夫の正体|彼の心の蓋が、少し開いた気がする
夫は、大して話さないくせに、
家の中で歌は歌う。
割と大きめな声で。
しかも私の好きなアーティストの曲を
勝手にアレンジしたりして、
私をイラつかせる。
歌ってる暇があったら、喋ろ。
今日はどうだった?は封印。
私は、今日はいいことあった?
嫌なことあった?
代わりにそう聞くことにしている。
最初は話さないが、
思い出すとスラスラ出てくる。
事実に基づくことは、
全く抵抗なく話せる。
私は前のめりで話を聞く。
何だ、おもしろい話持ってるじゃん。
心の中でガッツポーズ。
私だって、
こいつ何もできないなって、
思われているかもしれない。
お互いさまだと思ってる。
それでも彼は我慢強く
私に歩幅を合わせてくれる。
気持ちに蓋をして生きてきた彼。
歌うことだって、吐き出すことだ。
事実しか言えなくても、
それでも話すことが増えた。
夫婦の日々を重ねていくごとに、
彼の心の蓋に、隙間が開いた気がする。
今夜も、
一緒にドラマを見る約束なのに、
隣でスマホばかり見ている。
でも出会った頃と、
隣の温もりは変わらない。
それだけでいい。
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