【下書き再生工場】雑音に疲れてひとり甘薯煮る
ドタドタドタ…
朝から子供の足音が響いている。昨日から上の階の松本さんの娘さんが子連れで帰ってきていて、子供がはしゃいで走り回っているようだ。子供の事だから、じいじばあばに構ってもらえるのが嬉しくてたまらないのだろう。しかし、ほんの数日の事だろうがうるさいものはうるさいのだ。つい、悪い意味での叱らない育児でもしているんだろうかと穿った見方をしてしまう。
気持ちを落ち着けようとコーヒーを飲む事にした。少し濃いめに淹れたインスタントコーヒーに牛乳を入れる。仕事の合間に飲むのにはこれが手軽でおいしい。頂き物のクッキーをつまみながらホッと一息つく。
私は在宅でライターをしている。だから、今日のようにうるさかったりすると、集中力を欠いてしまって効率が悪い。幸い納期にはまだ余裕があるので、今日はのんびりと進めようと思った。
しばらくすると、インターホンが鳴った。
「お届け物です」
そういえば、今日義母から荷物が届くと夫が言っていたっけ。ああ、今回は何が送られてきたんだろう。
「すみません。玄関ドアの前に置いておいて頂いてよろしいですか」
「分かりました。では、ドアの前に置いておきますね」
「ありがとうございます!」
宅配の方が帰ってからドアを開けて重たい段ボールをキッチンまで持っていった。段ボールの中には、さつまいもがたくさん入っている。こんなにたくさんのさつまいも、一体どうしろというのだ。子供達は家を出ているし、私と夫が食べる量なんてたかがしれている。
段ボールを苦々しく見ながら私はスマホを手に取った。宛名がなぜか私宛てになっているので、義母にお礼の電話を掛けなくてはいけない。欲しい物でもないのに、なぜ私が電話をしないといけないのだろう。そもそも、どうして宛名が私の名前なのかそこから訳が分からない。
「美鈴です。お義母さん、先ほど荷物が届きました。たくさんお芋を頂いてありがとうございます」
「あら、いいのよ。このお芋すごくおいしいのよ。たくさん食べてね」
「はい、ありがとうございます」
「そうそう、もうすぐお正月じゃない。あなた達いつ帰ってくるの?」
「そうですね、健太さんに聞いてから連絡しますね」
ああ、もう。ほんっとうにめんどくさい。帰省だって、なんで私に聞いてくるのかな。そんなの、あなたの息子さんに直接聞けばいいのに。
上の階の足音も時折聞こえてきて余計に疲れてしまう。
段ボールの中のさつまいもはおいしそうな安納芋だ。義母にはまだ腹が立っているものの安納芋に罪はない。さつまいもを物色していると、中から封筒が出てきた。封筒の中には手紙とお金が入っている。その額なんと5万円だ。
手紙には私への労いと5万円は健太に内緒でお小遣いにしてねと書かれていた。私は封筒を手にちょっとため息をついた。あの人はそういう人なのだ。ちょっと距離なしでグイグイくるけれど、悪気はないし親しみを込めているつもりなのだ。ただ、それが私の心地いい距離感とずれているから悩ましい。
私はさつまいもを甘煮にしようと2つ段ボールから取り出した。子供達が家にいた頃はお弁当用に甘煮をよく作っていたものだ。久しぶりに甘煮を作っておやつに食べよう。
鍋の中のさつまいもはおいしそうな香りがする。柔らかく煮えたか竹串を刺しながら、お正月にはこのさつまいもで作ったスイートポテトを持って義母に会いに行ってやるかと思った。夫が帰ってきたら帰省の事を話してみよう。
🍠 🍠 🍠
下書き再生工場season2に参加します💛
見習い工員の私は再び再生に挑みました!
今回はさちともこさんの下書きを再生しました。
雑音に疲れてひとり甘薯煮る
この俳句の下書きを掌編小説にしました!
俳句から小説を書くのは「みんなの俳句大会」のスピンオフ企画以来で、ものすごく久しぶりです。
今回、さつまいもの甘煮のレシピをいくつか見ましたが、私が作る甘煮はお醤油が入らないタイプです。
お弁当の隙間埋めにちょうどいいので、ある程度の量を作って冷凍してました!
ちょっとしたおやつにもぴったりです。
まあ、焼き芋やスイートポテトも美味しいですけどね😊
この下書きを見て、何となく嫁姑でいこうと思いましたw
上手く再生できてたらいいのですが。
本田すのう工場長、さちともこさん、よろしくお願いします⭐️
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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