第1章 光科学技術の歴史と限界 こぼれ話1
こぼれ話1 光子で野球? [1]
現代物理学の基礎である量子論によると、電子などの微視的な物質は古典論で知られている粒子の性質とともに波の性質を併せ持ちます。光についてもそれと同様なことが言えます。
つまり光は古典論で知られている波としての性質とともに粒子としての性質を持つことが知られています。どちらの性質を示すかは測定の方法によります。すなわち波長や位相を測定しようとすると光は波として振る舞い、エネルギーを測定しようとすると光は粒子として振る舞うのです。
このように二面性を持つものは「量子」と呼ばれ、特に光の場合は「光量子」あるいは「光子」と(こうし)呼ばれています。
図1.8に示すのはこのような二面性を持つ量子を使った野球です。ボールが量子に対応しています。しかし光子の場合はこの図中のボールのような「粒」ではありません。第1章の本文でも述べたように空間に満ちており、空間全体にわたって発生したり消滅したりすることのできる粒子なのです。
光子を使って野球を楽しむのは難しいですね。

脚注
1 本稿は私が著者となり自費出版した「光科学技術革命 ドレスト光子はやわかり」―異次元の光技術入門― (丸善プラネット、2014年3月)の第1.3節の一部の文章と図を適宜アップデートしたものです。
