【シロクマ文芸部】確信するのはまだ早い~目覚めると
目覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。
え、ここどこ?
私、なんでこんなとこいるの?
っていうか、なんでこんな格好してるの?
頭の中は?で一杯だ。それより何よりジャケットとスカートは?
……なんてね。そんな事思うはずがない。
私は自慢じゃないけど、お酒は強い。多少飲み過ぎても記憶をなくすなんて事はない。
ここは、会社の先輩のシュンジさんの部屋だ。昨日、会社の忘年会の後に二人で飲んだ後に酔ったふりをしてここにやってきたのだ。
「おはよう。昨日ずいぶん酔ってたみたいだけど大丈夫?」
「シュンジさん、ごめんなさい。大丈夫です…けど、私の格好……」
「あ、ジャケットとスカートは皺になるからそれだけ脱がせたよ。俺、そこで寝たから、何もしてないからな」
ベッドの下を見ると、寝袋が置いてある。シュンジさんの言っている事は嘘じゃない。本当に何もされていない。
「何か食べれる? 気持ち悪くない?」
「はい、大丈夫です。食べられます」
「じゃあさ、お風呂入ってきなよ。その間に俺、朝ごはん作っとくから。あ、お泊まり化粧品セット、さっき買ってきたから使って」
「ありがとうございます」
「着替え、俺の服置いとくからそれ着てね」
私は遠慮せずにシャワーを借りた。化粧品セットまで買ってくれるなんて、シュンジさんはなんて気が利く人なんだろう。あんなイケメンでしかも優しいなんて。
「シュンジさん、シャワーお借りしました。お洋服も。ありがとうございます」
「いいんだよ。ご飯できてるから食べよう。後から車で送るから、服はそのまま着ていていいからね」
テーブルの上には、炊き立てのご飯、味噌汁、卵焼きが並んでいる。とてもいい匂いがして、急にお腹が空いてきた。
「とっても美味しいです。シュンジさん、お料理上手ですね」
「ありがとう。俺、実家にいた時から料理してたんだ」
シュンジさんは私が食べているのを嬉しそうに眺めている。何だかそれがくすぐったくて私は箸を置いた。
「俺さ、マユちゃんが俺の部屋に来たの嬉しかったよ。酔っ払ったマユちゃんを寝かせたけど、俺、なかなか寝れなかったよ」
「どうして?」
「だってさ、好きな子がそばで寝てるんだよ?大事な人だから簡単に手は出せないし」
え?
好きな子?
今、私の事好きな子って言った?
それに、大事な人って。
シュンジさんが私の事を好きなんだろうなというのは気付いていた。それで今回の作戦を実行したけれど、あまり自信はなかったので思いがけなくて嬉しかった。
「シュンジさん。私も好き…です」
「え? ほんと?」
頷く私にシュンジさんの右の眉が微かに上がった。それはシュンジさんが勝利を確信した時に見せる表情だ。
でもね、シュンジさん。まだ勝利を確信するのは早いと思う。だって、恋は先に惚れた方が負けなんだから。まだまだ油断しない方がいいと思うわ。
🍚 🍲 🍚 🍲 🍚
シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「目覚めると」です。
したたかであざとい女子のお話です。
こういうのに引っ掛かる男性がいるのかどうかは分かりませんがw
まあ、男女の駆け引きは色々ありますゆえ・・・
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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