに「万能な正解」はないと思っています

BtoBだから、このシナリオ。

BtoCだから、このセグメント。

休眠顧客だから、このメール。

というように、最初から答えを決めることはできません。

同じBtoBでも、商材が違えば顧客の意思決定は違う。

同じBtoCでも、EC、人材、サブスクリプションなどでは、CRMに求められる役割は変わります。

だからこそ、

「一般的に正しいCRM」を当てはめるのではなく、「この事業の顧客にとってどうなのか」から考える。

それを大切にしています。

「CRMはずっとやっているけれど、今のやり方が本当に合っているのかわからない」

「MAもデータもある。でも、どう使えばいいのかわからない」

「施策を増やす前に、一度今の設計を整理したい」

という段階からでも大丈夫です。

まず、事業と顧客の動きを理解するところから、一緒に整理します。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集