Rope Jam event ①|S嬢曰く「SMはセックスじゃない」らしい
わたしが登録している BDSM・フェティッシュが集まるコミュニティサイトで、BDSM Rope Jam event というのを見つけた。
ロープジャム、緊縛か。緊縛イベント楽しそう!
ロープ愛好家も、初心者も、見るだけの人も、誰でも参加OK。ロープの貸出もあって、体験したい人には実際に縛り方を教えてもらえるらしい。
緊縛愛好家さんに会えて縛り方も習えるなんて、なんと最高なイベント!
さっそく彼氏のClayを誘って参加申込をした。
BDSMイベント、ボンデージのお姉さんとかいるのかな。光を抑えた室内に、紳士淑女が集まる妖艶な雰囲気漂う感じ?
みんなどんなコスチュームなんだろう?
妄想がふくらむ。
当日わたしはエンジ色のワンピースに、下着は黒レースで股の部分がオープンになっているテディを着て行った。
「こんばんは。メッセージを送ったmiuです」
「ハロー!いらっしゃい。さぁ中へ入って」
出迎えてくれたのは、優しそうな笑顔のアジア人男性。このイベントを主催してくれている夫婦の旦那さんだ。
中に入ると7-8人の参加者がいた。
そして気になるファッションは…
みんなノーマル。ヨガをやるような動きやすい服装の人、お出かけスタイルでちょっとお洒落な感じ、普段着。ボンデージの人はいなかった。
ひとり張り切った下着を着てるのが少し恥ずかしい。まぁワンピースは普通だから大丈夫かな?
主催者の男性が、貸出用ロープを持ってきていろいろ説明してくれた。でも英語で話しているので、わたしはほぼ聞き取れない。
ぱっと見この会場で日本人はわたしだけのよう。
翻訳アプリを使うかな、と思っていると主催者の奥さんが話しかけてきた。
「カスミが日本語わかるから、彼女に通訳をお願いするといいよ!ねぇ!カスミ!」
窓際でひとり寛ぐ、ブロンド美女に声をかける。
「もちろん!ワタシが通訳するよ」
ブロンド美女のカスミさんが快く通訳を引き受けてくれた。
「カスミさん日本語わかるんですね、助かります。よろしくお願いします」
「ワタシ、日本人だからね」
え? あー、やってしまった。
色白ブロンドで目鼻立ちもハッキリしてて、体格も良く、勝手に海外の方だと思ってしまった。人を見た目で判断するのはよくなかった。
「すみません。海外の方だと思っていました」
「ワタシ日本人よ。帰化したからね」
「帰化ですか!なるほど。ではご出身は?」
「出身はアメリカ」
なーるほど。
帰化したのなら、彼女は日本人だ。うんうん。
わたしとカスミさんの自己紹介が終わると、隣で大人しくしていたClayが小声で話しかけてきた。
「miu、オレ彼女のこと知ってる。以前メッセージをもらったんだ。デートに誘われたんだけど断った。彼女は男だ」
は?
わたしが女性だと思って話していたカスミさんは、実は日本人(帰化)男性だった。うん、やはり人を見た目で判断してはいけないな。
カスミさんに通訳をお願いし、他の参加者と話せるようになったところで、「キミ達ロープ初心者なんだって?オレが簡単な縛りを教えるよ」と気さくな男性が近づいてきた。
彼はわたし達の近くのスペースで、白いワンピースを着た華奢な子を縛って遊んでいた人だ。
縛られていた子は少しシャイなようで、彼の後ろに隠れて話を聞いている。儚げで妖精さんみたい。とてもかわいい。
「ありがとうございます!よろしくお願いします」
「じゃあ、キミがモデルで彼氏さんに縛ってもらおう。まずはオレが彼を縛るのを近くで見てて」
親切な男性が、先ほどの華奢な子を縛りはじめる。ん?今「彼」って言った?白ワンピースの妖精さんをよくよく見ると、確かに男の子だった。
可愛すぎて女の子だと思っていた。
人を見た目で判断してはいけない②だ。
いよいよ今日の目的である緊縛体験が始まるってところで、Clayがニヤニヤし出す。なんだ?
「miu、このまま縛るとワンピースがシワになる。脱いだほうがいいよ(せっかく可愛い下着を着てきたんだから)」
「えー!ダメだよ。みんな普通の格好なんだから」
「いいからいいから、ほら脱いで」
「えぇー…」
押しに弱いわたし。言われた通りワンピースを脱ぎ下着姿になる。
WooHoo !!
会場の視線が一気に集まる。恥ずかしい。
みんな笑顔で「いいね」「セクシー!」と声をかけてくれる。
それでも恥ずかしいものは恥ずかしい!
意図しない羞恥プレイ… CMNF好きのわたしには最高のシチュエーション…
羞恥でおとなしくなったわたしをClayが縛っていると、ふわふわ赤毛パーマの小さなかわいらしい女の子が近づいてきた。
「その下着かわいいね!わたしは Jessica だよ。よろしくね♡キュルン♡」
手でハートマークを作りながら話しかけてきた。
ギャルだ。めっちゃギャル。
そして流暢っていうか、普通に日本語。
日本の女子高生。
「よろしくね、わたしはmiu。Jessicaも日本人なの?」
「ううん、わたしはアメリカ人。テヘッ♡」
アメリカ人だったー。
見た目は海外の方だけれど、話し言葉の日本語を使っているからご両親が海外出身で、この子は日本生まれとかかなと思い込んでしまった。
人は見た目だけでなく、話し方でも判断してはいけないと学んだ。
JessicaとClayとわたしの3人はいつの間にか緊縛をやめ、お酒を飲みながらおしゃべりに花を咲かせていた。ふと周りをみると、みんなも緊縛の手を止めいつの間にか全員で輪になりおしゃべりタイムが始まった。
このイベントは不定期で開催されていて、参加者の何人かはもう友人関係なのだそう。いいなー、こんな仲間が居るの。
みんなでくだらない話を楽しんでいると、主催者の奥さんが突然「最近、とても悲しい出来事があったの」と話し始めた。
彼ら夫婦には子どもが2人いて「もう子どもは2人で十分だね」と話していた矢先、3人目の懐妊が発覚したそう。子どもを授かったことはとても嬉しいけれど、これからさらに4人5人と増えると大変だから、この子で最後とするために、旦那さんがパイプカットを決意したそう。
「パイプカットをすると、精子が出なくなでしょ? 彼の精子がみれるのはこれが最後、だからわたし『あなたの精子をこのガラスシートに出して。顕微鏡であなたの精子をみたいの』ってお願いしたの。でも彼はけしてOKと言ってくれない!!なんど頼んでも!!」
「それはそうだろ?!オレの精子をガラスシートに出して顕微鏡で見るだって?!絶対に嫌だね」
「ほらね、OKと言ってくれない。酷い!!」
涙ぐむ奥さん。
「世界一幸せな夫婦喧嘩だね…」
ポツリとJessicaが言う
「う、うん…そうね」
隣に座っているClayは、その話を聞いて馬鹿ウケしてる。
わたしもいつか、愛する旦那さんの精子を顕微鏡でみたいと思う時がくるのかな?
いや、ないな。
ごめん奥さん、共感出来なかったわ。
「そろそろ時間だね、片付けよう」となり、みんなで会場を整え外に出る。
「ねぇmiuさん達もう帰るの?もっとおしゃべりした〜い♡」
「わたしたちはこの近くのホテルに部屋をとってるよ。Jessicaも来て一緒に部屋で飲む?」
「わーい!いくいく〜」
わたしももっとJessicaとおしゃべりしたかったから嬉しい。3人でホテルへ行くことになった。
