好きの反対は……
「明日、お昼出掛けるから」
夏の休暇前の夕食後、夫が私に声を掛けた。さらに、夫は続ける。
「ミハルと一緒に」
わざわざ誰と行くのかを告げるのは、“やましい事はありませんよ”という夫なりの意思表示なのだろう。ミハルさんというのは、夫の中学の同級生の女性だ。毎年夫宛てにミハルさんから年賀状が届いていて、私が夫婦連名の年賀状を出しているものの彼女とは面識は無かった。
「分かった」
一言だけ返した私に何を思ったのか、またも夫は続ける。
「4年振りにこっちに帰ってきてるんだって。明日帰るらしいから、帰る前にランチでもって。なんか、ミハル一人で帰ってきてるみたいでさ」
「ふうん。そうなんだ。どこにランチに行くの?明日は多そうだから、どこか予約しておいた方がいいんじゃないの?」
私がそう答えると、夫はそうだなぁとつぶやきながらスマホを触り始めた。どこかランチのお店でも検索しているのだろう。
私は一息吐き出すと、立ち上がりキッチンに向かい大き目のマグカップにコーヒーを淹れた。一人用のドリップパックだから、自分の分だけだ。そこへ牛乳を入れていくと、だんだん薄い茶色になっていく。一口飲んで、ダイニングの椅子に腰掛ける。
私は今、自分が何とも思っていない事に気がついた。
夫が女性と二人きりで食事に行くと聞いても何とも思っていない事に。
これが何年か前だったなら、私はきっと嫉妬していただろう。私以外の女性と二人きりで食事に行くなど許せなかったに違いない。けれど、今の私はそれを聞いても何とも思ってなどいないのだ。それに、やましくてもやましくなくても、下心があっても無くてもそんな事はどうでも良かったし、何か事が起こったとしても、それはそれで別に良かった。
私の心は、凪のように穏やかなままだ。むしろ、ランチのお店を探すのを手伝ってあげようかとさえ思えてしまう。さすがにそれはしないが、チェーン店だろうが高級店だろうが好きな所に行けばいい。
きっと夫は休暇中のどこかの日に私をランチに誘ってくるだろう。
だけど、私にそんな風に気を使う必要は無いと思う。行かないと言うと機嫌を損ねそうだから、あまり気は進まないが嬉しそうな顔をして誘いを受けるのが賢明だろう。考えるほどに面倒になってくるが仕方がない。夫なりに明日の埋め合わせをしようと思っているのだろうから。
それにしても、いったい私はどうしたというのだろう。好きの反対は嫌いではなく無関心だと言われるが、それなのだろうか。私の意識が変わってしまったのだろうか。ずっとぼんやり考えてきた事をはっきりと意識したのかもしれない。もう、ここらが潮時なのかもしれないと。
夫と過ごしてきた日々を思いながら、私はポケットからスマホを取り出した。ぬるくなってきたコーヒーを飲みながら開いたウェブサイトで指を止めた。それは、賃貸物件の検索サイトだった。どんな条件で物件を絞り込もうかしばし考えを巡らせていった。
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盆休み前に仕事場のお掃除をしていて、突然思いついたショートショートです。1200文字程度のサクッとしたお話です。
あくまでも、創作ですからね。実話じゃありませんよ。
一応、フィクションですからね、フィクション。
とりあえず弁明しておきます(笑)
昨日は夜みゆさんが病んでる投稿をしてしまいました。
ごめんなさい🙏
こればかりは自分で乗り越えないといけない事なので、しょーがないですよね💦
でも、閉店間際のコメダはサイコーでしたよ💕
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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