小説「踊る吠え声」を書いて
noteがあってよかった。
今回自分の書きたいテーマが見つかった時、そう思いました。
「あなたは社会をどう見ているのか」と問われた気がした、2024年の創作大賞の中間選考結果発表のあの日から、ようやく自分なりのアンサーを小説にできた気がします。
今作を書こうと思ったきっかけの一つは、2026年5月に報道された「動物愛護団体代表と名乗る人物が犬・猫39頭を自宅の劣悪な環境で飼育し、その他に少なくとも30頭以上の死骸が放置されていた」という記事を目にしたことです。
(現在web上で確認できる記事は、「FNNプライムオンライン」2025年5月25日掲載、https://www.fnn.jp/articles/-/1049315 参照。)
確か「住民から通報があったのは2025年12月だった」と記憶していますが(新聞のソースについては、後ほど確認します。)、それはつまり、警察が通報から逮捕に踏み切るまでに少なくとも半年近い時間がかかったということ。
「なぜそんなに長い時間が必要だったのか?」と、私は率直な疑問を持ちました。
疑問をもう少し具体的に言うと、次のとおりです。(飛ばしても構いません。)
①住民からの警察への通報は半年前だとして、行政への相談はいつからされていたのか?
②家の中の様子が外から分からなかったとしても、かなりの吠え声や異臭等、外部からも酷い状態だったと推測できたのではないか。行政は、虐待を未然に防ぐ役割のある動物愛護管理法25条を基に「勧告」や「命令」を行い、警察とは連携していたけれど、様子見を含めて手続きに時間をとったため半年という期間を要したのか。
③②でない場合、具体的な証拠(写真や動画等)が半年間なかったが、ようやく決定的な証拠を掴めたから、動物に対する虐待・遺棄等の行為についての罰則(刑事罰)規定である動物愛護管理法44条で警察が動き、逮捕に至ったのか。
まとめると、
「半年の間、行政や警察ではどんな判断がされて、どんな動きをしていたのだろうか。この状態で半年かかるのは長いと感じるのだけど、どんな問題や弊害があったのだろう?」
ということに「?」を感じたのです。
ひとつ前置きをして置くと、この記事も小説も「誰が良くて、誰が悪い」を言いたいのではなく、あくまでも注目したいのは「法律や制度上の問題・弊害がどこに生じているのか」について。
警察や行政の内部事情ついてはすぐに分からないので、今回は対象を「犬の吠え声についての騒音」に絞り、「そういった悩みに『個人』が遭遇した時にどうされてきたのか」というところから少し探ってみることにしました。
インターネットで検索してみると、情報の多くが防音壁や防音カーテン、イヤホン等の自分でとった防音対策についての口コミであり、あとは吠え声に悩む人が相談サイトで「どうしたらいいか分からない」、「役所に相談したけれど苦情が来ていることを伝えるしかできないと言われました」等、悩みの入口段階で書き込みをしているものをいくつか見かけました。
その他には、相手方との交渉や調停・民事裁判について書かれた弁護士事務所のHP、引っ越しも選択の一つとする不動産会社のHP、防音製品や二重窓工事などを提案するメーカーや工務店のHPなど、悩みを抱える個人に向けた情報もありました。
あくまでも私の調査の範囲ですが、「犬の吠え声」という個人の悩みについては、
★ひとまず自治体の相談窓口、または警察の相談窓口を一人で調べることはできるけれども、相談したその先のことはよく分からない。
★その他、民事で可能なこと、個人で騒音対策として取り得る選択肢、それらの情報がインターネット上には並んでいる。
というのが現状のようです。
(※過去の新聞や週刊誌は十分に調べられていないので、調査が漏れている可能性はあります。)
AIに相談すると、もしかすると「○日分の記録を取り、区役所へ提出して行政指導をお願いしてください」とか、「~法△条を基に…をしてくださいと、市の□□に強く訴えてください」とか、埒が明かなくなった場合の様々なアドバイスが受けられる可能性もあると思うのですが、おそらくそれがスムーズにいかないから、相談入口の段階で立ち止まっている方がいたり、自分自身で防音対策をして何とか妥協するしかないということになっているのではないかな、と私は想像しました。
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話を小説に戻すと、
このような個人の悩みの視点から派生して、「じゃあ、実際にどんな決まりになっていて、どういう説明がされているのか」を知るために環境省の資料や関連する法律、またそれについての記事やブログなどを探してみるわけなのですが、
その中で何度も遭遇した言葉、それが今作でも登場する次のキーワードなのです。
★動物に対する「所有権」
★動物虐待を未然に防ぐ役割のある「動物愛護管理法25条」
今作では、(法や制度の弊害というには大げさかもしれませんが)上の二つの法や権利に意識を置きながら「犬の吠え声が騒音としてどう扱われるているか」や「警察や行政の騒音問題への介入の難しさ」について、千砂の視点からフィクションの物語として私なりに描いてみました。
動物に対する「所有権」を理由に「介入できない」となぜか様々な場面で説明される違和感(Ⅱ章)や、「動物愛護管理法25条」の中々使われづらい現状(Ⅲ章)について、千砂やミリに悶えながら考えてもらっています。
それにしても、法律の条文って、ぱっと読んでもよく分からないし、似たような言葉が繰り返されていて呪文みたいですよね。
今作では、そんな条文や制度を少しでも分かりやすく……、と思いながら執筆していたのですが、いかがでしたでしょうか。
ここが分かりづらかったとか、ここは間違っているよとか、そう言ったご意見もお待ちしております。
□
さて、すでに小説をお読みの方はご存じかと思いますが、この物語は「とある出来事」をきっかけに犬の吠え声とともに徐々にドツボにはまっていく千砂の目線で物語が展開し、彼女が様々な壁にぶつかった時に「法や制度のどこに弊害があったのか」については、最後まで明らかにされていません。
(ちなみに、冒頭のニュースの私の疑問についても、これまでの報道などでは答えを知ることができていません。)
けれど、どこかに存在するかもしれない千砂をとりまく小さな社会の物語から、
───────
人の葛藤が生まれる場所には、法や制度が壁となっていることがある。そこには、例えば、どんな問題が生じているのだろう。
───────
と、そんな疑問にわずかにでもスポットライトを当てることができていたら。
私の描きたいことの10%くらいは書けた……のかな、なんて思っています。
(現段階では、細かい説明は伏せますね。)
今作は、あくまでも「犬の吠え声に悩まされている側」のお話。
多頭飼育崩壊(または、それに近い状態)から生じる問題として考えるべき事は多く残されたままです。
保護犬達の実情や飼い主の多頭飼育崩壊に至る経緯、セルフネグレクトなど福祉の方向から知っていかなければならないこと。
警察や行政の担当人員不足や、保護したとしても多数の犬達を引き取る場所がないから放置されても仕方がない、という説明ではないところから、千砂の隣人を考えてみる必要があるのかもしれません。
その意味では、この物語はまだ終わっていないといえますし、もしかすると、千砂には異なる結末が待っている可能性があるのかもしれません。
実は、小説には「創作大賞2026」のタグもつけさせていただきました。
決して何かを解決するものでも、誰かに希望を与える物語でもないけれど、壁の前で打ちひしがれている方に「一人ではないよ」、と。
これまで「この先がわからない」とされていたけれど、ほんの少しだけ先にはこんな問題があるかもしれないよ、と。
noteだからこそ、必要な誰かに届くと信じています。
□
最後に。
ひっそり投稿した小説「踊る吠え声」を見つけてくださった方、勇気を出して読み始めてくださった方、果敢にもラストシーンまで挑み駆け抜けてくださった方、この小説に触れてくださったお一人お一人に心から感謝いたします。
読後に楽しい気持ちにはなれなかったかもしれないのに感想を届けてくれた方もいらして、時間を見つけてはひたすらパソコンと向き合った5日間が報われたような気持ちになりました。本当にありがとうございます。
まだ暫くは、今優先すべきこと、今大切にしたい子のことを考えながら、日々の生活をコツコツと生きていきます。
ふらりとnoteに顔を出した時は、また挨拶など交わしていただけましたら幸いです。
時々、連続でスキを押して怖がられていないかな、とか、スキ返しの圧力みたいになっていないかな、とか心配でしょうがないのですが、小説や記事がいいなと思ったから、スキだから……、どうかその♡を押させてください🙇♀️
(ご迷惑にならない範囲を考えながら行動します。)
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
最近のお気に入りアニメは「霧尾ファンクラブ」
みなとせ はる
※そうそう大事なことを伝え忘れていました!
筆者は法律家ではありません。小説はフィクションです。
法令や制度については、改正を含め随時確認するようお願い申し上げます。
相談の記録(足跡)を残すこと、情報を積み重ねていくことは大事なステップだと、個人的にはそう考えています。
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