君はプリンセス【ショートショート】
終わらないいつになったら終わるのか。ああ、俺は疲れ過ぎているのだろうか。ついに川柳まで詠みだしてしまった。
今日は早く帰れそうかと思ったら、急ぎの仕事が入ってしまった。若い奴に任せようかと思ったけど、あいつら今日は朝からソワソワして早く帰りたそうにしていた。そうだよな、今日はバレンタインだから。彼女がチョコを用意して待っているんだろう。俺だって、そんなあいつらの邪魔をするような野暮な事はしない。俺は今は彼女もいないし、俺がやればいい。
それにしても、もう9時を過ぎてしまった。本当にいつ終わるのだろうか。
ちょっと伸びをして肩をぐるぐる回していると、誰か入ってきた。誰かと思ったら、同期で同じ部署の花梨だ。
「俊司、お疲れー。まだ終わんないの?はい、これ飲んで。」
そう言うと、エナジードリンクをデスクに置いた。俺は、礼を言ってエナジードリンクのプルタブを開けた。その時、花梨がもう一つデスクに紙袋を置いた。
「あのね。これあげる。」
「これ、何?」
「もう、分かんないの?今日は何の日だと思ってる訳?」
「え?チョコ・・・か?なんで?義理チョコ?」
「ほんと、俊司って何にも分かってないのね!私の何を見てるの?わざわざ義理チョコをこんな時間に持って来る訳、ないでしょう?」
そう言うと、花梨はそっぽを向いた。もしかして、泣いてる?花梨・・・、俺の事好きなのか?
俺だって、花梨の事は好きだと思っている。初めて顔を合わせた、入社式の時からずっと。だけど、花梨は俺に対してあまりにも友人の様に接してくるから、まさか好意を持ってくれているなんて思いもしなかった。だから、俺はこの関係を壊したくなくて、あえて気持ちを封印していた。
だけど、思い起こしてみれば、花梨はいつも俺を見ていてくれた。仕事でしくじった時は、真っ先にフォローしてくれて声を掛けてくれた。俺が困った時は、いつも助けてくれた。花梨はぶっきらぼうだけど、いつも俺を見ていてくれて、優しさをくれた。そんな花梨の気持ちに気が付かなかったなんて、一体俺は花梨の何を見ていたのだろう。
「ごめん、花梨。俺、お前の事ちゃんと見ていなかった。自分勝手に花梨の気持ちを決めつけていたよ。」
「私。私、俊司の事ね・・・。」
「これ以上言うな。俺から言わせてくれ!俺、初めて会った時から、花梨の事が好きだ。ずっと大事にしていきたいと思ってる。俺と付き合ってくれないか?」
「俊司・・・。私が嫌って言うはずないでしょう?私も俊司が好き。」
俺は花梨のそばに行くと、そっと抱きしめた。背の高い花梨の顔が、俺の胸にすっぽり収まった。いつも花梨がつけている香りがふわりとした。しばらくそのままでいたけど、花梨が口を開いた。
「私も手伝うから、早くそれ、終わらせちゃおうよ。そして、ご飯に行こうよ。」
それはありがたい申し出だ。花梨は切れ者で仕事もできる。二人でやれば、早く終わるだろう。さっさと終わらせて、花梨と美味しい物を食べよう。
ああ、こんな事があるんだろうか。花梨が俺の事を好きでいてくれたなんて。残業で疲れていた俺の所に神様が遣わせてくれたプリンセスみたいだ。俺にとって花梨はプリンセスだ。絶対、大事にする。そんな風に考えていたら、さっきまでのかわいい態度から一変、いつも通りの花梨の声がする。
「ちょっと、俊司。早くしないと終わんないよ!ご飯屋さんも閉まっちゃうでしょ!」
俺のプリンセスは、かなり強気でやり手のプリンセスみたいだ。でも、俺はそんなプリンセスが大好きだ。ずっと、俺のプリンセスでいてくれよ。
「もうー。これどこから手を付けたらいいの?」
花梨の声が二人しかいないフロアに響く。俺は、さっさと終わらせるべく仕事の山に取り掛かった。
十人十色僕を選んだことを後悔させない
十人十色きっと世界一の幸せにさせる
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何か、バレンタインのショートショートが降りないかなぁと思っていましたら。やっとこさで降りました!
うん、みゆさんはやればできる子なんだよねwww
あまり男性目線の創作ってした事ないんですけど、たまには新鮮でいいかなぁと。
優しい彼に、ちょっと強気な彼女。
彼は彼女に振り回されちゃうのかなー?
でも、彼女も彼の前では女の子らしい所も見せるのでしょうね。
ほんと、お幸せにーですね☆
もうー、若いっていいわねぇ♡
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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