まだ慣れない|普通の人生に憧れていた
波瀾万丈だね。
そう言われることがある。
たしかに、
そうなのかもしれない。
普通ではなかった。
母とのこと。
恋愛のこと。
婚活のこと。
看取りのこと。
人に話すと、
少し驚かれるようなことが
いくつもある。
それを私は、
頑張った証のように抱えてきた。
全部、経験だった。
全部、今の私を作ったものだった。
そう思ってきた。
でも時々、
ふと思う。
これは本当に、
必要な遠回りだったんだろうか。
しなくてもいい苦労だったんじゃないか。
乗り越えたから意味がある。
そう言えば綺麗に聞こえる。
でも本当は、
乗り越えなくてよかったことも
あったんじゃないかと思う。
私は別に、
特別になりたかったわけじゃない。
変わった人生が欲しかったわけでもない。
人に驚かれるような話を、
たくさん持ちたかったわけでもない。
普通がよかった。
朝起きて。
仕事に行って。
誰かと暮らして。
子どもの話をして。
家のことを考えて。
週末に買い物へ行く。
そんな当たり前の暮らしに、
憧れていた。
大きな幸せじゃなくてよかった。
誰かに羨ましがられる人生じゃなくてよかった。
ただ、
普通でいたかった。
もし私が、
そういう暮らしを手に入れていたら。
私はどんな人間になっていただろう。
もっと穏やかだっただろうか。
もっと疑わずに、
人を信じられただろうか。
もっと簡単に、
幸せを受け取れただろうか。
分からない。
今の私だから書けることがある。
今の私だから見えるものがある。
それも本当だ。
でもそれとは別に、
普通の人生を歩いてみたかった私もいる。
特別な経験なんて、
いらなかった。
頑張った証なんて、
欲しくなかった。
ただ普通に、
幸せになってみたかった。

普通の人生が欲しかった。
そして今、
たぶん私は、それを手に入れている。
それなのに、
まだ少し、うまく暮らせない。
▶︎「まだ慣れない|私はまだ、幸せに慣れない」
▶︎ここまでのことは、たぶん全部、今の私に繋がっている。
『全部、繋がっている。』
