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【読書感想】一人の女性の半生に没入する読書体験。「左岸」上・下巻

こんにちは。ドイツのミュンヘン在住miraです。
お越しいただきありがとうございます♪

昨年末に一人旅で訪れたウィーンで、没頭して読んだ江国香織さんの『左岸』。文庫本でも上下巻に分かれており、それぞれ500ページほど、合わせると実に1007ページに及ぶ超長編作品です。

対岸を歩み続ける二人の壮大な愛の物語。

人生が一本の河だとしたら、あたしたちはどこに流れ着くのだろう――。早熟で気難しい兄の惣一郎。そして幼馴染みの九に護られていた少女時代。だが、それはある日突然、終わりを告げた…。

内容紹介より

主人公・茉莉の幼少期から中年期に至るまで、紆余曲折の人生を丁寧に描いた物語で、読み進めるほどに彼女の人生に深く没入していきます。

正直に言うと、私は茉莉とあまり共通点のある人間ではないと思います。
そのため共感できない部分も多々ありました。
それでもなお、彼女が愛を求めながら生き抜いていく姿には、何度も感情を揺さぶられました。

茉莉がまだ子どもの時に亡くなってしまった最愛の兄、惣一郎との別れから始まり、彼女の人生には幾度となく家族との死別が訪れます。

この作品を読んでいると、人生とはまさに出会いと別れの繰り返しなのだと強く感じました。
人生は自分だけのものであり、生まれてから死ぬまで、人は結局「独り」なのかもしれない。
一本の線のように続く自分の人生。その線の上を歩いているのは自分ただ独り。
でもそこに、他者との出会いという「点」が連なっていく。
長くて線のように見える点、はたまた本当に一瞬だけ付いたものでよく見ないと分からないような点。
そうした無数の点が付いていくことで、人生という一本の線が形作られていく。
独りで歩く人生には、いろんな形の点という「繋がり」ができることが必須なのだ、ということを考えました。

また、茉莉は福岡、東京、パリ、と住む場所を時々変えているのですが、街の描写も印象的でした。
長い年月を経て変わっていく場所と、何年経っても変わらない場所。
人生の舞台となる街の「変化」と「不変」が線を彩っていく、そんなイメージが頭に浮かんできました。

茉莉は、生涯を通して愛情なしには生きられない女性です。
「そこまで?」と驚いてしまう場面もありましたが、それでも彼女の周りには常に誰かがいて、気にかけてくれる仲間が集まっている。
その点は、少し羨ましくも感じました。

この壮大な人生ドラマを、ウィーンの空気の中で読めたことは、本当に贅沢な読書体験でした。
(パリで読んでいたらもっと最高だったかも?)
私は単なる旅行でしたが、「生活する街を変える」という物語の要素と、自分がいつもと違う街で読書している状況が重なり、物語への没入感が一層高まったように思います。

なお、本作は辻仁成さんの『右岸』と対になっているそうです。
そちらは茉莉の幼馴染・九の人生を描いた物語。
『左岸』だけでは九の行動には謎が多かったため、ぜひこちらもまとまった読書時間が取れる時に一気に読みたいなぁと思います。
茉莉と九は、まさにタイトルのように河の右岸と左岸でそれぞれの人生を歩んでいきました。
1つの河を挟んだ近すぎず遠すぎない距離感が、幼馴染の2人の関係性をよく表していると思います。

じっくり時間をかけて壮大な人生の物語を味わいたい人。
「人生とは何か」と哲学的に考えるのが好きな人。
そして何より、江國香織さんの美しい文章にたっぷり浸りたい人に、強くおすすめしたい一冊です。
気になった方はぜひ一度お手に取ってみて下さい。

最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう♪Tschüss!


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こちら名作なのでご存じだとは思いますが、辻仁成さんの作品と対になる江國香織さんの小説。

ウィーン旅行記はこちら。

この文庫本はこの時ゲットしたものです。



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