呼吸のあいだ|暑い夜
「夫の正体」から、少しだけ視線をずらして。
夫ではなく、
ふたりのあいだにあるものを書く。
エアコンのリモコンが、テーブルの真ん中に置いてある。
夫がそれを見て、また戻す。
「つけないの」と聞いたら、「まだ大丈夫」と言った。
さっき、電気代の通知が来ていたのを、たぶん見た。
私も見た。何も言わなかった。
結婚したばかりの頃は、暑いと言えばすぐつけていた気がする。
つけて、ちょっと寒いね、と言い合って、また消して。
そんなやり取りを、何回もした。
いつからか、それをしなくなった。
しなくなったというより、しない方を選ぶようになった。
汗が首の後ろを伝った。
夫は、うちわを扇ぎながらテレビを見ている。

夫という人を、妻の側から見つめてきた話。
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