「バンドリ!」 と色の哲学~追加5バンド編~
ごきげんよう。
突然ですが、皆さまは、下記の記事をご存知でしょうか。
これは、かつて私にバンドリを教えた教示者「妖精からっぽまる」氏が書き記した、「カラーパイの5つの色とBanG Dream!の5つのバンドの符合」の鮮烈な記録です。
あれから時は流れ、現在ではBanG Dream!(以下「バンドリ」)に登場する主たるバンドは10に及びます。
などと書いていたらブシロード新春大発表会でさらなる新バンドが発表されて12に及ぶことが判明しましたが、それはそれとして。
今回は、「In the name of BanG Dream!」並びに「元祖! バンドリちゃん」に登場する10のバンドのうち、登場時期ゆえに妖精からっぽまる氏が紹介していない5つ、即ち追加5バンドの色を私が勝手に紹介していきます。
ただし、各単色は既に初期5バンドに使われていますので、必然的に多色化しています。それに伴い、紹介は概ねバンドリ内での登場順とします。
また、初期バンドの紹介がいい意味で単色との符合ありきであったのに対し、追加5バンドは色の形成にそれぞれの中心人物の色が大きく関わってきますので、本記事では各メンバーの色の扱いが妖精からっぽまる氏の記事よりも大きくなっています。
加えて、私はMTGよりもデュエル・マスターズ(以下「DM」)に詳しいので、一部の知見がそちらに寄っています。10のバンドを十王篇というシーズンに登場する10の陣営になぞらえて、「十王」と呼んで思い入れを持っていたりもします。
例によって異論は認めます。
(以下、敬称略)
前提
さて、早速観ていきましょう。
と言いたいところですが、本記事には必要となる前提知識があります。それは、初期5バンドの色、及びカラーパイの基礎知識です。
この点は妖精からっぽまる氏の記事に丸投げしようとも思いましたが、本記事を書くにあたっての矜持として、初めてカラーパイに触れる方向けに各単色について大まかにご紹介しておきます。
白:ハロハピの色。平和を求める。それは世界が笑顔であること。
青:パスパレの色。完璧を求める。それは絶え間ない発展の先の理想。
黒:Roseliaの色。力を求める。それは頂点に狂い咲くための強さ。
赤:Afterglowの色。自由を求める。それは衝動と情動のカプリチオ。
緑:ポピパの色。受容を求める。それは相互に受け取り続けること。
ざっとこんな感じです。
また、未だ非公式ながらも私が色考察において非常に重要と考えている、「割れ」なる考え方についても説明します。
割れとは、ある色に対する、その両隣の色のことです。例えば、白に対する青緑が当てはまります。これは多色の一部に対しても適応でき、例えば青緑の緑割れが白青赤である、という風に言えます。
これは、一見ある色のようで、実はその色であるための決定的要件を持たない場合に発生します。
具体例は後で登場するのでお楽しみに。
🎧RAISE A SUILEN:黒赤
改めて、各バンドの紹介へ移ります。
トップバッターは、6番目に登場したRAISE A SUILEN(以下「RAS」)です。このバンドは黒赤です。
近年バンドリに触れ始めた方向けに説明しますと、RASが初めてアニメ時空に登場したのは、アニメ「BanG Dream! 2nd Season」でのことです。この頃はまだゲームでは初期5バンドのみであったため、歴史的には6番目という訳です。
各メンバーの色は下記の通りです。
レイヤ:緑
ロック:青赤緑
マスキング:赤緑
パレオ:白青赤
チュチュ:青黒赤
バンドの色に最も寄与しているのは、中心たるチュチュの黒赤部分です。
「ガールズバンド時代をぶっ壊す」が「切り拓く」に変わってもそれは健在。野心・闘志・挑戦といった強い感情を前面に出す楽曲を多く擁し、自ら「最強」を名乗る姿勢は、「売れっ子」になろうとする上昇志向の強い黒に赤の激しさが掛け合わさっています。
アニメ時空での物語においてチュチュが同じく黒であるRoselia及び友希那と接触し、衝突したのも、同じ高みを目指す黒同士としての関係が意識されているのかもしれません。
一方で、チュチュがパレオ以外に勧誘した「才ある人物」達は、なぜか全員緑を持っています。
このことは、アニメ「BanG Dream! 3rd Season」にてバンドを盤石にする際の特筆事項として浮き彫りになりました。
ポピパに幼馴染(たえ)のいるレイヤと端からポピパ推しのロックはともかく、マスキングまでもがポピパの放つ緑に馴染んだことで影響を受け、チュチュの統制が効かなくなったといった出来事があったのです。そうした中、焦りもあって強権的になったチュチュが(緑を持たない)パレオまでも突き放してしまい、メンバーはその解決に奔走しました。
ちなみにパレオはこの時家庭と折り合いが付かないという課題を抱えているからか、緑という「受容」の色を持ちません。一方で、パスパレという青の大ファンです。そしてパレオの色は他者(チュチュ)に献身する白、自らを後天的に変化させる青、行為を爆発させる赤によって成り立っています。パスパレが絶え間なく「かわいい」を向上させていくことと、パレオがパレオになることが符合しているのです。
尚、RASのメンバーが普段からステージネームで呼び合っているのは、青の「後天的に変化させる」要素と、黒の「自身を含む対象に新しい名前を与えて定義を上書きする」要素の複合だと考えられます。
🦋Morfonica:白青黒緑
月ノ森で結成されたバンド、Morfonica(以下「モニカ」)は、白青黒緑です。
RASよりも前にゲームに実装されたことで以降の公式での紹介順が変化したことでもお馴染みです。
色構成は「白青+青黒緑」。
各メンバーの色は下記の通りです。
ましろ:青黒緑
透子:黒赤
瑠唯:白青黒
つくし:白黒赤
七深:白青緑
4色という難しそうな構成ですが、順番に説明します。
バンドの色に最も寄与しているのは、ましろの青黒緑と、バンドを通じての目標である白青です。
まず、月ノ森はお嬢様学校なので、白黒をロールモデルとしていると考えられます。白黒は、白の法規を重視する側面と黒の実用主義的側面が合わさった場合に典型的な「大人」の色となります。その未成熟な姿として白黒の白割れである青黒緑があり、ましろ個人の色と重なっているのです。
ただし、モニカ自体はそれとは異なる目標を持っており、それが白青という訳です。なぜなら、モニカの音楽がいわゆる「幻想的」と称されるのは、モニカのステージ像がDMで言うところのドレミ団的白青だからです。白青の掲げる「理想と平和」に象徴される音楽像が、モニカと一致しているのです。
そうして白青な音楽を奏でる一方で、ふとした時にそれとは大きく異なる、精神の弱い部分に踏み込むこともあります。後者の代表が「forte」サイクル、もといシリーズです。それは白青とは反対の色である黒緑を象ります。
実は、黒の要素のひとつに、「己と向き合うこと」があります。自らの強い部分も弱い部分も認識してこそ力を持てるという考えが黒にはあるのです。forteはまさにこの路線であり、モニカが黒をも持つ根拠です。同時に、「自己受容」はまさしく緑でもあり、モニカは白青と黒緑、対極的な両方を内包していると考えられます。
ちなみに、ヴァンガードMorfonicaコラボでは、ましろは「攻撃曲げ」の能力を持っています。自分に向けられた攻撃を、他の味方に逸らすことができるのです。これは、ましろという青黒緑の他責思考な側面が着想元にあると考えられます。
一方で攻撃曲げは、攻撃先が不明瞭になる様子から「迷路」にも例えれられます。それに基づき、DMではメタリカという光文明即ち白の初期のカード群や、水文明即ち青の中でも青黒緑側を思わせるカードが攻撃曲げを持っています。これもまた示唆的ですね。
🧭MyGO!!!!!:青緑
名前に反してバンドリの方向性に大きな指針を与えたかもしれないMyGO!!!!!は、青緑です。
各メンバーの色は下記の通りです。
燈:緑(回想)→青緑
愛音:赤(白青赤側)
楽奈:緑
そよ:白黒緑
立希:白赤
バンドの色に最も寄与しているのは、燈の青緑です。
MyGO!!!!!には雨・傘モチーフがあります。雨は青緑が得意とするものです。
燈は他者の心を理解しようとする過程で青を増やしていきます。
興味深いことに、愛音の現在の「軽い」言動は概ね赤単である一方で、元は留学する程度には優等生要素を持っています。白青赤は教育にも高い関心があります。ここから愛音が赤の中では白青赤側であるとすると、青緑になろうとする燈との相性が非常に良好であることが導出できます。なぜなら、青緑と白青赤もまた、近い色だからです。
とはいえ立希も退いてはいません。白赤こそまさに緑の両隣ですからね。
MyGO!!!!!形成運動の裏で以前の居場所を取り戻そうとしていたそよは、明確に緑を持っています。緑は「居場所」や「過去」に敏感だからです。この点については燈も、楽奈もですね。その上で、そよは「母に対して母の役割」を取り込んだことで、白の包み込む要素を宿しました。同時に、子供として愛してほしい欲求も抱えることとなり、こちらが黒となります。その多面性が本編以降も発揮されていくのです。
野性味ゆえに消去法で緑単な楽奈は、初期バンドリの重要人物、SHISENオーナーの孫にあたります。それは、ポピパが受け取った緑の系譜を同じく引き継いでいることをも意味します。
🌙Ave Mujica:白黒赤
豊川祥子の強烈な想いによって生まれたAve Mujicaは、白黒赤です。
色構成は「白黒+黒赤」。
各メンバーの色は下記の通りです。
初華:白黒
睦:白黒(青割れ)
海鈴:白黒(偽装)→青黒緑
にゃむ:黒赤
祥子:白黒(のちにタッチ赤)
バンドの色に最も寄与しているのは、祥子の白黒と、メタルバンドに通底する「伝統宗教から離反する者」としての黒赤です。双方が合わさって白黒赤という訳です。
月モチーフも白黒が得意としています。DMでは月光王国が代表的です。
またにゃむ以外は白黒に関連付いています。今回紹介するバンドの中では最も陣営の色と各メンバーの色との一致度合いが大きいです。
一方で、興味深いことに、その白黒のあり方は全員違います。
初華は白黒と緑の共通の関心である「喪失感」に深く関わっています。加えて、並々ならぬ家庭環境でありながら「しがらみを受け入れている点」も緑に近いと言えます。
睦は本来青が得意とする「多相」の能力を持ちながらも、青であるための決定的要件たる向上心等に関連付いていないため、その両隣である白黒。加えて特に、最初に登場した"睦"については、自分を犠牲にしてでも祥子に尽くしてしまう部分が白黒の無私の要素であるとも言えます。
海鈴は逆に自らを白黒と偽っていつつ、実態は緑的繋がりを求めながらも青のように丁寧語で他者との距離感を計算しています。
そして、突発的行動力を持つ祥子は白黒の中では赤に近いです。実際にアニメAve Mujicaの終盤ではしがらみを振り払うことで赤に近付く姿勢を見せました。
そうした白黒揃いの中、にゃむは立身出世への欲求という黒と、家族に果報を届けたいという赤を持つ黒赤です。結成当初打ち上げに行こうとしていたり、祥子を成り上がり仲間だと思いたかったことなど、にゃむなりに赤のやり方で仲間意識を持っていることが伺えます。ところが、これはバンドの方針においては「商業主義的な黒と刹那主義的な赤」として表れ、作家主義的な考え方でバンドを動かそうとしていた祥子と対立していたのです。
🛸夢限大みゅーたいぷ:青黒緑
最後を飾るのは、10のバンドのうち唯一バーチャルな姿を持つ、夢限大みゅーたいぷです。
本記事を書いている現在で唯一アニメ時空での素性が未判明(今年夏のアニメが楽しみですね)ですが、各メンバーをイメージした公式「楽曲まんが」と、アニメ版のHPでの紹介文を鑑みると、どことなくメンバーの色を見出すことができますので、現時点での解釈を載せてみます。
あられ:青黒赤
ユノ:黒赤緑
都子:白黒緑(白+黒緑型)
律:白
ののか:青黒緑
こうして並べると、黒と緑が多い印象です。
シスターモチーフを持つ都子と、真面目な優等生タイプの律という異なるタイプの白を擁していますが、夢限大みゅーたいぷの楽曲の哲学自体からは白は見出されないと現時点では考えています。あるとしたらそれは、「成長の証」と「向上の兆し」からなる青緑が、白のように見えるのだと思います。
一方で、打ち込みの音やバーチャル要素を盛り込むには青が必須。そして「私たちの生存戦略」という最初のキャッチコピーからは緑や黒緑の得意とする「生存」への関心が見て取れます。
ちなみに奇しくもDMにおいて、「オレガ・オーラ」という存在が登場します。オレガ・オーラは背景ストーリーにおいては「単体では実体を持たないデータ生命体」であり、通常水・闇・自然に分布しています。即ち青黒緑。本記事ではこちらの符合も念頭に置いています。
番外
CRYCHIC:白黒緑(緑+白黒型)
番外として、惜しくも解散してしまったCRYCHICについても触れておきましょう。
このバンドは劇中で「実は普通のバンドだった」と言われているので、色の哲学を持つほどの確固たる何かを持っていないのではと思われる方もいるかもしれません。しかし、そうした「ただある存在」は得てして緑になるもの。それでいて、CRYCHICは緑単ではなく、緑を中心とした白黒緑である、というのが私の考えです。
緑+白黒という色構成は、燈の緑を中心に祥子の白黒を添える形です。まさしくこのバンドを作るきっかけとなった二人の色からできており、そよの色でもあるのです。
加えて白黒緑という色は、伝統宗教に代表される「よすが」を得意ともしています。
まとめ
RAISE A SUILEN:黒赤
Morfonica:白青黒緑
MyGO!!!!!:青緑
Ave Mujica:白黒赤
夢限大みゅーたいぷ:青黒緑
これが、現時点での追加5バンドの色の結論です。
カードゲームのカードは、「セットデザイン」や「複雑さの許容度」などの影響で、登場人物や陣営の色を顕す際に精密さ以外を優先することがあります。カードにとって色は手段ですから、無理もないことです。
そういう意味では、より精密に色の哲学と向き合うには、カードゲーム以外からも積極的に知見を取り入れていくのがいいのかもしれません。
それがバンドリのように「生き様」を描く作品であれば、尚更です。
ブシロードは今や大ガールズバンド時代だけでなく大カードゲーム時代にも大きく関わっていると言えます。しかし、そのカードゲームの多くが色制とは距離を取っています。そうした中にありながら、カラーパイと深い繋がりを持った作品が同社に存在していることが、とても趣深いです。
