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分かる、分かるでノンストレス


ひと口に友達と言っても関係性は色々だ。小さい頃からの幼なじみだったり、学生時代の同級生だったり、結婚してママになってからのママ友だったり、同じアイドルを応援する同志だったり。


Yちゃんは、中高の同級生。私立の女子校だったのでお互いの家は遠かったし特別仲良しって感じもなかったけど、意外と一対一の付き合いがあって、ダブルデートしたこともある。大人になってから私が仲良くしている別の同級生はYちゃんとも親しくてその子を介して時々ランチしたり飲み会したりしていた。私が同窓会の幹事をした時、その1こ前の幹事がYちゃんだったので幹事の引き継ぎとか相談とかで何回か会う機会があって、そこからは個人的に連絡し合う仲になった。そしてここ数年は一緒に松田聖子のコンサートに行く仲になった。


今年も新幹線で一緒にコンサートに出かけた。駅で待ち合わせして開口一番私に言っておきたいことがあるというので何だ、何だ?と身構えたところ、Yちゃんは約1か月前に足の小指を骨折したとのこと。何がなんでもコンサートに行くことを目標に必死でリハビリを頑張って、全治6週間のところなんとか4週間で松葉杖生活を卒業したばかりだった。


「絶対聖子ちゃんを観たかったから。でも、今日はゆっくりしか歩けない」
分かる。


聖子ちゃんに会いたい気持ちは私も同じ。目標があったからそんなに頑張れたんだね。それにいいの、いいの。私だって若者みたいにスタスタは歩けないから丁度良いってば。


実はYちゃんは独身。骨折してみていろいろ考えさせられたと言う。今住んでいる所はとにかく交通の便が悪く、松葉杖で仕事や買い物に行くのがどれだけ大変だったか。もっと便利な場所に引っ越ししたいと思い始めたらしい。「今ならまだ仕事もしてるから引っ越し出来るけど、もう少し歳をとったら引っ越しも出来ないかもしれない」
分かる。

ちょっと行けばなんでも揃う、そんな所に住めたら便利だよね。それに独り暮らしだと年齢を理由に入居を断られることがあるらしい。今すぐじゃないにしても私たちももうそんな心配をしなきゃいけなくなったのね。


そしてそこから年金の話になる。

「もらえる年齢になったらすぐ貰うつもり」
分かる。


それには私も賛成。いくら貰えるかより何年貰えるかのほうが大事。
「老後のことであれこれアドバイスしてくる人がいてめんどくさい」
分かる。


「みとんちゃんは株とかやってるの?」
「やってない」
「なんかさ、最近はみんなやってるって言うのよ。NISAとか、携帯会社のやつとか」職場にそういうことに詳しい人がいて、いろいろ言ってくるらしい。正直余計なお世話だ、と。
分かる。


世の中には知っとけば得することとかやっとけば良いこととかあって、良いのは重々分かっているんだけど別にその恩恵が無くても全然構わないし、そのことに時間や手間を取られるのはめんどくさいし、無けりゃ無いで生きていけないほどでもないし、良いのが分かってたって皆が皆それを必要としているわけじゃない。あと激安スーパーの話。お昼のお弁当が200円くらいで売ってて、同僚たちは「何が入ってるか分からない」とか「お腹が痛くならない?」なんてバカにしてくるけど、
「私は全然平気だし、全然美味しい」
分かる。毎日の食材や毎日の外食ランチに毎回高い金額を払わなくても安いお弁当を美味しくいただける。舌がバカなのかも知れないけど、それならそれで幸せ。そんなところに見栄をはる必要性を感じないし、高いから美味しいとか安いからマズいとかはない。


「マスクはずして良いってなっても私、マスクしときたい。ホントにマスクには助けられたからずっとマスク推奨したい」
分かる。その話をした時の私こそが最もマスクの恩恵にあずかっていた。だって暑さでマスクの下はドロドロのヨレヨレだったから。今はマスクをしていて褒められることはあっても以前のように「なんか感じが悪い」なんて言われずにすむようになったし。


私はYちゃんとこんなにいろんな事柄で共感しあえる関係だったのかと少し驚き、そして嬉しくなった。今まで細々とでもお付き合いが続いてきたのには心のどこかでそのことに気付いていたのかも知れない。


すごくかっちり、きっちりしている友達と話すと私がダメな人みたいな気がしてきて焦るし落ち込む。
すごく意識高い友達と過ごすと、私があんまり何も考えてない人みたいな気がしてきて自己嫌悪に陥る。
自分が正しいと思っている自信満々な友達に会うと、責められてるみたいな気がしてきて居心地が悪い。
感情的になる人には気を遣う。
自分の考えがしっかりありすぎる友達からツッコまれると、私には何も無さすぎて真っ白になる。


友達なのに会うとストレスって、どうなん?それは私の問題だ。相手が悪いわけじゃない。私の受け止め方の問題。逆に、私の話にも「うんうん」「分かる」と同意してもらえるとものすごく話しやすい。そういう意味でYちゃんとの会話は全くストレスレス。だからか、Yちゃんと遊ぶのは楽しい。


「そういえばさ、みとんちゃんの住んでるところにベーグル屋さんあるでしょ?」
あるよ。ちょっと街なかからは離れたところにあるけど、いつも行列できてるよ。
「チョコレート屋さんもあるんだよね?」
あるよ。足が良くなったら遊びにおいで。私が連れてってあげる。
「わあ、行きたい。絶対行く」


私から誘うなんて、Yちゃんが私にとっていかに付き合いやすい相手かっていう証拠だ。気を遣いながらの人間関係より、こういう友達をこそ大切にしなきゃだ。
ちょうど良い。良い塩梅。それがichiban



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