「ウイルスが変えた世界の構造」(副島隆彦 佐藤優)を読む。
さて、これは2021年出版で、ふたりの6冊目の対談本だそうだ。
この書物の主題は、書名を見ると「新型コロナウイルス」だが、隠された主題は「宗教」とりわけ、キリスト教のユニテリアンである。 「ユニテリアン」とは何か。三位一体を否定し、イエスの神性を否定するキリスト教なのだそうだ。イエスは偉大な人で師であるが、真の神とは考えない。ある種の理神論であり、その結果ユダヤ教徒やイスラム教教徒、さらには無神論者や科学者と対立することがなくなる。ヨーロッパには少なくアメリカに多く、アメリカ建国の父( Founding Fathers)と呼ばれるワシントンもジェファーソンもフランクリンもユニテリアンである。
「ユニテリアン」はひとつの宗派というよりは宗派横断的に存在し、ユニテリアン的思考は実証性と親和性が高いため、科学や哲学、歴史学に進化論といった近代的な世界観とも調和する。つまりそれら近代的思惟と調和した信仰を維持できるということだ。人定主義(ポジティヴィズム)や人間主義(ヒューマニズム)と神への信仰が矛盾しないので力が強い。ユニテリアンは「自然科学は人間と神が交流する最も重要な手段である」と考える。
「暴走する国家 恐慌化する世界」へのコメントで「宗教というのはすべて奇想天外で荒唐無稽で非科学的だ。ナザレで処女から生まれたイエスが世界の救い主で死後復活したと信仰しているわけだ」と書いたが、これがまさにユニテリアンの思想だ。だからおれもユニテリアンだ。「科学と技術が進歩し、人間が進化し神に近づく」という思想だから、近代人はみなユニテリアンだという言い方もできる。
さて、ユニテリアン以外についても少し。
① 副島隆彦はこの時点ですでに「旧統一教会(Moonie)」について警告している。「日本の政治も官僚組織もムーニーに汚染されている。」「安倍前首相は明らかに世界反共勢力(勝共連合)の一員です。」ホントかウソか知らないが、ジャパン・ハンドラーであるディープ・ステートやネオコンの中にもムーニーは多数食い込んでいるのだそうだ。旧統一教会の力の源泉が何なのかよくわからないが、日本の政治権力に深く食い込んでいることは今回暴露された。
② 新型コロナによるパンデミックで露呈したことは国家の強化であるが、それはひとつには国家連合体であるEUの弱体化という形をとった。イタリアが医療崩壊を起こしたときに他のEU諸国は助けなかった。感染者の受け入れもマスクの供給も行なわなかった
③ 国家機能の強化は国内では行政権力の強化という形をとった。国民の行動制限を(同調圧力という形態を含めて)行政が行ないえた。「外交・安全保障」では国家権力に逆らう「リベラル」も、「医学・科学」の衣装を纏えば簡単に権力統治に身を任せた。「国民はみんないうことを聞いていい子ですね。自主的に自粛したよゐこにはご褒美に給付金をあげますよ」といったら、「リベラルの闘士たち」も簡単に転がったわけだ。
④ 「信用創造(マネー・クリエイション)」ができるのは銀行だけだ。これがケインズが「有効需要の原理」として明らかにしたことだ。残念ながら国家には「マネー・プリンティング」はできても「マネー・クリエイション」はできない。しかしながら、アメリカもEUもそして日本も、現在の政府と中央銀行は国家に信用創造ができると勘違いしている。
