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怖かった祖母を思い返したら、30年越しの愛情に気づいた

「あーちゃんは、私たちのことを愛していたのだろうか。」

ふと、こんなことを考えるときがある。


「あーちゃん」
私たちは祖母をこう呼んでいた。

私が小学3年生のときに亡くなってから、もう30年近くになる。
祖母との記憶はまだ残っている。

ただ、その多くは優しいものばかりではない。

わからなかった祖母の気持ち、今なら少しわかる気がします。

🫧 🫧 🫧

祖母は、いつも不機嫌だった。

少しでも気に入らないことがあると、「もう知らない」と言って口を閉ざす。
何かあれば、「あんたがこうだから」と大きな声で怒る。

こっちの気持ちを伝えられるような隙はなかった。

食事中に鼻をかんだだけで、激しく怒られたこと。

塗り絵をしていたとき、ヒロインの髪を黒く塗っていた祖母に、
「髪、茶色だよ。」
と伝えたら、塗り絵を放り投げられたこと。

ボールペンの先で足の裏をふざけて刺されたこと。
痛かった。
つい最近のことのように覚えている。

怖かったという記憶。

祖母の機嫌を損ねないように。
ただ言うことを聞くように。

周りは気を使っていた。
他人だったら、関わりたくない。

けど今、この年になってあの頃には見えなかった祖母の姿が少しずつ見えてきたかもしれない。

🫧 🫧 🫧

祖母は、ずっと病気を抱えていた。
一年の半分以上を病院で過ごすことも。

家にいるときは暖かい服を着込み、折れてしまいそうなほど細い体でたくさんの薬を飲んでいた。
そして、ひっきりなしにタバコを吸っていた。

祖母が食事をしている姿はほとんど見なかった。

子どもの私には、それがどういうことなのかわらなかった。
「おばあちゃんは体が弱い。」

ただ、その程度しか思わなかった。

今なら思う。
思うようにならない体で毎日を過ごすことは、どれほど苦しかったのだろう。

入院を繰り返し、「また悪くなるかもしれない」という不安を抱えて過ごす日々。
祖母はどんな気持ちで過ごしていたのだろう。

もちろん、それが祖母の不機嫌の理由だったのかはわからない。
でも、私には見えていなかった苦しさがあったのかもしれない。

🫧 🫧 🫧

祖母との記憶を一つずつ思い返してみた。

祖母は、よく私をデパートへ連れて行ってくれた。
楽しみだったのは、最上階にあるレストラン。

私はいつも、お子様ランチを頼んだ。
オムライスには、小さな旗。
ハンバーグ、ナポリタン、ゼリー。

目の前に運ばれてくるだけで嬉しくなる、特別なごちそうだった。

その向かい側に、座っていた祖母。
いつもコーヒーだけ。
お子様ランチを食べている私を、ただ見ていた。

それを思いだしたとき、突然つながった。
「あぁ、今の私と同じだ。」

🫧 🫧 🫧

今、子どもたちがご飯を食べる横で、私はコーヒーを飲む。
何も食べず、子どもたちが美味しそうに食べている姿を見る。

「美味しい?」
「よかったね。」

子どもたちが嬉しそうにしていることが何よりも嬉しい。

「あーちゃんも、こんな気持ちだったのかな。」

あれほど体が弱かった祖母。
なのに、よくデパートまで連れて行ってくれた。
出かけるだけで大変だったはずなのに。

遊びに行った時に退屈しないようにと、絵を描く道具など用意してくれていた。
今のようにネットで買い物ができない時代。
体調が悪いのに、わざわざお店に買いに行ってくれた。

一緒に買い物へ行けば、私がお菓子をずっと選ぶのを待っていてくれた。
立っているだけで辛かったはずなのに。

「好きだよ」
「愛しているよ」
そんな言葉を祖母から聞いた記憶はない。

それでも、祖母なりの愛情は、ちゃんとそこにあったのかもしれない。
今になってそう思える。

怖かった記憶がなくなったわけではない。
ただ、その隣にもう一つの記憶が並ぶようになった。

🫧 🫧 🫧

祖母が亡くなった朝、まだ記憶に残っている

早朝、とつぜん母に起こされる。
「あーちゃんが亡くなったよ。」
静かな声で知らされた。

病院で横になっている祖母を見ても、お葬式が終わっても、子どもの私には「死」がよくわからなかった。

そして、ふとしたときに気づく。
「あーちゃんがいない。」

それまで毎日のように会っていたのに。
もういない。

あんなに不機嫌だった理由も、
どれだけ体が辛かったかも、
そして、私たちを愛していたのかも、
もう聞くことはできない。

怖かった記憶は消えない。
ただ、時間が経つことで違うものも見えてくるのだと思う。

あの頃は気づかなかった言葉。
何気なくしてくれていたこと。
当たり前だと思っていた時間。

あーちゃんが、本当はどう思っていたのか。

もう答えを聞くことはできない。
それでも今は思う。

きっと、あーちゃんなりに愛してくれていた。

30年近く経った今。
私はあの日の記憶の中から、祖母の優しさを少しずつ拾い直している。

おじいちゃん、おばあちゃんとの記憶で、今だから気づける優しさはありませんか?


今回の記事は、のぞみんさんの企画に参加させていただきました🙌
今回で3回目の参加です。

最近、祖父が亡くなったばかりなのですが、今回はその妻である祖母のことを書きました。

祖父とは正反対の性格だった祖母。

子どもの頃は、とにかく「怖い」という記憶のほうが強く残っていました。
でも、今の自分から振り返ってみると、
「あのとき、祖母はどんな気持ちだったのだろう。」
と、少しだけ想像できるようになった気がします。

今回、この企画がなければ、祖母との記憶をこんなふうに振り返ることもなかったかもしれません。
とても大切な機会をありがとうございます🕊️

書けてよかった☺️✨️


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