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「救急車、呼んでいいのかな?」必要な人に必要な医療を届けるために、知っておきたい救急車のこと

はじめに

「救急車って、有料になるの?」

最近、そんな話を耳にすることが増えました。

※「救急車が有料化される」と聞くことがありますが、全国一律で救急車の利用料金がかかるわけではありません 。

救急出動件数が過去最多となる中、適時・適切な救急車の利用を促すための取り組みが行われています。

もし救急車が有料になったら——

「本当に必要なときも、お金が気になって呼べないかも」
そんな心配もありますよね。

一方で、医療現場では別の心配があります。

救急車の要請が増えれば、
限られた救急隊が出動し続けることになります。

中には、
緊急性の乏しいケースが含まれることもあります。

その間にも、本当に救急車を必要としている人がいるかもしれない。

では、私たちはどうしたらいいのでしょうか。



「救急車を大切に使う」って、どういうこと?

消防庁によると、2024年の救急車による出動件数は771万8,380件、搬送人員は676万9,172人で、いずれも統計開始以来最多となりました。
そこで、

・必要なときは救急車を呼ぶ

・救急車以外の方法で受診できるときには、【別の選択肢】を考える。

この両方が大切なのではないでしょうか。

【別の選択肢】をいくつか紹介します➡
・かかりつけ医
・近隣の医療機関
・夜間/休日の受診先
・#7119
・Q助
(#7119・Q助は後で詳しく説明するので、ここでは予告だけ)

医療現場では、
「救急車は必要な人に使ってほしい」

でも、患者さんや家族からすると、
「そもそも自分では、救急車が必要な状態なのか判断できない」
という、それぞれの思いがあります。
どちらも間違っていません。

だからこそ、「呼ぶな」「呼んでいい」という二択ではなく、
状況に応じた選択肢を知っておくことが大切です。



「軽症だった=救急車を呼ばなくてよかった」ではありません

救急車で搬送された人が、
結果的に「軽症」と診断されることがあります。

でも、
結果的に軽症だったことと、
救急車を呼ぶ必要がなかったことは同じではありません。


本人や家族がその場で緊急性を正確に判断するのは、簡単なことではありません。

「これくらいで救急車を呼んでいいのかな?」

と迷ってしまうのも当然です。

しかし、判断するための情報を持っておくことはできます。

ここから、判断の助けになる情報を紹介します。




どんなときに119番?

  • 突然、意識がおかしくなった

  • 呼びかけても反応がない

  • 急な胸の強い痛み

  • 突然の激しい息苦しさ

  • 顔や手足の突然の麻痺

  • 今までにない突然の激しい頭痛

など、命に関わる可能性がある症状では、ためらわず119番へ
(※症状の例は、総務省消防庁の救急受診ガイド等を参考にしています。 )

それでも、
「救急車を呼んだほうがいいのか分からない」という場合もありますよね。
そんなときに知っておきたいのが、#7119やQ助です。



「救急車を呼ぶべき?」迷ったら…

#7119

#7119は、救急車を呼ぶべきか、
今すぐ病院を受診したほうがいいのか迷ったときに相談できる電話窓口です。

「こんなことで電話していいのかな?」
と思う必要はありません。

相談の結果、緊急性が高いと判断されれば、
救急車の要請につながる場合もあります。

つまり、
#7119は「救急車を呼ばないための番号」ではありません。

「自分では判断できない」という人が、
医師・看護師・相談員などに相談するための選択肢です。

ただし、#7119は全国どこでも同じように利用できるわけではありません。

対応地域や利用方法を、普段から確認しておくと安心です。
(また、小児の場合は、#8000などの電話相談もあります)


② 全国版救急受診アプリ「Q助」

Q助は、症状や年齢などを入力して、
救急車を呼ぶべきか、医療機関を受診すべきか等の判断を支援するアプリです。

電話で相談したいときは#7119、
自分で判断の材料を得たいときはQ助、
というように、それぞれの特徴に応じて活用できます。



救急車を呼んだら、何を伝えればいい?

救急車を呼ぶかどうかだけではなく、
「救急車を呼んだとき、必要な情報を伝えられるか」
も大切です。
特に持病のある人がいる家庭では、
どんな病気があり、どんな薬を飲んでいるのかを、本人だけでなく家族も必要な範囲で共有しておくと安心です。

そのうえで、

・いつもと何が違うのか
・お薬手帳はどこにあるか
・かかりつけの医療機関はどこか

すべてを完璧に覚えておく必要はありません。

「その人の普段の状態を知っておく」

それだけでも、大切な備えになります。

また、2025年10月から「マイナ救急」が全国で実施されています。
健康保険証利用登録済みのマイナンバーカード(マイナ保険証) を活用し、
本人の同意を得たうえで、救急隊が診療情報や薬剤情報などを確認できる取り組みです。

救急隊が医療情報を確認することで、
搬送先の医療機関の選定や処置などに活用されます。
いざというときに備えて、
マイナ保険証を持ち歩くことも、できる備えの一つです。



「そもそも、救急車の『有料化』って何?」

すでに有料化を実施している、茨城県の例を参考に説明します。

【有料化】というのは、救急車そのものの利用料金ではなく、
「選定療養費」を徴収する取り組みです。

「選定療養費」= 今回の取り組みでは、
紹介状なしで大病院を受診した場合などにかかる「特別料金」の仕組みを活用しています。

さらに茨城県では、
「実施から1年間で、救急搬送件数や軽症等の搬送件数は減少し、
救急車の適正利用などに一定の効果があった」
としています。
(救急搬送件数 4.2%減、 軽症等の搬送件数 14.3%減)  

ここで問題になるのが

『有料になったら、本当に必要な人まで救急車を呼ばなくなるのでは?』

ということですが、今回例に挙げた茨城県では、
#7119 (おとな)・#8000(子ども)などの電話相談で「救急要請してください」と判断された場合は、
原則として徴収されません。

では、何を基準に徴収の対象となるのでしょうか。

病院到着後の診断結果(軽症か重症か)ではなく、
「119番通報(要請)をした時点」での緊急性で判断されます。  

先ほど紹介したように、
命に関わる可能性がある症状では、
ためらわず119番することが大切です。



「救急車の有料化」に私たちはどう向き合えばいい?

救急車の有料化には、さまざまな意見があります。

医療現場からは、
「本当に必要な人に救急車を届けたい」
という思いがあります。

一方で市民からは、
「お金がかかるなら、本当に必要なときにも呼ぶのをためらってしまうかもしれない」
という不安があります。

さらに、
「お金を払えば、救急車を自由に利用できるということなの?」
という誤解につながる可能性もあります。

どれも、無視してはいけない問題です。

だから私は、
「有料化に賛成か、反対か」
ではなく、

どうすれば、本当に救急車を必要としている人が、
必要なときにためらわず救急医療につながれるのか————

そこを考えることが大切なのではないかと思います。



救急車を「大切に使う」は、我慢することじゃない

救急車を 適正に 利用する。

そう聞くと、
「なるべく呼ばないようにしなきゃ」
と思ってしまうかもしれません。

でも、そうではありません。

・本当に必要なときには、ためらわず119番。

・迷ったときには、#7119(#8000)やQ助などを活用する。

・普段から、持病や服薬、お薬手帳、かかりつけ医などを確認しておく。

そして、救急車でなくても受診できる状況なら、
かかりつけ医や近隣の医療機関など、
別の選択肢を考える。

一人ひとりがこうした選択肢を知っておくことが、

「必要な人に、必要な医療を届ける」
ことにつながるのではないでしょうか。

そのために、私たちは、知っておく。

「呼ぶべきか迷ったとき、どうすればいいのか」
を知っておく。

それが、「救急車を大切に使う」ということなのだと思います。



参考文献

公的資料

  • 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」

  • 総務省消防庁「全国版救急受診アプリ『Q助』」

  • 総務省消防庁「あなたの命を守る『マイナ救急』」

  • 政府広報オンライン「もしものときの救急車の利用法 どんな場合に、どう呼べばいい?」

  • 茨城県「救急搬送における選定療養費の徴収について」

  • 茨城県「徴収開始から1年間の検証結果」



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