『生成(きなり)』という色に、僕が託そうとした願い
親から子どもへ贈る、最初のプレゼント。
それは「名前」だと思います。
一生ともに歩んでいくものだからこそ、どれだけ時間をかけても足りないくらいでした。
長女のときも相当悩み抜きましたが、息子の名前に向き合った時間も同じです。
そうして最終的に絞り込んだ、5つほどの候補。
その中に、最後まで心に残っていた名前がありました。
『生成(きなり)』です。
きっかけは、ひとつの「色」でした。
生成りとは、漂白や染色をする前の、素材そのものの色。
完全に整えられた真っ白ではないけれど、どこか優しく、心地よい温かみを持った色です。
この名前に込めたかったのは、とてもシンプルな願いでした。
「飾らない、ありのままで生きてほしい」
欠点のない完璧を目指す必要も、無理に誰かの色に染まる必要もない。
素のままのあなたで、あなたらしく自分の人生を重ねていってほしい。
そんな想いを「生成」という色に託そうとしていたのです。
けれど最終的に選んだのは、別の名前でした。
生まれてきた息子の顔を見たとき、「この名前だ」としっくりくるものがあったからです。
けれど、ふと「生成り」という言葉や色に触れるたび、あのときの感覚がよみがえります。
まだ見ぬ息子の未来を想い、どんな人生を歩んでほしいかと本気で悩んでいた、あの愛おしい時間です。
名前として贈ることはなかったけれど、あの日「きなり」という色に託した願いは、今も変わらず僕の中で生き続けています。
