昨日の夕飯、覚えてる?寝る前3分の"逆再生"で脳を取り戻す話




「五十鈴さん、いま、何時ですか?」
カウンターの隅っこに陣取って、グラスの氷をカラカラ鳴らしながら間延びした声で聞いてきたのは、近所の高校生男子。見事な天然パーマを鳥の巣みたいに爆発させているから、あだ名は「オバチャン」。学校で「波動研」なる怪しげな同好会を立ち上げ、愛読書は『月刊ムー』。日々、不思議体験を求めてさまよっている、愛すべきポンコツオカルト少年である。
「あんたねえ! 自分の左手首にある、その立派な腕時計を見なさいな」 「あ、ほんとだ。ここ(腕)にありましたわ」
手首にガッチリと時計を巻いているのに、なぜ私に時間を聞くのか。ムーの読みすぎで次元の狭間にでも迷い込んだのだろうか。
まったく、若いくせに脳みそがどうなってんのよ……と呆れつつ、ふと我に返る。いやいや、人のことは言えない。実は私も最近、増えているのだ。
「あれ、ここへ何を取りに来たんだっけ?」と、冷蔵庫の前で立ち尽くすことが。なんなら、手に持っているスマホを探して部屋をウロウロすることすらある。オバチャンの腕時計事件を、鼻で笑える立場にない。
私たち、日々やらなきゃいけないタスクに追われすぎて、脳みそが常に「次のこと、次のこと」って前のめりに自動運転しているんですよね。お疲れ様です、本当に。
そんな「脳の自動運転」をストップさせて、オバチャンが大好きな「波動」も整いそうな……ついでに、願いを叶えるための「イメージ力」まで鍛えられちゃう、ちょっと面白い方法があるんです。
使うのは、お金でも時間でもなく、寝る前のたった3分間。 名付けて「1日の逆再生ワーク」。
やり方はとってもシンプル。夜、お布団に入ったら、今日1日の出来事を「今」から「朝」に向かって、ビデオを巻き戻すように映像で思い出すだけ。
「今、ベッドに入った」 「さっき、洗面所で歯を磨いた」 「その前は、カウンターでオバチャンを相手にしていた」 「夕飯は、お惣菜のコロッケだった(ここでようやく昨日の夕飯も思い出せるというおまけ付き)」

これ、オバチャンが飛びつきそうな怪しい魔法かと思いきや、歴史的にも科学的にも、ちょっと背筋が伸びる裏付けがあるのよ。聞いて、侮れないやつよ。
まず古い方から。
オーストリアの神秘思想家にして教育者、ルドルフ・シュタイナーが提唱した「リュックシャウ(Rückschau)」、日本語で"夜の振り返り実践"と呼ばれる修行法が、まさにこれ。
彼の狙いは「感情から切り離して、自分の一日を客観視する力を鍛える」こと。順番通りに振り返ると、「あの一言、腹立ったな!」「オバチャン、相変わらずだな」って、どうしても"感情フィルター"が入ってくる。でも映像を逆回しにすると不思議なことに、感情が剥がれて、まるで映画のワンシーンみたいに自分を外側から眺められるようになるんだって。
そして現代の話。
これ、認知的面接法(Cognitive Interview) という、1980年代にアメリカの心理学者たちが開発した技法の一部でもあるの。目撃者の記憶をより正確に引き出すために、実際に警察が採用しているやつ。その技法の中に「出来事を逆順に想起させる」というステップがちゃんとある。
なんでそれで記憶が鮮明になるかって?
人間の脳って、ほんとに愛すべきサボり魔で。「朝起きて、ご飯食べて、電車乗って……」と順番通りに思い出すと、脳は「はいはい、いつものやつね」って記憶の隙間を自動補完しちゃうの。これを心理学では「スキーマ」と言うんだけど、要は空白を勝手に"それっぽく"埋めちゃう機能。
でも「逆から」辿らせると、その自動補完が使えない。前頭葉をフル回転させて、ちゃんと実際の映像を引っ張り出さないといけなくなる。
その結果、純粋に「映像としてありありと思い描く力」が鍛えられる。
引き寄せだのイメージングだのって言うけれど、私たち大人って、タスクをこなすことには慣れすぎて、純粋に「リアルに想像する」力がびっくりするくらいなまってるのよね。だからまず、お金も道具もいらないこのワークで、脳の視覚を筋トレしてあげる。
オバチャンに「これやると、UFO呼べるようになるかもよ」と言って教えてあげたら、めっちゃ喜んでた。
毎日が飛ぶように過ぎて、気づけば冷蔵庫の前でフリーズしているそこのあなた。今夜はスマホを置いて、自分の1日をちょっとだけ巻き戻してみませんか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
皆さまの毎日が、今よりくっきり輝くものになりますように(。-人-。)✨ Love & Peace💕
