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カブで北海道横断、札幌から網走まで約500kmを走破した日の話。

※実験中です。(常体、段落、改行、画像)
気になることがあったらコメントください。

2026年、5月某日。
北海道を旅した中でも、個人的にかなり好きな1日。

◾️朝サウナ、緊張のロンツー出発。

 9泊10日の旅も、いつの間にか中盤に差し掛かっていた。本日の目覚めは札幌すすきのニコーリフレ。例の如く朝っ風呂。1日の始まりがサウナ、これ以上の幸せはない。

 この日の行程は大移動である。北海道を突っ切ってオホーツク海、網走まで行く予定だ。目指すところは地図でいう右上だが、まずは東、帯広に向かう。

 この日の前半は、ほぼ走りっぱなしだった。写真を撮る暇がなかったというのは、うれしい悲鳴かもしれない。綺麗な景色が多かったが、私の網膜だけに鮮明に記憶されている。伝えきれず申し訳ない。

 出発前、駐輪場に日本一周中ステッカーを貼ったカブが置いてあった。どんな人が乗っているんだろうか、どんな旅だろうかと、思いを馳せつつ出発。

 函館⇒札幌間を超える距離に少し緊張していた。北海道といえど、市街地はかなりの都会だ。交通量も多く、安全運転を心がけて東へ向かう。

 これから向かう帯広といえば、そう、「豚丼」である。通り道といえば通り道とも言えなくはないのだが、豚丼を食べたかったが故の、ただの寄り道だ。経路は、日勝峠を通る山越えルートを選んだ。この日の天気は晴れ、とても気持ちの良い気候だった。(札幌は。) これから大自然を堪能できると思うと、アクセルをひねる手も軽やかだった。

◾️「THE北海道」。

 北広島市を越えたあたりから、徐々に景色が変わってきた。果てしない大空、広い大地、そしてまっすぐと水平線までどこまでも伸びる道。これでこそ「THE 北海道」だ。写真も撮りたかったが、走り続ける快感に負けてしまった。このころには緊張も和らぎ、雄大な北海道の大地を満喫できていた。気持ちが良い、どこまで行っても気持ちの良い道だ。交通量はそこまで多くなく、見通しの良い道が続いていた。

 この旅は、カブで北海道を走りたい気持ちが起点となっている。目的地に「辿り着く」こと自体が目的のようなものだ。これが北海道ツーリングの醍醐味ってやつなのかもしれない。この醍醐味を心から満喫できるのは、この旅であと何度訪れるのだろうか。程なくして、周りを木々に囲まれた山道に差し掛かった。

 この辺りの道から片側一車線になっていた。前後に車もそこそこいたため、ゆっくりとことこ走っていた記憶がある。Myカブはあまり馬力がなく、上り坂にはめっぽう弱い。周りの車両の迷惑にならないよう、必死に峠を越えていた。

 そんなとき、遠くの道脇に見える茶色いシルエット。ご安心を、熊より色が薄く、そして細めの4足歩行の動物。北海道で初の野生動物、エゾシカと出会った。角はなかった。おそらくメスかと思われる。できることならMyカブを停車して写真を撮りたかったが、車の流れもあり断念。思わぬ歓迎を受け、とても楽しい気分で峠を下っていた。

 本日、ようやく初撮影、道はまだまだまっすぐだった。道中ガソリンを入れ、軽い休憩をはさみ、走ること数時間。昼過ぎ頃、ようやく帯広にたどり着いた。目当ての豚丼屋は、もうすぐそこだった。

◾️帯広の豚丼、到着。

 「ぶた丼のとん田」。峠を越えて、豚丼食べにきた。ちょうどお昼どきだったため、混んでいないか心配だったが、順番を待ってすぐ、カウンター席に案内してもらうことができた。目当ての豚丼を注文し、待つこと数分。

 写真を見てわかる通り、食べる前から既においしかった。豚肉増量。これは好判断だった。好みもあると思うが、本当においしかった。何枚も重なる豚肉と美味しいタレに絡んだご飯に舌鼓を打ちつつ、気づけばぺろりと平らげていた。北海道に移住することがあれば、私の体型が今以上に大きくなることは間違いないだろう。

◾️出発、気づかなかったふたつのミス。

 腹ごしらえも済み、いざ網走方面へ出発。程良い満腹感で満足していたこのとき私は、大きくふたつのミスを犯していたことに気づいていなかった。

 ひとつめ、これは結果論で、明確にミスとは言えないかもしれないが、この先の目的地は網走手前、摩周湖のすぐ近く「神の子池」としていた。経路は大きく分けて二つ。帯広から北へ向かい山中を抜けていくルートと、太平洋側の海沿いを経て釧路から北へ抜けるルートである。ここまで私は、日勝峠を抜ける山道を走ってきた。その反動か、海を見たいなと思ってしまったのだ。この先オホーツク海沿いも日本海沿いも散々走るというのにも関わらず。私は、釧路経由ルートを選択してしまった。

 そしてふたつめ、お店の写真からも見てわかる通り、帯広は大変天気が良かった。この先に気温計があったのだが、そこでは27℃と表記されていた。

 札幌からの経路では革ジャンの下にウィンドブレーカーを着ていた。暑かったのだ。帯広からの出発の際は、ウィンブレを脱いで出発してしまっていた。

 このふたつの選択が凶と出るか、大凶と出るか、そんなことは考えもせず、食欲を存分に満たした私は、釧路方面へと出発した。

◾️訪れた試練、驚愕の温度差。

 道中27℃の表示を見て、そりゃ暑いよなーなんて、ぼやいていたのは一瞬のことのように思う。海に近づくにつれて、どんどん雲行きが怪しくなってきた。天気予報も確認していたが、この日雨雲は確認できていない。事実、帯広はかなり晴れていた。しかし、この日の本当の試練は雨ではなかった。

 豊頃町を抜け太平洋沿岸に到達。左手にはどこまでも広がる広大な大地、右手には大荒れに荒れている太平洋。そう、大荒れだ。あんなに良かった天気が海に近づくにつれどんどん崩れていった。風も相当強い。もう普通に暑いなんて言っていられない、涼しいレベルも全然通り越している。本日最大の試練が早くも姿を現した。

 霧だ。視界不良になるほどの濃霧。ここまで変わるとは予測すらしていなかった。写真以上に、前が見えなかったように記憶している。先ほどの帯広と同じ日とは思えない。あの晴天から、2時間ほどしか経っていない。雨ほどではないが、走っていると濡れる。寒い。本当に寒い。帯広では27℃を示していた気温計が、釧路では12℃を示していた。おいおい、気温差15℃て。うそやん。

 本日の試練は、霧と温度差だった。海沿いルートを選んだ、これがひとつめのミスである。寒かった、霧で濡れてるので+αだ。私はウィンドブレーカーを着ようとした。だって寒いのだから。

 凍えながらバイクを停め、震える手でリアケースを開けた私は、文字通り固まった。あると思ったはずのウィンブレがない。そのときはリアケースに詰めたと思い込んでいた。しかし、記憶をさかのぼると脱いでから”どうしたか”が記憶にない。店に入る前に脱いでいるはずだ。暑かったのだから。その脱いだウィンブレを”どこにやったか”、わたしは何も覚えていなかった。

 そう、私は貴重な上着を失くしてしまった。ポケットに入っていた電子タバコとともに。これがふたつめのミスである。タバコはどうにでもなるとして、問題は上着だ。この寒さの中、上着はどうしても欲しい。私はこの辺の服屋を探した。ナビを見ると、釧路市街地方面に出れば、我らが庶民の味方「しま⚪︎ら」がありそうだった。震える体に鞭を打ち、一路しまむらを目指すことにした。

◾️幸せの黄色い看板、世間は既に夏支度。

 あまり覚えていないが、この道のりは距離以上にとても長く感じた。ようやく市街地に入り、「し⚪︎むら」どこ、早く、とあたりを見回しながら走っていたところ、よく見慣れた看板が道沿いに立っていることに気が付いた。

「W⚪︎RKMAN」

 「しまむら」じゃないんかい、という突っ込みはごもっともだ。私には黄色と黒の看板が砂漠のオアシスかと思うほど、吸い込まれるようにカブを駐車場に停めていた。本当に誇張ではなく、凍えながら店内に入る。

 まずは目当てのウィンブレ、手ごろな値段で程よいものが見つかった。そしてついでに、ヒートテック、探しても探しても見つからない。ない、どこにもないのだ。店員さんにないかと伺ったところ、時期によって取り扱いがないとのこと。

私「こんな寒いのにないんですか、、、?」
店員さん「ほんとですよね(笑)。」

 いやいや、笑い事ではない。どうにか上着を手に入れた私は、しっかりと着込んで北へ向かった。

 北に向かうにつれて空模様は回復傾向に。おそらく沿岸部限定の荒天だったようだ。求めていたものが手に入った途端状況が変わってくる。よくあることだ。手に入れたウィンブレはこの後も大活躍するので良しとする。

◾️北海道を北上、節目の瞬間。

 ひたすら北上。なだらかな坂を上ったり下ったり。山道というよりも、緩やかな丘をまっすぐ越えているような感覚。集落、道、集落。町から町がRPGのような移り変わりだった。

 とても面白かったのはmapアプリの時間予測。目的地まで100kmの時点であと1時間40分(100分)。単純計算で60km/h巡行がデフォルトのようだ。道民の人は、道にもよるが30kmなら30分くらいの感覚は割とデフォらしい。(親戚調べである。)都市圏では考えられないが、ほんとにそのくらいで走れてしまうのだから驚いた。

 そしてここでもうひとつ。Myカブにとって節目を迎えた。

 うまく路肩に停まれてよかった。納車から数えて10,000km走破を、この日迎えた。釧路と網走の間、ここがどこだかよくわからない。GPSをたどると、おそらく標茶町という町だった。なんて読むのかもわからない町だ。(しべちゃちょう、と読むらしい。またひとつ賢くなった。)画像にはピースが写りこんでいる、天気も回復したのもあって浮かれていたのかもしれない。

 はじめましてのキタキツネからも、お祝いの歓迎をいただいてしまった。可愛いけど、安易に近づいてはいけないとのことだ。動物等の飛び出しにも十分に気を付け、これからも安全運転を心がけることにする。

 昔のWindowsの壁紙のような景色、放牧されている牛たち、まっすぐな道、ところどころ撮影することはできていたが、もっと撮りたいところが多すぎて。ちょっと進んで撮影、ちょっと進んで撮影、なんてことをしていたら文字通り日が暮れてしまう。スペックの低い我が脳みその、小さい記憶メモリにその思い出を焼き付けつつ、珍道中は続く。

◾️感動の神の子池、青い池より「碧い池」

 網走までへの道中、こちらも目的地の一つとしていた。
「神の子池」

 中々、期待値のハードルを上げてくる看板である。この日はかなり逼迫した計画を立てていた。あまり観光はできないと踏んでいたが、ここだけは来てみたかったので、少し無理をして組み込んだ場所だった。

 未舗装路を脇に逸れ、目的地へ。この未舗装路がほんとにがったがたで大変だった。ハンドルを取られ、油断したら転びかねない状況。前後に車もいないので相当ゆっくり走っていた。

 ようやく、駐車場(といってもただのひらけた広場)に到着。人っ子一人いなかった。平日夕方の貸し切り状態だ。

 迷い込んだら出て来られなさそうな雰囲気、富士の樹海にも似た雰囲気に感じた。少し怖さを感じつつ、看板に従って進む。ちなみにこのとき歩きながら動画も撮っていたが、おそらく公開はしないと思う。

 橋を進むと、とても透明感のある池が見えてた。流れる水のせせらぎもとても気持ちよく、普通に良い景色である。

 とてもきれい、きれいだけども。ただ、正直こんなもん?とこのときは思ってしまっていた。水はとんでもなく透明で、底まで見えるきれいさではあったが、観光スポットになるほどかなあと感じていた、このときの私を今では恥じている。

 橋を先に進む。思わず、誇張なしに、動画を撮っていることも忘れるほどに、声が漏れでてしまっていた。

「うわあ、すげえ、はっはっは、なんでえ?」

 いきなり現れた非現実的な光景。青すぎて、どこまでも碧すぎて、本当に驚いた。正直このときの感動を、私の語彙力でお伝えできないのが本当に悔しい。写真でも伝えられないレベルで、きらきらと碧く輝いていた。吸い込まれるような青の深さだった。今までの疲労も忘れるほどに、遠くまで来たことを実感したように記憶している。本当に、本当にすごかった。

 ありきたりだが、心が洗われる感覚を生まれて初めて感じたかもしれない。それほどに、なにがなんだかわからないほどに、とても素晴らしい場所だった。

 さて、時間を使いすぎた。ちょいと寄り道程度のはずが、電波の届かないところで1時間程度滞在していた。今思えば熊とか出くわさず、ほんとうによかった。来た道を戻ることに、少しだけ憂鬱になりつつ出発。

 未舗装路にも慣れ、速度を抑えつつ順調に前進。道中、白くてもさもさした大きなしっぽが見え、動物が茂みに隠れていった。このときはわからなかったが、後から調べたところエゾリスとの遭遇だった。

 北海道は天然の動物園である。ほっかいどうぶつえん。


 失礼、取り乱しました。網走へのスパートである。

◾️オホーツクで達成感、からの立ちゴケ。

 北上し、また凝りもせず海沿いルートを選んだ。なんせこの後に待ち受けるはオホーツク海だ。夕日までに辿り着けるだろうか。天候も回復したが、問題は時間、日没タイムリミットは間近だった。

 結論、間に合わなかった。初オホーツク、夕日は残念。日没に間に合わなかったのか、曇ってて見えないのか、よくわからなかった。ただ、暗くならないうちにオホーツクまで来れてよかった。達成感に満ちた撮影会である。

 オホーツク海とMyカブ、絵になる。こんな遠くまで、よく頑張ってくれました私の相棒。翌日はもっと遠くまで行くことになるが、オホーツク海到達はちょっと嬉しい。

 しかし、ここでまたもや事件が起こる。写真でお気づきの方はいるのだろうか。

 見返してみたら、ちゃんと埋もれている。浜までは下りていないが、この道、砂が積もっていた。割と砂浜レベルでしっかりと。停車時はそこまで気にしていなかった。写真を撮り終え、意気揚々とMyカブにまたがった私。いつも通り1速から発進しようとしていた。

 そのあとはご想像のとおり。リアタイヤが砂にとられ、空転?横滑り?ざざざっと、転んだ。砂だらけ。動いてはいなかったから、これは立ちゴケになるのだろうか?

 どちらにしろ初ゴケだ。

 砂が原因で転んだのではあるが、地面が砂で良かった。被害は最小限で済んだ。砂だらけだが。

 割とちゃんと凹んでいた私だったが、気を取り直さざるをえなかったので出発。後はもう、本日のお宿に向かうだけだ。給油を済ませ、先を急いだ。

◾️本日のお宿、そして痛恨の夜。

 到着。「民宿ランプ」。某有名交通系Youtuberがヘビーユーザーとして知られるこの民宿。とても趣のある、良い民宿である。もうとっぷり日が暮れていた。文字のフォントが素晴らしい。撮影スキルが足りなさすぎて申し訳ない。あまりにも画像が暗すぎる。

 優しい女将さんから説明を受け、チェックインを済ませる。500km弱を走破した1日だったが、そんなに疲れを感じていなかったような気がする。このときはそう思っていた。鍵を受け取り、部屋へ向かった。

 北海道の端っこで味わう、異様なほどの安心感「THE・民宿」といったところだろうか。畳に座布団、扇風機とヒーターが並んでいるとこも味が出ている。北海道のいいところは日ハム戦がテレビで見れるところだ。

 本日も濡れた衣服を処理したのち、荷物を散らかし、お風呂へ向かった。民宿のお風呂は、実家の風呂が2倍程広くなったくらいの素敵空間だった。

 触ってみたい…。全然旅とは関係ないが、かなり古いMacPCがあって少し驚いた。エンジニアとして触れてみたい感情を抑えつつ、部屋に戻って色々片付け。

 窓の外からはかっこいい電車が見えた。網走駅はすぐ近くだ。昨日購入して余ったパンをほおばりつつ、まだ時間もそこまで遅くなかったからご飯でも食べに行こうかと考えていた。調べると近くに中華屋がある。営業時間にも余裕があったため、一休みしてから動こうと考えていた。これが悲劇のはじまりになるとは、このときは思ってもいなかった。

 水曜深夜の0時15分って、厳密に言えば木曜だと思う。テレビの番組表を見て、今日が水曜日だということに気が付いた。再放送ではあるが、HTBで伝説の番組が放映されている。これは正座で見なきゃいかんと、心に決めた。このときまだ出かけるかどうか決めかねている。時刻は21時半頃、割とちゃんとゆっくりしてしまっていた。パンを食べてしまったので、空腹感もそこまでなかったのかもしれない。

 mapを見ることでようやく実感。これまでの道のりや、明日の目的地やルートを調べたりしてだらだら過ごしてたかと思われる。申し訳ない。実はこのとき、どう過ごしてたか全然覚えていない。あとから思い出せないほど、網走までの道が濃密だったのかと思われる。気が付いたら瞼の上と下が密接にお近づきになっていた。


 そう、ご想像のとおり、寝落ちしてしまった。

 3時くらいに目が覚め、本当に笑った。歯磨きだけして再就寝。これが私だ。


 明日は最北端、お楽しみにしないでいただきたい。

【本日の記録】

天気:晴れのち雨のち曇り
行程:札幌⇒帯広⇒釧路⇒網走
給油量:9.29L / 1,530円
走行距離(Map換算):約492km
文字数:約7,000文字

元記事はこちら


この記事は事実に基づき大幅な脚色を加えたフィクションです。ということにしておいてください。

ご容赦のほど、何卒。

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