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2026年8月13日 母さんへ

本日夕方、作業をしながら思う。

世間は帰省の休日に、結局パソコンに向かっている私よ。

昨日、母の部屋に行った。

会いたいと思った。

子どもの時のように、自転車走らせて。

そしたら、途中で雨が降ってさ。

それから、虹が出た。

部屋に飛び込んで、

「お母さん、虹だよ」

見せても、母は目が悪くてよく見えない。

ヘルパーさんに笑われた。

しばらくすると、また虹が出た。

「お母さん、また虹出たよ!」

今度は、ベランダ越しに二人で見た。

お母さん。

二人で虹を見たのは、初めてだね。

Uberでピザを頼む。

待っている間に、母の昔話を聞き、

私も話した。

小学生、中学生だったころ、たくさん母と話したように。

母の黄金時代は、

学校の先生に説得されて

親がしぶしぶ出してくれた女子高校時代だ。

自由。

そして、現実にぶつかり、

東京に出てきた。

母は言う。

「東京は、言葉も違った」

住めるところもなかった。

今なら、その大変さが少しわかる。

18の少女はもう田舎に帰れない。

そのままいたら、農家の嫁だ。

それは、きれいごとでは済まされない、

危機だ。

子どものころも

母からたくさんの嘆きを聞いてきた。

でも、その苦労までわからない私は、母の保身を批判した。

おかげさまで、年を重ねて

私もずいぶんボコボコです。

だから、少しわかるようになったよ。

お母さん。

今、私は、ある人から見たら憧れるような仕事をしているらしいよ。

私の笑顔は拡散されて、チラシになって、いろんなところで配られている。

同窓会に行けば、

「すごいね」

と言われて、なぜか乾杯の音頭をとる係をしたよ。

でもね。

そんな私じゃ、ちっともない。

言えないことばかりだ。

お盆もこうやって地味な作業をしているよ。

IT土方なんて言葉もあるけれど。

私の仕事だって、

感情労働やら何労働やら、

よくわからないものを積み重ねてるよ。

ナニコレ。

お母さん。

私を大学に出すために、働いてくれたねえ。

自分は高卒で、田舎者で、学もない。

お母さんは、自分のことをそう言う。

でも、何の疑いもなく身体を使った。

皿を洗った。

パンを切った。

掃除をした。

腰は曲がった。

指の節は太くなった。

住宅ローン。

私の大学の学費。

お母さんは淡々と、ときどき怒りながら、

ぼろの服を着たまま、私を送り出してくれた。

今の私くらいの年齢に、

お母さんは、私を送り出すために

留袖を着ていた。

旅立つ前の夜は、寝ないで朝まで

話したね。お母さんの子どものころの話を聞いたね。

覚えているかなあ。

お母さん、

いろいろあったよねえ。

私は、お母さんの子どもです。

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