クライマックス突入! 第二次上田合戦、そして最後の大戦へ 重野なおき『真田魂』第5巻
重野なおきの戦国漫画の中でも、時系列的には最も新しい――というより最後の時代を描く『真田魂』も、いよいよクライマックスに突入します。ついに開戦した東軍と西軍の全面対決の前哨戦として、上田城で再び大活躍する真田父子。しかしその先に彼らを待っていたのは……
前巻を紹介したブログ記事はこちら。
秀吉により天下は統一され、平和が訪れたかに見えたものの、その秀吉の死により不穏な空気に包まれる日の本。秀吉なき豊臣家を支える石田三成と、じっと耐えてこの時を待っていた徳川家康がついに激突するに当たり、真田家も二つに割れることになります。大の家康嫌いの昌幸は当然三成方につきますが、信幸は家康につき、信繁は父ともに行動し――と、前巻のラストでは名高い犬伏の別れが描かれました。
となれば、その後に待ち受けるのはもちろん第二次上田合戦。第一次は十五年前、まだ信長の死後の混乱が収まる前のことでしたが、今度は秀吉の死後の混乱が収まる前――相手も同じ徳川で、歴史は繰り返すと言いたくなりますが、今度は天下分け目の合戦の前哨戦という意味合いもあります。
そんな状況で、はたして昌幸はかつての勝利を再現できるのか? ――と、その結果はいうまでもないわけですが、真田にとっては笑いが止まらず、徳川にとっては笑い事ではない合戦の模様は、ある意味四コマ漫画にピッタリといえるかもしれません。
それだけ痛快な大勝利だったわけですが、にもかかわらず、大局で見れば完全な敗北となったことをなんと評すべきでしょうか。歴史に残る大勝利を生涯最後の戦として、後は
敗残者として余生を送る――そんな昌幸の残酷な姿を本作は描きます。
いや、それは昌幸だけの運命ではありません。信繁は、生涯数えるほどしか出陣しないまま、父と同様の運命を辿ることになったのであり――そんな彼の狂乱を、大袈裟と見ることはできません。
幸いと言うべきか、彼は大坂城に招かれることで救われるわけですが――大坂城五人衆と呼ばれた人々が、大なり小なり、同様の立場にあったことは、大坂の陣という戦いの一つの側面として見逃せない点でしょう。
しかし、新たな戦場を得た信繁改め幸村(ちょっと強引な気がしますが本作での幸村の名の由来が、なかなかいいと思います)の前には、政治という思わぬ敵が立ちはだかります。
その敵に思わぬ打撃を受ける幸村ですが――だとすれば、実際の戦場で力を見せるしかありません。そしてこの逆境をはね返すように、この巻のラストに登場する「あの城」での幸村、いや真田の兵の暴れっぷりは、上田合戦にも劣らない痛快さです。
特に、幸村に厳しい目を向けていたある人物まで思わず喝采を送る辺りは、実に作者の作品らしいと微笑ましくなってしまったところです。
かくして、己の意地を示してみせた幸村ですが、これもまた、大きな戦いの中の一部に過ぎません。はたして戦国最後の戦いの中で、真田の魂を示すことはできるのか――いよいよ次巻で完結です。
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