📖【感想企画#2-4】言葉が通じなかった二人が、二人だけの言葉を持つまで|のぶさん『日本人が好きと言ったのに』
読ませていただいた作品から、
私が受け取ったものを、
今回も言葉にしてみます。
読ませていただいたのは、
のぶさんの、
『日本人が好きと言ったのに』です。
海外で出会った二人。
何気なく交わした一言から始まった関係は、
国と言葉を越えて、少しずつ人生を変えていきます。
のぶさんが選んだのは、
①「読者目線」。
作品を読みながら、
私がどこで立ち止まり、
何を感じたのか。
そのまま書いてみようと思います。
最初に引っかかったのは、「Japanese」って答える場面。
深い意味なんてなかった、って本人が繰り返し書いてるところ。
私、ここでちょっと笑っちゃったんです。
冗談のつもりだった言葉が、相手にとっては全然冗談じゃなかった、っていう温度差。
恋愛って、こういうズレから始まることが多い気がする。
狙って始まる恋より、ズレて始まる恋の方が、なんか信用できる。
その前の、デジカメで京都の写真を見せる場面も好きでした。
「This… Kyoto」「Beautiful!」。
会話になってない会話。
言葉が通じないから写真を見せるしかなくて、でもそれで十分だった、っていう。
絵はがきと辞書片手の電話も、たぶん同じ。
この作品、ちゃんと話せてる場面より、
話せてない場面の方が愛情の密度が高い気がします。
国際恋愛ってもっと言葉でどうにかする話だと思ってたので、ここは意外でした。
あと、TOEICが450点から700点になったくだり。
「私の方が成長してるじゃん」で二人が笑うところ、好きですね。
愛情表現として「言葉を覚える」を選んでるのが、静かでいいなと思います。
派手な告白より、こっちの方が長く続く恋の形だと思う。
マイケルの日本語が「まだまだ」のままなのも、なんかリアルでよかった。
恋愛小説だと大体どっちも成長させちゃう気がするので。
一番心が動いたのは、正直プロポーズの場面じゃなくて、その後の富士山のくだりでした。
大雪で何も見えなかったはずなのに、
最後にあの一文が来る。
「私には、あの日からずっと見えている景色がある」って。
ずるいな、と思いました笑
見えなかったものをそのままにしないで、
ちゃんと別の景色として拾ってる。
最後の「また雨だね」「僕が来ると天気が悪いね」のやりとりも、地味に効いてました。
天気の悪さを、そのまま二人だけの軽口にできるくらいの距離感。
ここまで読んできたから、この軽さがちゃんと重みを持って読める。
プロポーズの日の大雪と、最後の雨が、ちゃんと呼応してるのも良かったです。
読み終わって残ったのは、感動というより、
「そうそう、大体の人生ってこうやって、
後から辻褄が合っていく」っていう感覚でした。
狙って掴んだ幸せじゃなくて、後になって「あの時のあれが伏線だった」って気づくタイプの幸せ。
今回も素敵な作品を読ませていただき、
ありがとうございました。
作者さんも、読んでくださった皆さんも、
もし感じたことがあればコメントで教えていただけると嬉しいです。
📖 今回読ませていただいた作品はこちら
📚 感想企画一覧はこちら
