電子レンジと一本の電話~22日は健康を振り返る日~
わたしは、毎月22日を「健康を振り返る日」と決めている。
それは、2022年9月22日に開頭手術を受けたことがきっかけだ。
諦めかけていた人生を、生きなおす機会を与えてもらった。
闘病から得た気づきを書いた電子書籍はこちら⇩
12月は、とくにわすれられない月だ。
手術をうけることになった病院をはじめて受診した。
12月10日、執刀医となる主治医に出会った日。
そこからほどなくして起きた我が家のできごとは、今でも思いだしたくないくらい「家族全員のカオス」になっている。
本当は、要因は一つじゃない。そう分かってはいるのに……
「自分のせいだ!」「いや違う!」そう思いながら過ごしてきた。
収拾がつかない状態ののち母が壊れてしまったことを、どこかで自分のせいだと思ってしまう癖が、ずっと抜けなかった。
これについては、難航している2冊目の電子書籍に少しだけ出てくるが、諸事情により「なめくじが進むような速度」でしか書けていない。
ただ、そのなめくじウォーク執筆だったからこそ、
今回の出来事を、これまでと違う角度で受け止められた気がしている。
電子レンジを買いなおした日
高齢の両親が暮らす実家では、わたしのお古のオーブンレンジを使っていた。
使い始めて10年目、ついに調子が悪くなり、母の心配の材料が増える。
「お正月が来るのに大丈夫かしら……」
(お正月はもうわたしたちしか集まらないから大丈夫!)
そういう単純な言葉がまったく通じなくなるくらい、母の不安は大きくなる。
レビー小体型認知症に、過去の双極性障害が加わって症状が現れると、単純なことがより複雑化し……迎える結果は「おおごと」だ。
なんとか予定を調整し、電子レンジを買いに行くことになった。
そのとき、父も一緒に来ることになり、正直、わたしは「えー……なんで?」と思った。
折り合いの悪すぎる親子の様子を表した記事はこちら⇩
それでも、買い物に行くには父が乗る車を借りないといけない……。
ここは母のためにぐっとガマンするしかない!
すると、外でお昼ご飯を食べようという話になり、父はおもむろに
「回転寿司が食べたい」と言いだした。
高齢者に優しくない「タブレット」問題
なぜ今、回転寿司なのか……?
店に到着してからわかった。
父は、母と二人で行きたい気持ちはあっても、タブレットが使えない。
多くの飲食店はタブレットか、スマホでQRコードを読みこむセルフオーダーに変わりつつある。たとえば、通院帰りの高齢夫婦が「待ち時間が長くて疲れたわ。外で済ませましょう」と立ち寄るも、謎の四角い機器が「でん!」と居座る席に通され……困惑したのち店を出ることすらあるだろう。
父も「高齢者仕様iPhone」を無理やり持たされているけれど、全く使いこなせていない。持たせた張本人である長兄が「教育」を放棄したので、父は「高級子機」を持ち歩いているだけなのだ。
いつもは泣く泣く諦める「タブレット導入」の回転寿司店も、わたしがいれば操作ができる。
注文する様子をみたがっているのも、覚えたいと思っているのもわかった。
数回オーダーの様子を見せ、やってみるよう促すも……
結果としては
「わからん!また食べたくなったらお前が帰ってきたときにする!」
で終わった。
「察する役割」を引き受ける
正直に言えば、なにもかも引き受けたいわけじゃない。
過去の感情がからみ合い、父娘の関係は複雑なままだ。
でも……
父が「外で食べよう」と言い出したら
「ああ、今日は回転寿司に行きたいのか」と察するくらいならできる。
複雑なままでも、なんなら父を嫌いでもできるし
「たまにはご馳走くらいしなきゃいけないんだろうな」
とも思った。
その日は、父がスポンサーになってくれた。
それを「ありがとう。ごちそうさまでした」といえる自分でいようと、少しだけ考えを改めた。
その後、家電量販店で父が車を移動させている時に
「先に降りるよ!」
と言った瞬間爆走した。
先に目星をつけていた電子レンジの支払いを済ませ、箱を抱えて歩き出すと、
目を真ん丸にした両親が遠くからわたしを見つめていた。
娘サンタ、ちいさなミッションをクリア!
関係を保つための体力
その日の出来事を、わたしは健康の話として書くつもりはなかった。
でも今ならわかる。
我が家のような「機能不全家族」の関係を、少しでも「マシな形」にするには、それなりの体力がいる。
心が追いつく前に「体が踏みとどまって」くれないとなりたたない。
母からの電話
翌日、勤め先を出たと同時に電話が鳴った。
ディスプレイには「実家」の文字。
どき……
母からだった。
小さく覚悟を決めると、画面をタップして、ほかのことを言わせんばかりに電子レンジの使い心地を聞いた。
オーブンレンジから、単機能電子レンジにグレードダウンしたそれは
「簡単で、機能的で、なにより新品ピカピカ」ですごく気に入ってくれたらしい。
うれしそうに話す声にホッと胸をなでおろしたその時、母が
「昨日はきつかったでしょ?顔がしんどそうだった」と言った。
「そんなことないよ、大丈夫!」と即座に答えるわたし。
少し間があって
「ちゃんと寝なさいよ」
その言葉に、わたしはしばらく動けなかった。
実は、新たな挑戦をはじめて2週間。
日々の睡眠時間は4時間を切り、立っているのがしんどい日が増えていた。
それでも
「勉強になるから!少し先の未来に余裕を手に入れるためだから!」
そう言い聞かせて踏ん張っていた。
ほどなくして、文字がすべて「誰」に見えるようになり、帰宅後PCの前に立つと吐き気を催すようになった。いや……実際数回戻した。
3週間で作成した文字数は27000ほど。SNSの投稿に例えると100本を超えていた。
これ以上はもう無理だ……
自分の実力のなさを悟った12月20日
「この納品をもって終了したいです」と、先方にお詫びして、書く仕事を手放した。
おわりに
電子レンジを買いなおすという、母の不安を取り除くはずのできごとが、父との関係を見つめなおすことにつながった。
過去の感情をいったん踏みとどまった一日が、今のわたしに
「本当に必要なことは?」と問いなおすきっかけをくれたようだ。
健康とは「心身ともに」で成り立つ。
自分がおかしくなる一歩手前で痛感した。
もし読んでくださるあなたが、似たような状況にあるなら
……簡単に人の生活に口出しするのは避けてきたが、今だけは強く言いたい。
「自分を守る行動をとって!」
わたしはまた仕切りなおす。
だから、一緒にリスタートしませんか?
闘病を振り返りながら、日々気づいたこと。そしてそこから生まれる「チリツモチャレンジ」の様子を、Xにて毎朝投稿しています。
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オーブンレンジから、単機能電子レンジにスペックダウンしたのに、まるで「今季最高の品を手に入れた!」と言わんばかりの歓喜の様子をお楽しみください🤣 https://t.co/d3lyRtod7r pic.twitter.com/y2Qa6c0j0h
— みむら@チリツモチャレンジャー (@mimulabo11) December 13, 2025
自分の作品以外に、共同著書にもチャレンジしています。
12月5日に出版し、おかげさまで好評の作品はこちら⇩
ご両親に対してやっておきたいこと、アラフィフ世代の後悔ない生き方などを色んな形でおさめた作品です。
年末年始をご家族で迎えるにあたり、なにかひとつ、あなたのこころに響いていたらうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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