DXは「実は・・・」から始まる
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
「笑顔工学」についてはこちらの記事をご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データとデジタル技術を使って、仕事や組織、ビジネスそのものを変え、企業価値を高めていく経営改革を指します。
ですから、DXを進めるには、まず「どんな会社にしたいのか」という目指す姿が必要になってきます。
そのうえで重要になるのが、現在の仕事や組織が本当はどうなっているのかを知ることです。そこで、
業務フローを確認する
数字を見る
システムを調べる
現場へヒアリングする
こうした分析をしていくことを最初に行っていきますが、正式なヒアリングでは見えてこなかったことが、会議の後の何気ない会話で突然出てくることがあります。
「実は、この入力、ほとんど誰も見ていないんですよね」
「実は、毎回別のExcelにも同じ内容を入れています」
「実は、この手順だと夜勤の人だけ困るんです」
私は、DXを進めるうえで、この「実は・・・」を拾える力が
とても重要だと感じています。
この力に「雑談力」が大きく寄与するのだろうと考えています。
今回の記事では、この話題について書いていきます。
ぜひ最後までお読みください。
雑談力とは、面白い話をする力ではない
さて「雑談力」というと、話題が豊富で、
誰とでも会話を盛り上げられる力、というイメージだと思います。
もちろん正しいのですが、
DXに必要な「雑談力」は、もう少し別のところに重要なところがあります。
それは
相手が「実は・・・」と言える関係をつくる力です。
会議では、立場があります。
上司や同僚がいます。
決められた議題があります。
発言した内容が、正式な意見として扱われることもあります。
そのため、まだ考えがまとまっていない違和感や、
小さな困りごとは出しにくいものです。
雑談には、結論をすぐに求められない安心があります。
その安心の中で、正式な報告書や業務フローには書かれていない、
本当の仕事の姿が見えてきます。
システムに入る前の情報を拾う
システムやAIが扱いやすいのは、整理された情報です。
売上、件数、作業時間、担当者、期限など、
項目として定義された情報は、集計や分析ができます。
しかし、現場には、まだデータになっていない情報があります。
「この画面を見ると、なぜか入力する気がなくなる」
「この確認は必要だけれど、誰も理由を説明できない」
「忙しい時間帯だけ、手順どおりにはできない」
「質問すると怒られそうで聞けない」
こうした情報は、数字になる前の課題です。
ここを拾わずにAIやシステムを導入すると、
論理的には正しくても、現場では使われない仕組みができてしまいます。
AIは、与えられた情報から答えをつくることは得意です。
しかし、現場で何を聞くべきか、
どこに言葉にならない違和感があるかは、
人が丁寧に見つけなければなりません。
良い雑談は、3つの情報を見つける
DXにつながる雑談では、主に3つのものが見えてきます。
1つ目は、公式の手順と実際の仕事の違いです。
マニュアルでは一回入力することになっていても、
実際には別の帳票にも転記しているかもしれません。
2つ目は、仕事に伴う感情です。
面倒、不安、怖い、意味が分からない。
この感情を無視すると、新しい仕組みは定着しません。
3つ目は、現場の暗黙知です。
ベテランが何となく確認している数字や、
異常を感じ取る小さな兆候は、
まだ言語化されていないことがあります。
雑談は、これらを表に出す入口になります。
雑談力は、質問よりも受け止め方で決まる
雑談力を高めるために、
話題をたくさん覚える必要はありません。
大切なのは、相手の言葉をすぐに評価しないことです。
「それはルールどおりにやってください」
「その機能は予算的に無理です」
「前にも説明しましたよね」
とすぐに返せば、次の「実は」は出てきません。
まずは、
「そうなっているのですね」
「どんなときに一番困りますか」
「最近だと、具体的にいつ起きましたか」
と、相手が見ている場面を一緒に確かめます。
ここで重要なのは、雑談で聞いた一人の意見を、
すぐに全体の事実と決めつけないことです。
雑談から得られるのは、答えではなく仮説です。
同じことを他の人にも聞き、
業務やデータを確認し、
本当に改善すべき課題なのかを確かめます。
聞くだけで終わると、信頼を失う
雑談で困りごとを聞いても、
何も変わらなければ、やがて現場は話さなくなります。
「聞いても結局何も変わらない」
「また調査だけされる」
「言った人が面倒な人だと思われる」
そのように感じるからです。
ですから、すべてを一度に解決できなくても、
小さく返すことが大切です。
入力項目を一つ減らす。
保存場所を一つにする。
手順の説明を一枚にまとめる。
次回の会議で検討すると伝える。
変えられない場合は、その理由を説明する。
このように、雑談で得た情報を、小さな改善として返していきます。
この循環ができると、
「話してもよい」「一緒に良くしていける」という信頼が育ちます。
AIは、雑談を課題へ変える手伝いができる
AIは、雑談そのものを代わりにしてくれるわけではありませんが、
雑談から得た情報を整理することには役立ちます。
複数のメモから共通する困りごとを分類する。
発言を、業務、情報、教育、システム、関係性の課題に分ける。
追加で確認すべき質問を考える。
小さく試せる改善案を出す。
実践後の振り返り項目をつくる。
こうした作業をAIに手伝わせれば、
人は現場との対話に、より多くの時間を使えます。
ただし、雑談には個人的な事情や感情も含まれます。
本人に知らせず録音したり、
個人が特定できる内容を安易にAIへ入力したりしてはいけません。
AIは整理を助けますが、信頼を引き受けるのは人間です。
雑談を、情報収集の手段にしすぎない
雑談をDXに活かすと言っても、
すべての会話を業務データに変えればよいわけではありません。
相手が「情報を抜き取られている」と感じれば、雑談はなくなります。
雑談の目的は、人から本音を引き出すことではありません。
相手に関心を持ち、その人が見ている仕事の景色を理解することです。
その結果として、課題が見つかることがあります。
すぐに解決策へ誘導せず、仕事に関係のない話も含めて、
相手との関係を育てていくことが大切です。
この良い関係性がベースとなれば、
本当に必要なときに大切な話をしてもらえるのだと思います。
まとめ
安心して話せる。
小さな違和感を伝えられる。
困りごとが早く共有される。
改善した結果が現場へ返ってくる。
こうした状態があれば、組織は明るくなります。
この状態を作れる仕組みがあれば、
現場が笑顔で在り続けることができます。
雑談は、仕組みの外側にある無駄な会話ではありません。
まだ仕組みになっていない知恵や課題が流れる、大切な情報経路なのです。
DXを進めるために、最新のAIやシステムを知ることは大切ですが
それだけでは現場は変わりません。
会議資料には載らない違和感。
数字になる前の困りごと。
手順書に書かれていない工夫。
本人もまだ説明できない不安。
それらを受け止める雑談力が必要です。
雑談力とは、たくさん話す力ではありません。
相手が「実は・・・」と言える関係をつくり、
その言葉を改善へつなげる力です。
AI時代だからこそ、
人の何気ない言葉を丁寧に受け取りたいと思います。
AIは答えをつくれます。
しかし、何を問うべきかを教えてくれるのは、
現場からこぼれた小さな「実は・・・」なのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を少しでも良いと思っていただいたら「♡」を押して応援お願いします!noteのアカウントが無くても押せますので、気軽に押していただければ助かります!私の笑顔の画像が出ます(笑)
もちろん、フォロー、フィードバックなどをいただければ、さらに喜びます。よろしくお願いします!
