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拒否権を行使し、ガザでのさらなる殺りくを可能にする米国の「悪魔の手」 -アルジェリア代表はガザの人々に謝りたいと語った

 18日、国連安保理ではガザの即時停戦と支援物資の搬入を求める決議案が提出され、安保理の14か国が賛成したが、米国が拒否権を行使して成立しなかった。拒否権行使の理由は「決議案はイスラム組織ハマスを非難せずイスラエルの自衛権を認めていない」というものだった。文言にこだわりガザの人道状況が危機的な中で、ためにする理屈とともにイスラエルの戦闘継続を認める拒否権の行使は実に悪質なものだ。この日の安保理会合は国連創設から1万回目になる節目のものだったが、23年10月7日のハマスの奇襲攻撃以来米国が行使した拒否権は6回目となり、国連安保理での米国の拒否権行使の半数以上がイスラエルに不利な決議案に対して行使されてきた。イスラエルを利する米国の拒否権行使は米国とイスラエルの「特殊関係」を如実に表すものだ。

殺人者の手だ。単に挙げられたものではない。米国はガザの停戦に対して6回の拒否権を行使した。数千人のガザの子どもたちの生命を否定し、さらなる殺人、飢餓、強制移動を許す手だ。これを不正のアイコンにしよう。ジェノサイドの共犯の象徴としよう。

 米国のモルガン・オータガス国連代表は、「決議案にはハマスを利する誤った物語(ナラティブ)が含まれており、ハマスはこの安保理に悲しくも利益を見出している」と語った。

 SNSではオータガス国連代表の挙げた右手を「悪魔の手」と形容し、批判する書き込みが数多く見られるようになった。イスラエルがガザでジェノサイドを犯していると結論づけた国連調査を「信憑性に欠ける中傷的な報告書だ」と彼女は決めつけた。

 オータガス氏は、フォックス・ニュースの 中東アナリストとして広く注目を集めるようになり、その後トランプ政権の重要な外交政策顧問となった。フォックス・ニュースは保守系ケーブル・ニュース局でトランプ支持の姿勢が顕著で、トランプ大統領が最も好むメディアだ。彼女がトランプ・チームの中で頭角を現したのは、メディアへの対応力、歯に衣を着せぬレトリック、共和党内で影響力のある人物たちに取り入ったからだと見られている。

 オータガス氏は、2003年に「ミス・フロリダ・シトラス(柑橘類)」に選ばれ、サウスフロリダ大学で政治学の学士号、ジョンズホプキンス大学で経営学と国際関係学の修士号を取得したというが、中東に関する専門的知識を大学で得た様子はない。トランプ政権では最も強力な親イスラエル派の一人とされ、イスラエルのYnet Newsは彼女をイスラエルの利益をよく代弁する人物と評価している。

 タイムズ・オブ・イスラエルによると、2007年に福音派キリスト教徒だったオルタガスはユダヤ教に改宗した。2019年にマイク・ポンペオ国務長官の下で国務省報道官に就任し、トランプ政権の外交政策の「顔」となった。トランプ氏が2024年に再選されると、彼女は中東担当特使に任命され、国際的批判を受けることが多いトランプ政権の中東政策決定の中心的人物の一人となった。ネタニヤフ政権とそのガザ攻撃に対する彼女の断固たる支持は人権擁護団体や外交アナリストなどから厳しい批判を浴びている。

トランプは親イスラエルの人物を中東特使に任命した https://www.instagram.com/p/DEZ5F5WMrsK/

 イスラエルのダノン国連大使は、決議不成立の後、オータガス代表と握手する動画とともに米国の拒否権行使に謝意を表するとSNSに書き込んだ。

 他方、米国が拒否権を行使するとアルジェリアのアマール・ベンジャーマ大使はガザ地区の住民たちに対して「許してください」と何度も謝罪しながら下のように述べた。(要旨)


「歴史は、ガザを占領するイスラエル軍に対して寛容ではないでしょう。パレスチナ人がイスラエルの占領下でますます深刻になる窮状に耐える姿は痛ましいほど明白です。75年以上にわたり、イスラエルの占領がその地理的範囲を増し、暴力、犯罪行為を拡大するにつれてパレスチナ人の苦しみがエスカレートするのを私たちは目の当たりにしています。イスラエルの残忍な軍事作戦は、パレスチナ国家創設の見通しや希望を奪い、不可能にすることを目的としています。衝撃的なことに、ガザで殺された子どもの数は、過去4年間の世界の紛争で失われた子どもの総数を上回っています。これは子供たちへの暴虐であり、無実の者たちへの攻撃です。国際の平和と安全に取り組むことができなければ、この安保理の存在自体が疑問視されます。UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)による物資の搬入を認めないイスラエル軍の行為を強く非難します。イスラエルの入植地は90年代から4倍となり、入植者は95万人に達しました。ヨルダン川西岸と東エルサレムのパレスチナ人たちは、占領軍に守られた入植者ギャングたちから自分たちと財産を守ることができず、絶え間ない恐怖の中で暮らしています。私たちは、パレスチナ人民の権利の尊重を行い、パレスチナ人民が自決権を行使し、エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家を樹立するために、変わらぬ支持とコミットメントを行うことを改めて表明します。」


 この日の国連安保理のやりとりを見て、石破首相や岩屋外相、林官房長官、外務省幹部などパレスチナ国家を承認しないという意思決定に関わった人々は何を感じ、何を思っていることだろうか。オータガス代表を支持するのか、それともベンジャーマ大使のほうだろうか。ベンジャーマ大使に多くの共感を寄せるのだったら、パレスチナ国家不承認という措置はつくづく情けないと思う。


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