触れられなかったものたち|第一篇 純文学みたいな顔して、私はずっと欲しかった──3人の男を同時に愛した2番目の女
プロローグ
私はいつもニ番目だった。
それでも彼らは、
埋めきれない私の心の溝を満たそうと、
欲しがる私に応じてくれた。
第一章: 熟睡できる腕
いつも私から連絡をしていた。
忙しくても必ず都合をつけてくれる。
でも日曜は、本命の日だった。
クラブの帰り。
音楽の余韻が体に残ったまま、
アルコールと熱気が混ざって、
私はいつもより少しだけ、
自分じゃない感じがした。
そういう夜に限って、
ホテルに寄った。
彼はとても優しかった。
まるで、
私が一番みたいだった。
その優しさに包まれて、
この人の腕の中だけは熟睡できた。
楽しければそれでよかった。
日曜の人のことなんて、
その夜だけは、どうでもよかった。
ただ私が満たされればよかった。
第二章: 鳴らないスマホ
2人目は、彼の方がいつも欲しがった。
いつ来るかもわからない連絡を待ちながら、
トイレにも、お風呂にも、
スマホを手放せなかった。
通知が鳴るたびにドキッとして、
違うと知ったとき、
静かに落胆した。
それでも待った。
彼のそれは少し強引で、情熱的だった。
雑に扱われるほど、
心は穏やかだった。
いかにも二番目の女だった。
それなのに、興奮した。
ちゃんとわかってた。
この感覚が心地よかった。
第三章: 車道側の男
3人目の彼は、普通の人だった。
毎日LINEをくれた。
私の中で、それは彼氏の類だった。
車道側をさりげなく変わってくれたり、
手を繋いでくれたり。
でも、二人きりになっても、
彼は少し静かだった。
してもしなくてもいい。
そんな感じだった。
その温度差に、
私はほだされた。
それでも彼は、
一番心を満たしてくれる人だった。
エピローグ
それでも私は、変わらず二番目だった。
私の心の溝はどこまでも深い。
三人の男たちは私を満たしてくれる。
でも、届かない。
私の愛の前提は、狂いかけてるのだろうか。
今日も連絡を待ちわびて、
土曜はクラブへ行く約束をする。
平日は平凡な彼と過ごす。
なのに私は、
今日も誰かを待っている。
▶ 全話マガジン
▶ この話の深層
「お前はダメだ」と言われて育った私が「選ばれる私」を教えてる話
